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無限の勇者  作者: 凛
7/8

遭遇

ついに運命の日が来てしまった。


【永遠の牢獄】に閉じ込められてから早数カ月前。


初めてイリア以外の存在と遭遇してしまった。



固まっている俺。

横でなんとも言えない表情で俺を見ているイリア。


俺の視線の先でうねうねと動く不定形の球体…。


そう。


ついに、とうとう魔物が生まれてきてしまったのだ。


記憶の譲渡によって魔物についての知識もちゃんとついている。


魔物はその脅威度によってF~SSSまでのランク分けがされているが、


今俺の目の前に居るのは、最弱のFランクの魔物であるスライム。


正直、一切脅威ではない。


このスライムの強さを分かりやすく例えると、幼稚園児程度の脅威でしか無い。

それでも、スライムが誕生した事は重大な意味を持つ。


この目で見るまで信じたくなかったのだ。


俺の【無限魔力】の出す魔力だけは魔物を生み出さないのだ!とか妄想してメンタルの崩壊を耐えていたのだ。


それなのに…それなのにこいつはアッサリ生まれやがった…。


この出来事が示す未来はただ1つ。

これから先5億年。

魔物の脅威により迂闊に枕を高くして寝れなくなるというのだ…。(精神体に睡眠はほぼ必要無いんだけどね。)


重大な問題に頭が痛いが、とりあえず【鑑定】をスライムに対して使ってみる。




《スライム》

少量の魔力が結集した事により生み出された意志無き魔物。

摂餌行動、思考行動等を行う個体は確認されていない。




魔物に対して【鑑定】を行うとこんな感じになるらしい。

Fランク!だとか数値で戦力を示したりとかはしてくれないようだ。

そのあたりは人間が考えた判断基準だししょうがないか。


あくまで【鑑定】が可能なのは客観的かつ正確に分かっている内容をまとめた物を提示する事だけなようだ。



「とりあえずこいつ、殺します?」

イリアに聞いてみる。


「そもそも生命体では無いのだから〝殺す〟という表現は適切では無いと思うが、殺してしまって構わんだろう。」

そのあたりの表現の上げ足を取るの面倒くさいなぁ…。


そんな事を思いながらも、

「了解です。」

と俺はそう言ってスライムに向け火球を放ち、固まっていた魔力を分散させスライムの体を崩壊させる。


「どうせここで殺した所ですぐ復活するんだがな!」


イリアが明るく言っているが、これ、かなり深刻な問題なのだ。


【永遠の牢獄】が生み出している空間は有限なようで、日に日に魔力濃度が濃くなっていっている。


で、魔力をなんとかして消そうとするにも、魔力を消滅させるのは不可能らしい。


つまりは俺達は日々生まれてくる強力な魔物に生活を脅かされる事になるのだ。


イリアは気軽なもんだ。

いよいよどうにもならないくらいにここが嫌になるか、もしくはあと5年もすれば自動的に牢獄から放出されるのだから。


俺は!

イリアの5年なんてもの比べ物にならないくらいのスパンでこの環境と付き合って行かなければならないのだ!!


そう思いながら視線を上げると、さらなる俺の心をへし折る光景が広がっていた。


さっきまで全然居なかったのに、最初の一体目に反応したかのようにぽつぽつとスライムが発生していやがるのだ。


膝からガクッと力が抜ける。

泣きそう。

背中越しにイリアが哀れんだ視線を送ってきているのを感じた。


「これは…。早急になんとかしないとですよ…。」


なんとかしようが無いだろうに俺は呟いてみる。



流石にイリアも同情してくれたのか、

「……そうだな。」

と呟き、俺の肩に手を乗せたのだった…。








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