第23話「諸外国の反応」
Side バルニア王国 国王代行 メルシア
メルシアは副官のリアラや生き延びた臣下と一緒に国家経営の立て直しに大忙しだ。
早速、西のドラグニアと周辺諸国などが軍備増強をしていると言う話が飛んでくる。
気の早い連中になると軍隊を差し向けてきているところもあるのだとか。
だがこの状況に逆に救われている部分もある。
アブレア王は野心家で列強国になると言う思想に囚われていたが無能ではなかった。
古代兵器を持ち出してユリシア王国の連合国や日本を弱らせたのが最後の置き土産。
これで政治、外交は優位に進められたのだ。
それと日本とユリシア王国の国としての性質にも助けられた事もある。
敵対国を利用して「我が国に侵略すれば他国との外交問題に発展するぞ」と、風潮して周り、どうにか戦争は回避できている。
列強国以外の国は列強国の――軍事力が強い国の顔色を伺っているのがこのガーデニア大陸なのだ。
だが敗戦国であることには変わりない。
(ディアス王子はともかくカラミス王女は無理だ)
と、メルシアは結論づけた。
日本に人質として預けておくのが唯一の情けだろうか。
ともかく立て直しに奔走しなくてはならなかった。
Side ユリシア王国王女 アイナ
「ソフィアお姉様、終わりましたね」
「ええ。大手を振っては喜べないけど」
昼間の城内にてテーブルを挟み、ソファーに座って向き合いながらユリシア王国の王女であるアイナとその姉のソフィアはそんな話をしていた。
内容はこの戦争のことだ。
日本には今回の戦争ではとんでもなく、大きすぎる借りが出来てしまった。
救いだったのは日本は野心的な国ではないことだろうか。
と言うか日本はそうせざるをえなかった。
前の世界でも戦争、この世界でも戦争してようやく一息つけた状況なのだ。
本音を言えば暫く動きたくないと言うのが日本の本音だった。
アイナは何となくその裏事情を感じ取っていたので安心ではあるが、ソフィアはと言うと「どう向き合うべきか」と頭を悩ませていた。
「父上と母上も日本との外交は助かっているようだ――」
「だけど他の列強国がどう動くか・・・・・・」
「そうだな」
妹のアイナの気持ちはソフィアも分かった。
ドラグニアやコスモレジア。
ユグラシア教国も不気味ではある。
「だが私は謎の敵についても気になる」
「王都に現れた連中のことですね」
ソフィアは「そうだ」と返してこう続けた。
「日本の自衛隊と互角に渡り合い、部分的には上回るあれだけの軍事力があればなにかしら噂などで耳にしている。目的は斥候のようなものだろう(威力偵察)――だから古代兵器である可能性も低い」
「一体何者かは分かりませんが、とんでもない連中に目をつけられましたね」
「ああ、そうだな」
二人の王女は不安に思った。




