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無限の勇者  作者: 凛
5/8

獲得

≪記憶の譲渡により、スキルを獲得しました≫


頭の中で抑揚の無い、無機質な合成音声のような声が響く。


「おぉっ!?おっ…おう…。」


びっくりした…。

スキルを獲得した時はこんな感じでアナウンスが流れるのか…。

【無限魔力】の時は寝てたから気気付かなかったのか…?


「おぉ、もうスキルを獲得したのか。」

イリアは意外そうな目でこちらを見る。


イリア曰く、スキルにはそれぞれ獲得条件があるらしい。

イリアの推測では、記憶の譲渡によってスキルの獲得条件が何かしら満たされたのだろう、との事だった。



そうして、イリアは俺の【鑑定】を始めた。


数分後…。


「新しく獲得したスキルは全て既に私が持ってるのと同じだな。まぁ当たり前なんだが…。」


そう言ってイリアは、魔力を文字の形に変え可視化し、俺が読めるようにスキルの一覧を文章化してくれた。


以後新しく獲得したスキルの情報だ。


【鑑定】

生物、非生物にかかわらず発動が可能であり、対象の情報を獲得する事が可能になる。

練度によって、獲得出来る情報量が変わる。


【計算補正】

脳内で計算する際、計算ミスが自動で補正され、正しい結果を導く事ができる。


【思考補正】

思考をする際、思考における前提条件が間違っていた場合スキル保持者に報告、任意での補正を行う。



今回手に入れたスキルはこの3つ。

どれも学者が持っていれば使う機会が多そうな代物だ。


というか【計算補正】と【思考補正】は学校に通っていた頃に欲しかったな…。


【思考補正】に関しては任意の補正なようで、知らず知らずの間にスキルによって思考誘導される、みたいな怖い事は起きなそうで良かった。


「早速3つもスキルを獲得したか…。これで合計4つだな。」


「質問あるんですけど、こんな簡単にスキル獲得出来たりするんだったら、わざわざ学校行ったりとか必要無くないですか…?」


いちいち学校に行って真面目にノートを取らないでも、頭のいい人や、強い人とかを追っかけ回し、記憶のコピーを貰えば良いのでは?と思ったのだ。


「無理だろうな。スキルは本来こんな簡単に獲得出来る物では無い。精神世界であり、2人の魂の距離がかなり近くなっているからこんな事が可能だったのだろう。」


なるほどなるほど。

つまりは普段だったらこんな簡単に記憶の譲渡は出来ないし、出来たとしてもそれであっさりスキルを獲得できてしまうという事も無いという事らしい。


イリアの説明は続く。

【計算補正】と【思考補正】はどちらかというと常時発動スキルらしい。常に発動自体はしていて、効果を発揮できるシチュエーションになった時に勝手に効果を発揮してくれる。【思考補正】による補正自体は任意になるらしいが。


で、【鑑定】の方。

こっちは使う、という意識を持って使用して効果を発揮する物らしい。

これは説明の所に〝練度によって、獲得出来る情報量が変わる。〟

と書いてあったが、これもイリアが詳しく説明してくれた。



「とりあえずお前、そこに転がってる【永遠の牢獄】を鑑定してみろ。〝それ〟を【鑑定】する、という明確な意識を持つだけで発動出来るはずだ。」

イリアは足下に転がっている、半透明の立方体を指さして言う。


「…やってみます。」

俺はそう言って半透明の立方体に意識を向ける。


すると。


頭の中に文章が流れ込んでくる。



【永遠の牢獄】

対象者を永遠に精神世界に閉じ込める。


…は?

永遠なの?5億年じゃなくて??


うろたえる俺を見ながら、イリアは魔力で文字を空に書く。


「で、これが私の【鑑定】結果だ。」


【永遠の牢獄】

現実世界とは隔離された精神世界に対象者を5億年の間閉じ込める。閉じ込められた対象者は、死亡、発狂する事は出来ない。

5億年後自動的に永遠の牢獄が生み出した世界は破壊されると同時に、対象者の魂を消滅させる。


「他にも細かい要素を調べたりしようと思えば出来るのだが、とりあえず簡単に【鑑定】するとこんな感じだ。」


淡々と話していくイリア。


「練度の低い【鑑定】等では、秘匿されているアイテム等を調べても、逆にアイテム自体に欺かれたりしかねない。秘匿されていないアイテム等を【鑑定】するにしても、練度の高い方が便利だろう。」


そうしてイリアはまた魔力で文字を書き始める。

今度はただの文字ではなく、魔力で板を作り、そこに文字をちゃんと書いていた。


「何作ってるんすか?」


「あぁ…。これからのスケジュールを作ろうと思ってね。」


これまでのイリアさんの行動からして無茶ぶりをしてくるような気しかしない…。


「出来上がったぞ。24時間あたりで区切ってある。とりあえずこれからしばらくこれで行こう。」


そう言って俺に提示したのは…。




記憶の譲渡一日3回


基礎体力作り(毎日イリアがメニューを考える)8時間


魔法講義 6時間



メニュー自体は短いが、1つ1つにかける労力がハンパじゃなさそうだ。

以降メニューを受けての自分の補足だ。


記憶の譲渡。

1日3食飯を食うような感覚で記憶の譲渡、これは毎回どうしても気分が悪くなるから時間を空けつつやっていくらしい。


で、基礎体力作り。

殆ど地球にあったような鍛錬のメニューと一緒らしい。

イリアに、飯を食ったりしてないのに筋肉は付いたりするのだろうか?と質問したら、精神体は一切の摂餌行動を取らずとも、鍛えれば強くなれるし、体も大きく出来るという。精神体って便利だ。



魔法講義の方。

これは記憶の譲渡で既に多少知識はあるから楽だと思われる、らしい。





こんな感じのメニューをひたすら、約100日間記憶の譲渡が全て終わるまで繰り返させられるのだった…。


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