第八十六話 手掛かりは一目瞭然
前回のアップ時にもの凄い数の脱字報告が!
こんなにあってごめんなさい_:(´ཀ`」 ∠):
すごく助かります。ありがとうございました!
4月最後の投稿!時間過ぎてごめんなさい!
ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
僕達は頂上を目指して歩き始めた。この道が合っているかどうか。少し不安はあった。あったけど……
「確実にここを通ったね」
「武器も何にもないって聞いてたんだけど。狼が真っ二つなんだけど?」
「今回は風を使ったのかと。森で炎系統を使わないあたりは、過去の教えをしっかり守っているのでしょう。さすがはお嬢様」
「そこ褒めるところ?褒めるところか……私の山が無事だから良い事?」
頭をひねる学園長。きっといい事だって思いましょう。
「ジュエルちゃんが倒したって事は、元気に進んでいる証拠だよ。それはいい事ですよね?」
「全くだ!喜べペンタゴン!」
「皆様!こちらへ来てください!」
「何か見つけたかジャ……おぉ……」
ジャムさんの声に皆で声の方へと走る。そこで見たのは何か隕石が落ちたかの様なクレーターだった。
「えぇ……どうしてこうなるの?」
「私にも分かりません……」
「もしや!ジュエルでも苦戦する様な魔物が!?」
慌てる大人達に、何故か違う気がしてならない。
何かが高い所から落ちた様な跡。周りに魔物と戦闘した形跡はないし、落ちて来たものは人くらいの大きさ……
「あ。そう言う事か」
「ツール様何か分かりましたか?」
「はい。これは戦った跡ではなくて、ジュエルちゃんが着地した跡です」
「着地と言うと……木ですね」
なぎ倒されているけど、この木はかなり高い。
「上に登ってこの辺りを散策しようとしたと思う。それで高いことに気がついて降りた……いや、落ちちゃったのかも」
「なるほど。咄嗟の着地が故に魔力を抑えていなかった訳ですか」
「へぇ〜ツールさんはよく見てますね」
「やっぱりルートは山の頂上。急ぎましょう」
「そうですね」
道は間違っていない事は分かった。この道がジュエルちゃんに続く道、ゆっくりなんかしていられない。
「待っててジュエルちゃん」
♢
下山を始めて早……
「どれくらい立ったかのう?よく分からん《ウィンドカッター》」
―ギャァァァ!!
―スパン!
空から急降下してきた敵を風魔法で斬り裂く。
「なんかここだけ時代が違う気がするんじゃが。もしかして別の次元に転移された可能性があるかも知れんな……」
地面に転がる魔物は魔物と言うよりは、どこか図鑑に載っていそうなものが多い。
「よく見れば木も背が高いものが多い。ここは恐竜が生きていた時代なのかもしれん。ウィンド……言うのも面倒じゃな」
―ギャ……
―スパン
出来そうだからやってみたが、風魔法はちゃんと発動した。
「この世界はよくある詠唱みたいなのもないしのう。出来そうだなってやってみたが、案外なんとかなるもんじゃのう」
そんな独り言が空に消えていく。
―スパン!スパン!
「それにしてもワシを狙い過ぎではないか?いい加減諦めて欲しいもんじゃ」
上を見るとぐるぐると旋回する恐竜?ドラゴンにも見えなくないが、それにしては小さいし弱い。
「使い勝手も良いが風も飽きたのう。別の魔法にするか。ふぬ!…………」
―ギャァァァ!
「のわぁ!?」
手を前にかざしたが何も出なかった。そしてそのまま食われそうになった。
「風は出来て、今回は出来なかった訳か……今回は何の魔法じゃったか?」
とりあえず風以外って事しか考えておらんかった。
「そりゃ発動する訳ないか。そうなると言葉を発するのは理に適っておると考えられるのか。長ったらしい詠唱するよりは良いか」
―ギャァァァ!
「ええい!考えておるじゃろうが!《ファイヤーボール》!」
―バァァン!
考え事をしている時に騒ぐから、無意識に一番使いやすい炎系統を使ってしまった。
「あわわ!木に移ってしまうぞ!《ウォーターショット》……ええい!まどろっこしい!《ヘビーレイン》」
―ザァァァ……
木に燃え移りそうなのは、阻止する事が出来た。結果はワシも濡れてしまったが、これくらいは仕方がない事。
「ん?恐竜達がいなくなっていくのじゃ。炎が怖いのか、それとも雨が嫌いなのか?とにかくいなくなったので良しとしよう」
自分で作っておいてあれじゃが、ちょうど良いから髪も洗ってしまおう。飲み水としても確保するのもいいのう。
「ふはぁ〜気がつかんかったが、返り血でベトベトじゃ」
臭いも……どこか生臭い。
「もしや、魔物が集まって来たのってこれが原因が?」
出来る事なら、シャンプーや石鹸が欲しいところじゃが。そんな便利な魔法はない。
「今度は道具にお風呂セットを持参する必要があるのう。しかし邪魔になるのが気に……そうかアイテムボックス的な何かか!今度店主のところに探しにいくか」
色々とやりたい事が出てくる。すると、ふと感じてしまう。
ここが前にいた世界と違う場所であったら?
「シャンプーどころじゃない。ツールとも会えなくなる……」
降った雨が止む。止んだはずじゃが……頬を伝う水は無くならない。
「結構楽しかったなぁ…………」
目を瞑れば思い出す色んな思い出。
…………楽しかった。自分が思っている以上に。
ジュエルちゃん!
ジュエルちゃんと呼ぶツールの声が何度も聞こえてくる。
「あぁ……」
「ジュエルちゃん!」
「え?」
目を開けて振り向くとそこにはツールが居った。
「とうとう幻覚まで見えてしまうんじゃな」
「幻覚それよりずぶ濡れだけど……あれ?もしかして泣いてる?」
「泣いてなどおらん!これは……雨じゃ」
―パシ!
「触れる?幻覚じゃない?」
「うん。そうだよジュエルちゃん」
「ワシだけ変な世界に飛ばされた訳じゃ?」
「ないよ!」
「夢でも見ておるのか?」
「夢でもないよ。迎えに来るのが遅くてごめんね。さぁ……帰ろう!」
「ふ……ふぇ……」
「よしよし。怖かったね」
ツールはそっと私を抱き寄せる。そしてそっと唇に触れる温度が、今が現実だと実感する事が出来た。
ジャムストーン「お嬢様……良かったです」
バーン「良かったのうジュエル……」
ペンタゴン「二人とも泣いてるの?」
ジャムストーン「もらい泣きです」
バーン「綺麗な涙じゃ……見つけてもらって良かったのう」
ペンタゴン「まぁ無事でなにより。それより私達はどうしましょう。絶対出て行けば空気読めない人ですよね?」




