過去。
立花愛果‥‥いじめをきっかけに死にたいと願っている主人公の高校三年生。優等生。
永田北哉‥‥自称教師失格の少しクズな担任。でもそのクズな行動にも一つ一つ理由があって…?生徒にも人気な先生。消えたいと思っている。
塙玄弥‥‥立花愛果と何か関係がある…?
朝日先生‥‥北哉の命の恩人。
松下宏哉‥‥転校生。友達がいない愛果に話しかけてくれた唯一の友人。
「先生。」
「ん?」
「…なんで先生が私のシャープペンシルを持ってるんですか。」
「あ、あー、同じ種類かー。」
「これは「推しは遠くから見守りたい!」通称「おしみま」の中のグループ「love littles」の真野光助様、「こーくん」のシャープペンシルです。」
「お、俺も好きなんだよねー!(情報量が多い…)」
「好きかどうかは知りませんがこれはアニメの最後のQRコードを読み取って応募して先着一名様で私に届いたスペシャルなシャープペンシルなんですよ!!!!なのになんで先生の家にあるんですか!」
「ごめんっ!倉庫で書かなきゃいけないプリントがあって君が倉庫で寝てる間に君が持ってる筆箱から適当にシャーペンを出して書いたんだ。そしてそのままポケットに入れて校長先生に出して、そしてそのまま帰っちゃって。土日すぎて月曜日になってペン立てに忘れて今日もペン立てに立てたまま忘れちゃって。今に至ります。ごめんなさい。」
「私がどれだけ探したか!!!正直に言ってくださいよ!忘れたなら!まずそこからじゃないですか!」
「すみません正論です。」
私はストーカーのことがあってから先生の家によく行くようになった。
そして今、シャープペンシルのことで喧嘩が巻き起こってる。
「まじでごめん。」
「…まあいいです。これまでにしてくださいこういうことは!」
「はい。すみません。」
翌日。
「テスト返すぞー。相澤ー。相場ー。及田ー。…立花愛果ー。」
うわっ、フルネーム…絶対わざとだ…少し嬉しいけど。
「はい。」先生は耳元で「愛果またトップだよ。」と囁いた。テスト用紙を見ると百点と書いてあった。
私は小さいガッツポーズを作り小さく「よし。」と言った。
昼休み。
私は倉庫で本を読んで休んでいた。
いつもだったら先に先生が倉庫にいるのに、今日は来なかった。
「先生、来ないな。」
待っていたけど、昼休みが終わってしまった。
「…先生も忙しいしね。仕方ないよね。」と言い聞かせて教室に戻った。
放課後も倉庫に行った。
でもいなかった。私は職員室に先生を探しに行った。
先生はいなかった。
私は先生の家に走って行った。
「先生ー!先生!」インターホンを何回も鳴らしてたくさんノックをした。
すると後ろから「立花…ごほっ…愛果…?ごほっ…どうしたの?…ハクションッ…風邪引いたみたい…離れて。」とマスクをした先生が出てきた。
「ど、ど、どうして!朝来てましたよね?」
「一限目終わったあと体がだるくて保健室行って熱測ったら38.2度。とりあえず帰れってなって病院行った帰り。」
「こんな体で病院に一人で!?…とりあえず看病します!」
「風邪がうつるといけない。今日は帰るんだ。」
「先生のくせに。今の私はいうこと聞きませんよ。看病を拒否るなら私は今日ずっとここにいて逆に風邪ひきます。」
「…わかったよ。」先生はポケットから鍵を出して開けた。
「お邪魔します。先生はベッドに寝ててください。何回も家来てるので何がどこにあるかは把握してますので。」
「…ありがとう。」
先生は二階に上がって私は一階のキッチンでお粥を作った。
「先生。これ食べてください。」
先生のベッドの横にあったテーブルにお粥を置いたその時、寝ている先生が私の手を引っ張った。その拍子に私は先生に床ドン、いやベッドドン、ベッドンをしてしまった。
「先生、手放してください。」
広いベッド、先生は私を横に押し倒して先生が私にベッドンをしている状態になった。
「先生…?」
「先生じゃない。今は愛果の患者、永田北哉。」と言って先生は私の上で寝てしまった。
「ちょ、先生?重いんですけど!お粥食べてくださいよ!ちょっと!」
私は先生の頭を全力で叩いた。
「痛っ!!!!!!」
「どけてください!」
「あぁっ!ごめん!本当すまない!」先生は焦って離れ、お粥を手にしてテーブルの前でお粥を食べ始めた。
ドキドキしてる。心臓の音が聞こえそう。私は一旦先生から離れて一階に行った。
「恋ってことはわかってる。でもこれは…ドキドキしすぎだよ…。」
私はもう一度二階に上がって先生の部屋に入りドアを閉めてドアの前に立った。
「…先生、これは…何ハラスメントでしょうか。」
「ごめん!まじで悪かった!」
「違います!ここです、ここ。ここがなんか変なんです。」
私は心臓に手を当てて言った。すると先生は立ち上がって私のところにきた。
「それは…きゅんハラスメントだね。俺のこと、好きになっちゃった?」
先生は壁ドンなるものをしてきた。
「先生の風邪、私が代わってあげられればいいんですけどね。」私は先生の唇にキスをしようとした。その時、先生が隣の棚にあった透明なガラスでガードしてきた。
言うならばガラス越しにキスしている状態。
本当にキスしてるみたいでドキドキしていた。
「君、なんか性格変わったね。こんなことするの。『先生』に。」
「はっ!!す、すみません!…ていうか、なんでこんなガラスがここに?」キスよりも何よりも一番気になっていたのがそれだ。
「なんかあった。わからないけど、あった。」
「わからないんですか。不思議ですね。」
「それよりも、大人の男に簡単にキスしようとするんじゃない。そして今の俺は風邪を引いてるんだ。お粥食べてる途中だからマスク外してるだけで。」と先生はガラスで私の頭をポンとし、棚の上に置いた。
「すみません…。先生もまともなこと言うんですね。」
「一応先生なので。」先生はお粥を食べ始めた。
「美味いよ、お粥。」
「自炊派なので、得意なんです。そういうの。」
「まあ、君は自炊派って感じがする。」
「なんですかそれ。まあそれ食べたら寝てください。」
私はそう言い家に帰った。
翌日。
「38.2度…。」先生の風邪が移って熱が出てしまった。
寝込んでいるとインターホンが鳴った。
「はい。」
ドアを開けると先生が立っていた。
「よっ。」
「先生!?学校は?どうして!」
「熱って言って休んだ。偶然装って一緒に登校しようとしたけど家で待ち伏せしても来ないから。」
「先生…。」
「ん?」
「私の従兄弟警察なんですけど、挨拶に行きますか?」
「嫌だ。無理。嫌だ。…お詫びに看病するから!」
「一人じゃ何もできなかったので助かります。お願いしてもいいですか。」
「おう。」先生はレジ袋からおにぎりなどの食べ物を出した。
「何にも食べてないだろ。ごめんな、俺のせいで風邪引かせちゃって。」
「いえ、別に大丈夫です。看病できたので私的には全然。先生の風邪が治ってよかったです。」
「だからって、君が風邪引いたら風邪が治っても俺は全然ハッピーじゃなくなるんだけど?」先生は私のおでこに手を当てた。
「熱いな。寝てろ。」
私は二階に上がろうとしたけど、くらくらして倒れそうになった。
「うおっ、危ねぇな…ったく。しゃーねーな。」先生は「よっ」とお姫様抱っこをしてきた。
「先生…。」
先生、熱がもっと上がりそうです…。
「顔赤いな、熱の影響か?」
「違います…。」
違います、
「先生が…」
先生が…好きだからですよ…。
これは、きゅんハラスメントですか?
「先生がどうしたの?」
「な、なんでもないです。」
「そか。じゃあベッドに寝てて。」
私はベッドに寝っ転がってスマホを見た。
「こら、体調悪い時のスマホは毒だぞ?見るなら俺を見ろ。」
「いや大丈夫です。」
先生がおにぎりを開封して「これ食べろよ。自炊派じゃないからお粥とか作れねぇけど。」と言った。
「それくらい自分でできるので大丈夫です。でもありがとうございます。」
「いえいえ。」
コンビニのおにぎり。久しぶりに食べた。久しぶりに食べたら結構美味しい。海苔もパリパリだし、久しぶりにこんなに美味しいものを食べた。
「美味しい。」
「そんなニコニコで言うことか?コンビニのおにぎりくらいで。」
「今までずっと自炊だったので、コンビニのおにぎりとかあんまり食べてなくて。」
「よかったな。」
「はい。」
先生はいつも私が喜ぶことを知っている。
「先生、」
「ん?」
「私に親がいないの知ってますよね。」
「まあな。」
「私、赤ちゃんの時道端に捨てられてて。保護施設の人に保護してもらったんです。無事里親は見つかったんですけど夫婦喧嘩が多くて。まあそこまではなんとなく大丈夫だったんですけど、家庭内暴力が始まってしまって。里親のお母さんの方は逃げ出して里親のお父さんの方は私に暴力を振るようになりました。私、襲ってきたお父さんが怖くてこの手でお父さんを殺してしまったんです。それは正当防衛で終わったのですが、やっぱり怖いです。まだ。知ってますか?あの机の落書きの中に『人殺し』って書かれてたの。もう辛いです。」
「逃げないの?」
「逃げたらダサいじゃないですか。」
「でもそれって結局逃げることから逃げてるよね。そんなの尚更ダサくない?」
「…。」
「最もダサい方と普通にダサいのだったら普通にダサい方がいいじゃん。ダサいのは恥じゃない。逃げてもいいんだ。…よく頑張ったな。ここまで。」
はっ…。この言葉、聞いたことがある。
「先生…じゃなくて…。隣の家のお兄ちゃん…?」
あの時、人を殺した時怖くて隣の家に血だらけの手で、服で隣のお兄ちゃんの家に行った。
「お兄ちゃん…。」
「どうしたその血!!どこ怪我した?どうした愛果!」
「人を殺してしまった。お父さんを殺しちゃった…。」
私は泣いてまともに喋ることができなかった。そんな時隣のお兄ちゃんは私を抱きしめて背中を摩って「大丈夫。落ち着いて。…よく頑張ったな。ここまで。」
隣の家のお兄ちゃんは短髪で、少しだらしない格好だと言うことは覚えている。
でも、
「隣のお兄ちゃん、でしょ…?」
「……そうだよ。」
先生がその隣のお兄ちゃんだったなんて。
その頃の記憶は消すようにしていたから隣のお兄ちゃんの顔が思い出せなかった。
でも、先生だった。
私は思わず泣いてしまった。
「先生…。あの時は本当ありがとうございました。本当に…。」
いつも先生が道を作ってくれる。
逃げ道を。私が喜ぶ方に、悲しまない方に私を引っ張って行ってくれている。
先生がいないと私の人生は今頃絶望的だっただろう。
先生、「ありがとう…。」
「泣くなよ。」先生は私の涙を指で拭いてくれた。
「君は悪くないんだよ。ほら、おにぎりとか食べたら寝てね。」
「はい。ありがとうございました。」
二時間ほど経ち、先生は私の部屋で眠ってしまった。
私が眠るまで待つとベッドに寄りかかって待っていてくれた。私は先生に毛布をかけた。
「おやすみなさい。」
そして私は机の椅子に座り、数学の授業の予習を始めた。
そこからまた一時間経ち先生が起きた。
「んっ…。あれ、俺寝てた?ごめん。」
「いえ、大丈夫です。」
「熱は?」
「今はだいぶ下がりました。」
「そっか、よかった。じゃあ帰るね。」
「ありがとうございました。」
私をペンを置いて椅子から立ち上がり、玄関まで先生を送った。
「先生、ありがとうございました。」
「お大事に。また明日な。」
「はい。」
私は玄関の戸を閉めて、再び二階に上がり勉強の続きをした。
翌日。
ベッドから起き上がり、熱を測る。
36.5度で平熱だった。私はカーテンを開けて伸びをした。
そして窓の外を見た。
すると先生がよっ、と手をあげてきた。私は窓を開けた。
「なんでいるんですか。」
「よっ、体調を聞きたくてな。」
「36.5度、平熱です。なので今日から登校します。」
「そうか。よかった。」
「おかげさまで。ではまた学校で。」
私は窓を閉めて、一階に行った。
そしてキッチンに立ち、パンを焼いた。目玉焼きとウインナーも焼いて、テーブルに運んだ。
「いただきます。」
ご飯を食べて、制服を着て、髪を整えて右の髪を三つ編みして、白いレースのリボンで縛る。その後歯磨きをして、全ての準備を終えた。
私は靴を履き、よし!と言って一歩踏み出した。
玄関から出ると先生が目の前に突っ立っていた。
私は鍵を閉めてもう一度先生の方を見た。
「…なに突っ立ってるんですか。」
「君と一緒に登校しようかなと。」
「先生遅刻では?」
「大丈夫。」
「まあ、とりあえず私と登校しているのを見られたらまた色々面倒なので学校前は別々で。」
「わかってるよ。じゃあ行こうか。」と先生は手を繋いできた。
「え。」
「ダメか?」
「だ、ダメですよ!!」
「顔真っ赤だな。また熱上がっちゃう。」
「せ、先生のせいで早退になったら嫌なので、わ、私先行きます!」
私は先生の手を振り払って走って行った。
ドキドキがおさまらない。
「またドキドキしてるよ…。」
私は倉庫まで走った。
「し、深呼吸…。」
私は大きく深呼吸をして、教室に向かった。机には落書きがなくて、胸を撫で下ろし、席に座った。
ホームルームまで十分ほど時間が空いていて、私は鞄からお気に入りの本を出し、読みはじめた。
でも、一つ気になることがあって集中できなかった。
それは、先生は遅刻なんじゃないか。だ。
学校には間に合うと思うが、ホームルームまでの準備などの時間を含めれば間に合わない。確実に。
でも、これは先生が悪い。うん。
私は本を再び読み始めた。
ホームルームが始まる鐘が鳴った。
先生は来るのかとドアの方を見つめていたが、ホームルームの鐘が鳴り止んでも先生は来なかった。
あ、遅刻だ。
二分ほどして、息切れをした先生が教室に入ってきた。
髪も朝よりボサボサで、走ってきたんだなー。と思った。
呆れた顔をして先生を見つめていると、先生もこっちを見てニコッとしてきた。
昼休み。
倉庫で先生に聞かれた。
「ホームルームの時間のあの顔なに。」と。
「予感が的中したんです。どうせまた遅刻だろうと予想していたら見事に。」
「え、俺そんな遅刻人間?」
「ええ。遅刻しかしてませんね。間に合ったところ見たことないです。」
「そんな早口でスラスラ言わなくたっていいじゃん!」
「事実なので。」
「ま、ぁ確かに…。」
あ、なにも言えなくなった。
「まあとりあえず、「イケメン教師のモーニングルーティン♪」みたいな動画撮って載せて遅刻しないように心がけるとか工夫してみたらどうでしょうか。」
「例が特殊すぎるんだけど」
「工夫が大事ですよ」
「わかってるって。でも一人だし寝坊しちゃうんだよなー。君が家にいてくれれば…」
「行きませんよ。」
「即答やめて。」
「頑張ってくださいよ。」
「わかってるよ。」
先生は「さてと」と言い立ち上がった。
「もう行くんですか?」
「次、国語。用意しなきゃ。10分漢字テストするからな。」
「もう予習済みです。」
「さすがー。」
「じゃ、行ってくるわ。」
「はい。」
私は先生が倉庫から出た後ポケットに入れていた小説を取り出して読み始めた。
鐘が鳴り、昼休みが終わって教室に戻る。
すると私の席に一人のイケメンが座って、前の席の男の子と話をしていた。
もともと生徒は把握していなかったが、この人は本当に見たことがない。
ちょっといいですかと言えずにうろちょろしていると「あ、座る?ごめんね。俺、今日転校してきた松下宏哉。体調すぐれなくて遅刻してきたんだ。後ろの席だから、よろしく!」
「あ、よ、よろしくお願い…します。」
「えっと、確か立花愛果さんだよね?」
「はい…。」
「よし!あってた!じゃあ、愛果!俺は宏哉でいいよ!」
「ひ、宏哉…くん。」
「いきなりは難しいよね、じゃあ、よろしくね!愛果!」
「はい…!」
新しい友達ができた。
放課後。
私はまた倉庫に行った。
「先生!」私は走って先生のところに行った。
先生はバッグを持って、帰る準備をしていた。
「先生先生先生!私、友達できました!」
「おー!よかったな!」先生は私の頭をわしゃわしゃした。
「はい!嬉しいです!」
「よかったな。本当。…もう死にたいとか思わない?」
「え…?」
「もう、首に傷残さない?」
「あ…。」私は首の絆創膏に手を当てた。先生にはバレてたんだ。
昨日、先生が帰った後。
また学校に行ったら何かされるのではないか、と不安でもう死にたいと首に包丁を当てた。
結局、怖くなってやめたけど、傷が残ってしまった。
私は大きめの絆創膏を首に貼った。
「俺が見逃すとでも?」
「…。」
「俺も消えたいよ。でも君には死んで欲しくない。
「先生も消えたらダメです!」
「ありがとう。でも、辛いから。人生。」
「…わかります」
「あのさ、あのストーカー。朝日先生いるじゃん。」
「はい。」
「恩師って言ったの覚えてる?」
「覚えてます。」
先生は胡座をかき、俯いた。
「俺さ、君に死ぬなとか言える立場じゃないんだよねー。」
「…え?」
「俺、ちょうど君と同じ高三の時、友達もいなければ勉強もできない。みんなにイケメンかっこいいって言われるだけで誰も近寄ってこない。妬みとかもしょっちゅうでさ、死んでもいいやって。誰もいない教室の窓から落ちようとしてたんだ。俺この学校の出身でさ、昔も五階建てだったんだ。昔はエレベーターなんてなくて階段だけ。今となっては五階はあんまり使われないけど昔はよく使ってた。だからいくら誰もいない教室だとしても廊下で先生方が歩いてて見られちゃうんだ。だからタイミングを見計らって落ちようとした。その時、朝日先生が走って来てくれた。「北哉くんは生きるべき」って。なんで来るんだ。って腹立ったよ。でも、どこかで「助けてくれる人がいるんだ」って嬉しくて。そこから先生とはよく喋るようになった。そして、好きになった。先生と生徒なのに。無理なのに。命の恩人だけど、好きになった。」
「先生…。」先生は俯いたまま両手で顔を覆った。
「バカだよなー!笑。先生だよ?あのドキドキを恋って捉えて勝手に舞い上がって。挙げ句の果てに大切な生徒にまで手を出された。本当。バカ。」
私は拳を強く握り締めた。
私が辛い時、いつも先生が笑いかけてくれた。
今度は…私の番。
「先生。」
私が呼びかけると先生は顔を上げた。
目が赤くなって、泣いていた。
「…逃げたいですか?」
「…。」
「ちゃんと言ってください。逃げたいですか?」
私は泣きそうになりながら先生にそう微笑んだ。
すると先生は少し微笑み、涙でぐしゃぐしゃになりながら「逃げたい…です…。」と言った。
私は手元にあった鞄を持って先生の手を握った。そして走った。あの時、私は救われた。先生に。
「先生!先生に涙は似合いませんよ!」
先生と手を繋ぎ走りながら叫んだ。
振り向くと先生は泣きながら笑っていた。
桜の木の下で私達は立ち止まった。
「先生、生徒と先生が恋するのはおかしいことじゃないです。」
私は微笑んだ。
「でも、許されない。」
「許されなくても、気持ちがあるなら。恋していたなら。
好きだったんなら、いいじゃないですか。生徒と先生ってだけで人間。人と人がただ恋をしてるだけ。許されないって、誰が決めたんですか?好きならいいじゃないですか。」
先生はニコッと笑い、私を持ち上げた。
「…!?」
「ありがとう。」
おでことおでこを合わせて微笑み合う。
「先生、先生がいなくなったら私本当の本当に死にますからね。」
「君が死んだら嫌だからいなくならないよ。」
先生はぐるぐると回った。
そして私を下ろした。
「君は俺のそばにいてくれる?」
「もちろんです。さっき言った言葉、許されないって、誰が決めたんですか?って言葉。あれ私に向けての言葉でもありますから。」
「そ、れって、俺のこと…す…」
なに言ってるんだ私は!と思い私は先生の口を手で塞いだ。
「一回たんま!そういうこと…かもしれないです!では!」
私は走って帰った。
顔が熱い。きっと赤い。
唐突に恥ずかしくなって両手で顔を覆う。
「なに言ってるのよ…。もう!」
恥ずかしすぎて頭から炎が出そうだった。
次回。
ライバルのお友達。




