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ジジ転世〜ワシがオナゴでふぁんたじー〜  作者: みけな
第一章 消える事のない記憶
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第九話 同年代の差

最近完結する漫画が多い気がする。読んでるのが多かったからかな〜?

何年も同じ作品書けるのって凄いですよね(*´-`)


ブックマーク、読んでくれた皆様。

ありがとうございます(*'ω'*)

 街で色んな噂が流れる中。ワシはいつも通り走り込みを終えて、家に戻ると見知らぬ馬車が止まっておった。


「はて?こんな早くに客人かのう?」

「お嬢様。お帰りなさいませ」

「戻ったのじゃジャム」

「すぐにお着替えを、お客様がお待ちです」

「ワシにかのう?」


 ささっとシャワーを浴びて、他所行きの服に着替える。


「これ苦しいから嫌いなんじゃが……」

「我慢して下さい。こんなんでもお嬢様は領主の娘なんですから」


 ジャムよ、本音が出ておるぞ。こんなんでもとはどう言う事じゃろう。この喋り方か、はたまた容姿か……鏡に映る自分を見てみる。母上に似てべっぴんさんだと思うのだがのう。


「はい出来ました!」

「すまぬのうジャム」


 ―コンコン


「ジュエル準備は出来ていますか?」

「うむ。問題ないのじゃ」

「その喋り方……まぁ良いわ。行きましょう」


 母上に連れられ、ワシはある部屋に着いた。


 ―コンコン


「入ってくれ」


 父上がおるのか。


 部屋に入るといがみ合う二人に、小さい子供が一人。


「これはどう言う状況ですか?」

「「こいつが!」」

「「何を!?」」

「君は……」


 いがみ合う二人放っておく母上は、隣にいた子供に声をかける。


「お初にお目に掛かります。エンターが子、エルダーンと申します」

「あら、礼儀正しい子ね。ミラージュ・バーン・イグニートです。バーンの妻でジュエルの母よ」


 母上が背中を押してくる。これは自己紹介する場かのう。


「ワシがジュエルじゃ。よろしく頼むぞ」

「へ?」


 握手を求め手を差し出す……が、それが握り返される事が無かった。


「おや?恥ずかしがり屋かのう」

「違うと思うわよー」

「まぁ良い。して父上は何をしておるのじゃ?」

「「こいつが!」」

「話が進まんのじゃ。少年、状況は分かるかのう?」

「「「……」」」


 場が静まる。


「確かエルダーン君は、ジュエルと同じ歳よ」

「そうなのか。であればエルダーンと呼ぶとしよう」

「この子何ですか?」

「ん?ジュエルと言ったはずだがのう」

「なんだその話し方?」

「話し方なんぞどうでもよかろう。ほれ、状況はどうなのじゃ?」


 細かい事を気にする子じゃのう。まぁ礼儀をきちっとしておったし、家が厳しいのだろう。


「ん〜」

「ジュエル。相手に聞く時にそんな言い方はダメよ?」

「む。すまぬのじゃ母上。エルダーンもすまぬ。状況を教えてくれんか?」

「え?あ、はい。これは……」


 エルダーン少年が言うには、ただの子煩悩の言い争いとの事。魔法が使えるとか使えないで言い争っていたとはのう。しかし……


「父上。魔法が使えるくらいで、張り合う必要はなかろう」

「そうか?」

「ワシもまだまだ学んでいる身。人に自慢できるような魔法は使えんよ」

「ほれみろ。お前の娘は大した事ないだろ」

「「はぁ?」」


 父上と母上がピキピキしておる。父上は良いとして、母上の顔が怖くて見れないのじゃ……


 そこにじいじがやってくる。


「何をそんなピリピリしておる」

「魔法が出来る出来ないの話じゃ」

「何じゃそんな事か」


 じいじがエルダーンの父上の肩を叩く。


「落ち込むでない。ジュエルは別格なんじゃから、比べてはいかんぞ」

「ん?爺さんそれはどう言う意味だ?」

「ジュエルの実力を見て落ち込んでおるんじゃ?」

「この娘が本当に魔法を?」

「何じゃ見せておらんのか」

「見せびらかすものではなかろう」


 じいじがここにいる全員を見渡す。


「時には力を見せる事も重要じゃよ?」

「そう言うもんかのう?」


 今度はワシが全員を見渡す。


 ニヤニヤ笑う叔父に、その息子エルダーン。バツの悪そうな父上に、じっとワシを見つめるじいじ。そして目が笑っていない笑顔の母上。

 母上を見てしまったのじゃ!あの目はヤレと言わんばかりの威圧がある。


「これはやらねばならんようだ」

「ジュエルちゃん。手を抜いたら……」

「全力でやるのじゃ!」




 場所を移して家の中庭に来た。ここならある程度の魔法は撃っても大丈夫だろう。


「そう言えば、煽っておったじいじはどこへ行ったのじゃ?」

「親父は何か準備してくると言っていたぞ」

「親父はいいから、早く始めようぜ」

「居ないところで始めたら面倒だぞ?」

「……っち。待つか」


 皆でじいじが来るのを待つ。ワシはさっき走ってきたから、ストレッチをやっておくかのう。


「っふ。ん〜ジャム押してくれ」

「はい。畏まりました」

「お前、何やってるんだ?」

「見て分からぬか?ストレッチじゃよ」

「ふーん」

「お主も準備運動はしておくといいのじゃ」

「そんなの必要ないだろう。魔法を見せるだけだろう?」


 この少年は偉く自信家じゃのう。魔法を見せるのはすごく大変な事のはずじゃが。

 本人が良いと言うのであれば、ワシは強制はせん。


「あら、お父様が来……その剣は?」

「なーに。安全策じゃ」

「待ちわびたぞ親父。なんだそんな剣持ち出して」

「まぁジュエルだからな。それくらいしてくれた方が助かる」

「兄貴も親父も何を言ってるんだ?四歳児の魔法だろう?」

「普通の……」

「四歳児ならのう」

「ふふふ」


 何か父上とじいじが失礼な事を言っておる気がするのう。まぁ自覚はしてるからいいが。


「お爺様も大袈裟だな。あの剣出すなんて」

「そんなに凄い剣なのか?」

「僕もよく分からないけど。大事な戦いの時に使うってお父様から聞いた」

「ほう。そんな剣を出すとは、じいじも本気じゃな」

「じいじ!?お爺様だろ!」

「じいじはじいじじゃ」


 何かぎゃーぎゃー騒いでおる。子供じゃのう……そう言えば四歳児か。


「で?どっちからやるのじゃ?」

「私から!」


 じいじがワシを見てくる。順番の事だろうか?


「ワシは後でええぞ」

「ならエルダーンからじゃ」

「見ていて下さい……《ファイヤーボール》」


 ―ぼっ


 ヒョロヒョロ飛んでった火の玉が空中で弾けて消えた。


「ほう。炎系統でそこまで飛ばせるのか。凄いのう」

「そうでしょう!四歳にして天才かと」

「天才……確かに魔法が撃てるだけ凄い事よのう」

「へへ!」

「…………」


 これが四歳児の魔法じゃと?


「どうした?驚いて声も出ないようだぞ」

「ジュエルはきっと違う意味で声が出ないと思う」

「はっはっは。何を言ってるんだ兄貴」

「ジュエル。何をする?」

「ん?どうするかのう。炎は見た訳じゃし、雷じゃ目で見えん。土は練習中ならば、風か水じゃが……」


 チラッと母上の魔法が頭を過ぎる。


「これで行くのじゃ……《エアリードロップ》」


 ―ふわぁ……ぱぁん!


「こりゃ初めて見る魔法じゃな」

「母上が一番初めに教えてくれた魔法なのじゃ!」

「ジュエル……」

「こ、こんな……ミラージュ姉様が使ってた魔法。確か水と風の混合魔法」


 ワシの魔法を見て、驚いて口を開けた叔父さん。


「お、お前!」

「なんじゃ?」

「魔法使えたのかよ!」

「うむ。言ってなかったかのう?」

「聞いてない!」


 少年はワシに突っかかって来た。言わねばならんかったか?秘密にするのはいけない事なのか?


「そりゃ済まんかった。土系統はまだ出来んが、それ以外の事は出来るぞい」

「は?なんだそれ?」

「何だと!」


 叔父さんがワシに詰め寄って来た。


「なんじゃ?」

「水系統に風系統だけでもとんでもない事なのに、それ以外ってなんだ!」

「なんじゃ?」


 肩を掴みゆさゆさしてくる。あまり頭を振るでない、気持ち悪くなるであろう。


 ―ぴり……


「うぉ!?」


 ―っざ!


 思わず叔父さんから逃げるのに魔法を使ってしまった。


「すまぬ。少しピリッとしたかのう。わざとじゃ無いんじゃ」

「あ、いや……俺も悪かった」

「ほっほっほ。これが四歳児と言うから驚きじゃよな」

「笑い事じゃ無いぞ親父」


 皆が笑い合う中ワシは俯く少年の姿を見た。

ジュエル「大人はどうしてこうも盛り上がれるのかのう?」

エルダーン「さぁな」

ジュエル「不貞腐れるな若者よ」

エルダーン「……同じ歳だろ?」

ジュエル「そうじゃ。腐る暇があるなら……学べ」

エルダーン「……っけ」


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