ライバル?/初恋の人。
立花愛果‥‥いじめをきっかけに死にたいと願っている主人公の高校三年生。優等生。
永田北哉‥‥自称教師失格の少しクズな担任。でもそのクズな行動にも一つ一つ理由があって…。生徒にも人気な先生。消えたいと思っている。
塙玄弥‥‥愛果と宏哉と北哉と何か関係がある…?
朝日先生‥‥北哉の命の恩人。
松下宏哉‥‥転校生。友達がいない愛果に話しかけてくれた唯一の友人。
真希ちゃん‥‥愛果をいじめている同級生。でもそれにも理由があって…
「宏哉くん、漢字テストどうだった?」
「満点!」
「私も!さすが宏哉くん!…で、先生は何の用ですか。」
宏哉くんと私が席に座って話していると、横で先生が仁王立ちしていた。
「何って?君たち二人の観察」
「なんですか。私たちを虫かなんかだと勘違いをしているのでは?」
「いや、宝石のようにキラキラした物だと思ってる。」
「だったらそれは勘違いですね。」
「ははっ。先生と愛果って仲良いよね。笑」
宏哉くんがそう笑うと、先生は目を丸くさせ、一歩後ろに下がって「お、俺でも…愛果って…呼んでないのに…。」としゃがんだ。
「先生、友達なんだから呼び捨ては当たり前だろ?」
「友達以上になったら、○○して○○○んで○○してやるからな。覚悟しとけよ。」
「そんなこと言う先生のことを○○して○○○んで○○してやりましょうか?」
「愛果怖い。笑」
「ごめんね、先生こういう人なの。」
「そうだ。先生はこういう人だ。だから気をつけるんだな。」
「了解です。笑」
今まで、いじめられて結構辛かったけど、こうして友達ができて優しくしてくれる先生がいて、辛いことも乗り越えられる。
でも、いくら友達だとしても教えられないのが、倉庫のこと。昼休みに倉庫に行こうとすると、「どこ行くの?」と聞かれる。だから私は「ちょっとね」と答えるというのが毎日続いている。
先生とあまり使われない倉庫に二人きりでいると知られたらどういう反応をされるかわからないし、怖い。
そして今、「どこ行くの?」と聞かれている真っ最中だ。
「ちょっとね。」
私はそう言ってその場から離れた。
「先生ー、今日もテスト満点でしたー!」
「流石だな優等生。」
「愛果、じゃないんですかー?笑」
「立花愛果。」
「立花抜きで。まな?」
「まな…まな…」
私は期待して待っていた。
「ダメだ言えない。…君がキスでもしてくれたら言えるかも。」
「しませんよ。大体、この間謎のガラスでガードしたじゃないですか。」
「だって、教師が手出したらいけないだろ?教師がキスされた側だとしてもそれはダメなことだから。」
「先生もまともなこと言うんですね。とりあえず、もうチャイム鳴るので行きましょう。」
「うん。」私たちは荷物を持って倉庫を出た。
「へぇー。」扉を開けると宏哉くんが目の前に立っていた。
「ひ、宏哉くん!」
「先生、生徒と二人きりで何してたんですか?」
「教育相談。」
「倉庫で?」
「そうだ。」
「ふーん。いつも昼休みいなくなるのなんでだろうって思ってついてきたけど、そういうことか。」
「違うの宏哉くん!」
「何も違わない。」
「そうだ。」
「なに先生までそうだとか言っちゃってるんですか!」
「愛果、」宏哉くんは大きく息を吸って私の耳元で「応援してる。頑張れ!」と小さい声で言った。
あ、そういうことか。
そして宏哉くんは先生と私の肩を叩き、「誰にも言わないから。大丈夫。なんてったって友達だからね。昼休みとか倉庫に入る人がいたりしたら俺が止めるから。イチャイチャしててね!笑」
「い、イチャイチャなんて!」
「頑張れよ愛果!」
「頑張る?君が?どうして。」
「せ、先生のバカ変態思わせぶり!!!」私は走って逃げた。
「先生ー、女の子の心、まだまだわかってないんだねー。」
「女心なんて男がわかるわけ。」
「これに関してはわからないとダメだよー。」
「わっかんねぇ…。」
この間、先生気づいてたじゃないですか…
二話より。
「そ、れって、俺のこと…す…」
「一回たんま!そういうこと…かもしれないです!では!」
ん?まてよ。す、まだしか言ってなかった…。
好きなの?って言うのかと思って咄嗟に口を塞いだけど、もしかして違う?
というか先生にあんなこと言って逃げたけど…嫌われてないかな。放課後、謝りに行こう。
私は放課後、掃除が終わった後倉庫に走って行った。
「ちょっとまって。」宏哉が腕を掴んできた。
「どうしたの?」
「俺、会話聞かないから倉庫の前で見張っとく。だからほら、謝りに行くんでしょ?」
「…うん。ありがとう!」
私は走って倉庫の中に入った。
そして扉を閉めた。
「先生、?いますか?」
「…」私は、先生の座ってる足が見えて、先生の元に走って行った。
「先生いるんですね!謝りたく…て…って、寝てるし。」
先生は眼鏡をかけて本を読みながら寝ていた。
「先生、こんなところで寝たら風邪ひきますよ。」
私は近くにある膝掛けを先生にかけた。
さっき、愛果って言ってくれなかった。
先生は「君がキスでもしてくれたら言えるかも。」って言ってたけど、本当に言ってくれるのかな。
…寝てるなら、意識がないなら。バレなかったら。
いい、よね。
私は先生にキスをしようとした。
でも眼鏡が邪魔でキスができなかった。
私は先生から一旦離れ、自分の行動に顔を赤くしていた。
でも、深呼吸をして先生の眼鏡を外し
キスをした。
先生の手が動く。先生は拳を握り締め、肩を少し上げて目を開けた。
やばい、離れないと。
「す、す、す、すみませんでした!!」
起きてしまった。
「すみません。本当そんなつもりじゃなくて…」
と言いながら離れると、先生は私の腕をグイッと引っ張り、私の頬にキスをした。
「…愛果。」
倉庫の空いていた窓から風が吹く。強くて、倉庫の埃と倉庫にある紙が倉庫内で飛び交う中、先生は綺麗に風に靡かれていた。綺麗で、綺麗で、私は先生の手を取り、握った。
そして無意識に唇に触れてしまった。
先生は目を丸くした。
「ご、ごめんなさい。このことは忘れてください。命令です。…では、また来週。」
私は急いで倉庫から出た。
そして外にいた宏哉くんの元に行った。
「ありがとう宏哉くん。」
「いや。別に俺はなにもしてないよ。…愛果の顔が赤くなってるのはどうしてかな?」
「そそそ、それは…言えない…。」
「そっか、キスか。」
「え、え?!ちょ、そんな、え。し、してないよ…」
「はい動揺してる。決まりだな。」
いつも宏哉くんはとんでもなく勘が鋭い。
私は宏哉くんと一緒に下校しながら相談に乗ってもらっていた。
「なるほど。衝動に駆られて、か。まあ、好きな人にキスしたいとか思うのは普通のことだし、したいことを本当にしちゃうってのも普通だし。大丈夫。先生は今、きっと顔が赤いな。好きな人にキスされたから。」
「好き!?」
「え、気づいてなかったの?あれは明らかに好きでしょ。」
「まじですか…。」
「見てればわかるよ!本当、俺応援してるから。愛果にはもう不幸な思いしないで欲しいからさ。玄弥もそう願ってるよ。」
「え?」
「いや、とにかく頑張れ!俺、来週のテストの予習するから先帰るね!じゃ!」
「う、うん…じゃあ。」
宏哉くんがあんな悲しそうな顔であんなことを言ったのは何故だろう。モヤモヤしながら家に戻ると、家の前に先生がいた。
「せ、先生…!忘れてくださいって言ったじゃないですか!」
「あーぁ。君がそうやって言ったから思い出しちゃったじゃん。忘れてたのになー。」
最初から忘れてなかったくせに。ずるい。
「だって…。先生が家の前にいたからそのことかと思って」
「違うよ。君に謝りたくて。今日の昼のこと。」
「…!あ、あれは私が謝るべきです!あんな言い方してすみませんでした。」
「いや、君があんな言い方したのも仕方ない。「頑張る?君が?どうして。」なんて言い方きつかったよな。」
え、そこ?私はさっきまで顔が赤くなって先生のこと好きというのがバレるのではないかと思ってドキドキしてたのに何もかも一気に無くなった。
赤みも引いたし、ドキドキしなくなった。
「やっぱり先生はバカの変態の思わせぶりですね。」
「え?」
「先生、ちょっと来てください。」
私は先生を家に連れ込んで椅子に座らせた。
そして私は先生の向かいの椅子に座り、家のカーテンを全て閉めて二階から机のライトを持ってきて食卓テーブルに置いた。
「では、事情聴取を始めます。」
「え?」
「先生、二話で「そ、れって、俺のこと…す…」
「一回たんま!そういうこと…かもしれないです!では!」なんてことがありましたよね。」
「はい、ありました」
「「俺のこと…す…」ってなんですかなんて言おうとしたんですか!」
「君が口を塞いできたから言っちゃいけないのかと思って!」
「いいです今は言っていいですというか言ってください!」
「俺は、俺のこと…す…」
「す…?」
「すごい考えてくれてるんだね!って!!」
「あー、なんだ。はい。わかりました事情聴取は以上ですではお帰りください。」
的外れ。期待ときゅんが全て飛んでった。
「え、まって俺のせい?え、ごめんごめんそんなつもりじゃ。」
「いいから早くお帰りください!」
私は先生の背中を無理矢理押した。
すると先生はくるっと私の方を向いて、押している私の腕を掴んだ。
「じゃあ俺から質問。」
嫌な予感。私は多分、今顔が赤い。
「言わないでください。…忘れてって言ってるじゃないですか…。」
「言うよ。俺はダメ教師だから。教師失格だなー。…今日、なんでキスしたの?」
「言わないでくださいって…!」
「なんでキスしたの?顔赤いけど。」
先生はニヤニヤしていた。
「…ハプニングです!最初も、最後も。」
「君はハプニングの神様に好かれてるのかもね。笑。じゃあ帰るね。あんまり大人の男を揶揄うなよ。まず、男を揶揄うな。揶揄っていいのは俺だけ。な?」
先生は私に視線を合わせて、頭をポンとしてきた。
私は頭を抑え、しゃがんで俯いた。
顔が赤いのがバレないように。
「早く帰ってください!」
「はいはい。笑。じゃ、また来週。笑」
先生は私の家から出て行った。
顔が、熱い。沸騰しそうなくらい、熱い。
「先生という人は…なぜこんなにも私をドキドキさせるのですか…?もう耐えられません…。」
私は二階に駆け上がってベッドにダイブし、枕に顔を埋めた。
「来週から先生のこと見られないかもしれないです、先生…。」
私は足をバタバタさせて顔を枕に押し付けた。
一週間後。
普通に接することができた。
《初恋の人。》
「おはよう愛果。」
「おはよう。先生も、おはようございます。」
「おはよう!ま、まな、まな…立花愛果!」
「またですか。」
「キスしてくれたのにな。言えないわー。」
「そ、その話は!忘れてください!」
「ごめんごめん。」
「朝からイチャつくのはまあいいとして俺の前でやめて?」
「ごめんごめん。」
「イチャついてないから!先生も認めないで!」
私と先生と宏哉くんは朝一緒に登校することが増えた。
先生が登校する時間の方が早いから、私たちは先生に合わせている。
「ごめんごめん。」
「さっきからそればっかりですね。ロボットかなんかですか。」
「ごめんごめーん。」
「うz…」うざいと言おうとすると、宏哉くんは手で私の口を塞いでダメだと首を横に振っていた。
私は睨みながらも頷いた。
「そうだ君さ、」
「「はい。」」
「あ…。そうだ、どっちも君って呼んでるんだった。…じゃあ君のことは松下くんって呼ぶよ。」
「君っていうのは俺ってことでいいですよね?」
「あ、うん。そして君が…君。」
「私は君なんですね。」
「だって言おうとしたら息止まって死にそうになるんだもん。」
「まあ強制じゃないからいいですけど慣れてくださいね。というか、先生遅刻ですよこれ完全に。」
「あ、やべ。先行ってる!」
「「ファイトー。」」
先生は走って行った。
いつ愛果って呼んでくれるんだろう。あの時は呼んでくれたのに。キスした時は呼んでくれたのに…。なに、そういう操作の仕方?
「愛果、「いつ愛果って呼んでくれるんだろう。」って顔してる。ていうか思ってるっしょ。」
「図星。メンタリスト?え、メンタリストDa○Go?」
「そうかもね。…って違うよ。笑、そんなすごくない。まあ頑張りたまえ。いつか慣れる時が来る。ああ見えて先生も大人だからな。」
「そう、だといいんだけど。」
教室に入ると、机の上に大量の手紙があった。
「え、。」
「愛果モテ期到来?」
「…それはないと思う。この字…女の子。というか真希ちゃんだ。」
「あ、あの。…ってあの!?」
真希ちゃん。ずっと私をいじめていた人。
「え、なんで字でわかるの。」
「字で誰か当てるの得意なんだ。」
手紙を読んでいると、後ろからものすごい圧を感じ、振り返った。すると真希ちゃんが、「校舎裏、来て。」と手を引っ張ってきた。
殴られたりでもするのかと怯えていたら、頭を下げてきた。
「…え?」
「本当に、本当にごめんなさい。あなたには本当に申し訳ないことをした。本当にごめんなさい。謝っても許されないことをしたのはわかってる。殴ってもいいし許せって言ってるわけでもない。殺してもいいです。」
「殴ったりなんてしない。ただ、どうして私をいじめたの?それだけは聞きたい。」
「…親から虐待を受けて、腕とかあざだらけで。」
真希ちゃんは袖を捲り上げて見せてきた。
「ごめん。痛々しいよね。…私、幸せなやつを憎んでたの。前、水泳の授業の時。すごく肌が綺麗で羨ましくて。…それだけじゃない。みんなと笑顔で話せるあなたを見て憎かった。ごめん。私の勝手でやったことなの。あなたがそのせいで居場所を無くしてしまったのも、そのせいで泣いてしまったのも、そのせいで自傷行為をしてしまったのも。全て私のせいってわかってる。この間の首の絆創膏を見て、私がしてるのは虐待と一緒だって。突然こんな謝ってくるの、怪しいよね。でも本当なの。本当に申し訳なく思ってるんだ。ごめん。ごめん。」
真希ちゃんは土下座をした。
「この通り。ごめん。本当に。」
「そんなそんな!顔あげて!」
私は土下座を仕返した。
「…え…?なんであなたが…。」
「これは謝ってるんじゃなくて、感謝。…謝ってくれてありがとう。事情話してくれてありがとう。」
私は頭を上げて、真希ちゃんとおでこを合わせた。
「真希ちゃんの辛い事情、よくわかった。虐待。今まで何度も見てきた。真希ちゃんが腕とか押さえるところ。体育休んでるところ。全部。真希ちゃん、私は殴らないし怒らない。ただ…」
「ただ…?」
「仲良くして欲しい!」そう言い微笑むと、真希ちゃんは激しく頷いた。
「もちろん。今までごめんね。…ありがとう!」
「ホームルームの時間だ。行こう!」
「うん!」
教室に戻ると、ドアの前で男の子三人女の子二人が待っていた。
「ごめんなさい。」みんなそう頭を下げてきた。
「いや、本当大丈夫だから!顔あげて!」
「いや、私たち死ぬ覚悟ですので!殺すでも殴るでもなんでもしてください!」
「大丈夫!何もしないから!」
「俺らなんかわかんないけどむしゃくしゃして…本当すみませんでした。」
「顔あげて!」
※チャイムが鳴るまで続いた。
席についていると、後ろからトントンと肩を叩かれた。
「愛果、よかったな。」
宏哉くんが嬉しそうに笑っていた。
「うん!」
「はは。こっちまで嬉しいよ。…ていうか先生遅くない?やっぱり遅刻?間に合ったのかな?」
「いや、あの時間だと間に合わなかったね。」
二分ほどして先生が「遅くなった。ごめん。」と言い、やってきたので宏哉くんと私は先生に無言の圧を与えた。
一瞬目があったが、先生は何かに勘付いたようで目をゆっくり逸らして話し始めた。
私と宏哉くんはテレパシーで「あ、逸らした。」「逸らしたね。愛果の圧と俺の圧通じたね。」「通じたね。」と会話していた。
帰り道は、なんか賑やかになった。
「愛果ちゃんは、な、何が好きなの?食べ物とか!」
「ラーメンとか…かな?真希ちゃんは?」
「なるほど!美味しいよねラーメン!私もラーメン!特にとんこ…」
「俺はしょう…」
「俺も好き!しおとか味噌とかしょう…」
「ちょっとまって今私の番!」
「待って落ち着いてみんな。話す順番決めよ。愛果困ってる。笑」
流石、宏哉くん。
「先生もいるんだけど。」
「「「「「「なんで。」」」」」」
みんな声を揃えて後ろにいる先生の方を向いた。
「いつも一緒に帰ってるんだよ!」
真希ちゃんら六人が一緒に帰ろう!と言ってきたからみんなで帰ろう!となったものの…結構騒がしい。
でも、楽しい。
今までこんなたくさんの人と一緒に帰ったことがなかったから、嬉しい。
「人気の先生でも、こんなキツイ言い方されるんですね笑。私も含め。笑」
「アンチも来る。」
「あ、人気なのは認めるんですね。」
「うん。もちろん。」
楽しく大勢で歩いていると、真希ちゃんが「このあと余裕ある人!」と聞いてきた。
「全然あるよ!」みんな全然あるよ!と言い、真希ちゃんは「じゃ、遊ぼ!」と私たちを遊びに誘ってくれた。
チャンスは今だ。
「じゃ、じゃあ私の家で!私一人暮らしだし、八人入れるスペースあると思うし!」
「まって、俺入ってなくね?」
「先生は…ね。」みんなうんうんと頷いていた。
結果、先生は土下座をしてまで遊びたがってたので仕方なくいいですよと返事をした。
私たちが家についた時、誰かが家の扉の前に立っていた。
誰だ?と思い、「ちょっと待ってて」とみんなを待たせて、近づいた。
すると「よっ。まっちゃん。」と私と同じくらいの歳の背の高い男子が挨拶をしてきた。
この呼び方、聞き覚えがあるなと思いながらも「どちら様でしょう。」と聞くと「そっか。覚えてないよな。…玄弥。まっちゃんの施設の時のお友達だった、玄弥だよ。」
「げん…くん…。」
「おっきくなったな。」
松下玄弥。多分、里親にもらってから苗字はかわっているけど。げんくんは同じ施設で会って、仲良くしていた。
そして私の初恋の人だ。
げんくんと話していると、「玄弥!」と言い宏哉くんがげんくんの元に走って行った。
「宏哉…。」宏哉くんはげんくんに抱きついた。
突然のことに呆然と立ち尽くしていると「ごめん愛果。伝えてなかったね。俺、玄弥の双子なんだよ。」と宏哉くんが言ったので、私はぽかんと開いた口をさらに大きく開けた。
「ど、どういうこと?」
「俺と宏哉は二卵性の双子として生まれた。でも父さんから暴力を振られるようになった俺は、一人で施設に行った。宏哉は暴力を振られることはなかったから、施設に行かなくて済んだけど、父さんと母さんは離婚して宏哉は母さんの方に行った。」
「施設に行ったきっかけは知ってたけど、まさかここ二人が…。」
「そう。でも、宏哉とまっちゃんも一回会ってる。いや、何回も一緒に遊んでる。俺とまっちゃんが同じくらいに里親にもらって、その後施設の近くの公園で遊んでただろ?まっちゃんなんて特に、施設から遠い場所だったからバス乗ったりして公園まで来てさ。でもその時、俺とまっちゃんだけで遊んでたんじゃないんだ。宏哉もいた。俺、本当は松下玄弥だったけど、里親にもらってから塙になったんだ。松下、結構お気に入りだったんだけど。笑」
「そう、だったの…?」
「そして、」げんくんは私の後ろを指差して「ほく兄も。」と先生の名前を呼んだ。
「先生…。」
「あーあ。玄弥、それは言うなって。」
「ごめんごめん。…宏哉とは、中学に入って俺がまた施設に入るようになって、会えなくなった。」
「そう。玄弥とは、生き別れた状態になったんだ。…ごめん今まで隠してて。俺が家の事情でこの学校に転校して、クラスの名簿表見た時びっくりした。立花愛果ってあったから。」
「…あ、思い出した。…ひろくんだよね…!やっと思い出せた。」
私はげんくんと宏哉くんの元に走って行き、二人に抱きついた。
「二人とも、久しぶり!」
先生もぎゅっとしようとしてきたので私はサッと避けた。
先生は勢いよく宏哉くんとげんくんに抱きつき、「立花愛果、なぜ避けた。」と私の方を振り向いた。
「先生のためです。一応生徒なので、ご了承ください。」
「へぇー。先生にキ、」私はキスしたのに?と言おうとした先生の口を塞ぎ、腹パンした。
「それは暴力だぞ!」
「先生はいいんです。」
「なんでだよ!」
「まあ…隣のお兄ちゃんだから?」
「そうか…ってどっちみちダメだよ!笑」
世界は狭い。広いようで、狭い。それが勘違いだったとしても、私たちは心で繋がっていた。だから私たちはどうやってもきっと会っていた。
先生とも。…きっと会っていた。
一方その頃。
「愛果ちゃん、どうしたんだ?」
と真希ちゃんたちが心配していた。
先生は「運命の再会ってやつ」とみんなに説明していたらしい。
次回。
先生の気持ち




