第八話 街でびゅー!
雨降ってから雨雲レーダーを見る。なぜこのタイミングで降ったし!あと少しで止むのか(゜∀゜)これ凄い!って今更思います。
ブックマーク、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
四歳になり、街へ買い物に行く事になった。無論、一人ではなく母上とだがの。
「あら、ジュエルちゃん。今日もママのお手伝い?偉いわね」
「そんな事はないのじゃ。ワシに出来る事なんぞ少ないしのう」
「し、しっかりしているのね……」
少し引かれたかのう?しかしワシはおかしな事を言った覚えはないが。
「それに随分としっかりした話し方ね……」
「おじいちゃん子で。お爺様の言葉ばかり覚えるのよ」
「あぁそれで……こほん。この時期の子供は何でも真似したがるしね」
「そうなの。言葉を覚えるだけならいいんだけど」
「領主様に似たりしたら……今は元領主様かしら」
母上の知り合いなのだろう。もしくは奥方は道端で話す事を好むと聞いた事もあるしのう。一人でどこかに行けば迷うかも知れぬ。ワシはただただ会話を聞いている事しかできん。
しかし長いのう……さっきまで一人だったが、知らぬ間に増えておるな。
適当に腰掛けられそうな所で、その様子を座って待つ事にしよう。こんな事もあろうかと、本を持ってきて正解じゃな。
「…………」
視線を感じるのだが……これは放って置くべきか?母上と話している方から感じるのう。
「さすが領主様の娘様。四歳なのにあんなに大人しく待てるなんて」
「本を読んでいるなんて、賢いのねぇ」
「うちの子とは大違いだわ」
「女の子の方が発育が早いって言うしねぇ」
どうやらワシの話題らしい。四歳になり初めて街に来たから、もの珍しいのかもしれんな…………領主の娘とはやはり注目されるのは致し方がないのだろう。
「おい。おまえ」
「……」
「そこのピンクの髪のおまえだよ」
気がつけば子供数人に囲まれておる。母上達は、会話に夢中でワシの事は気づいておらんようだ。やれやれ、さっきまで話題の人物じゃったのに……。
「聞いてるのか?」
「はぁ〜聞いておる。何じゃ童よ」
「わっぱ?変な喋り方だな。それよりおまえ、俺のケライにしてやる」
「お断りじゃ。用が済んだのなら、ワシは読書に戻るぞ」
再び本に目を落とすと、目の前から本がなくなった。
「この!オレがケライにしてやるって言ってるのに、本なんか読んでるんじゃねー!」
「童よ。それはまだ全て読んでおらん。今すぐ返すがよい」
「うるせー!こんなのこうだ!」
少年の手に握られた本は、宙を舞いその先の噴水目掛けて飛んでいく。
「む。水はいかんのう……《エアリーソフト》」
―ぽふ
風のクッションに乗った本は、水に落ちる事なく空中で停止する。
「こう……ちょちょいっと…………後少しじゃ……」
ゆっくり自分の手元に来るように引っ張る。まだ魔法に不慣れなワシは、出した後の操作は苦手である。
周りの者に邪魔されたら失敗していたかもしれん。しかし誰もそれを止める者はおらんかった。
「うむ。こんなものじゃろう」
―ぱす
本を手に取り、無事かどうか確かめる。破れていたりは特にないようじゃな。
「ふぅ。一安心じゃ」
「おまえ……今何した?」
「何とは?ワシはただ空中にクッションを作る風魔法を使っただけじゃよ。お主らも出来るであろう?」
「まだ学校で習ったばかりで、あんなの見た事ないぞ」
「風魔法の初歩であるぞ?」
「そんな魔法聞いた事ない」
おかしいのう。母上はだいぶ前に教えてくれたんだが。何でも高い所から落ちても、この魔法が出来れば無事に着地出来るとかで……
「こら!あんた達!」
「やべ!先生だ!」
大きい声に母上も気がつき、ワシのとこまで戻ってきた。先生と呼ばれる人と入れ替えに、童共はいなくなった。
「申し訳ない。君、大丈夫だったかい?」
「ジュエルちゃんどうかしたの?」
「どうもしておらんよ。本も無事じゃ」
「失礼だが、その本は『帰巣の魔法』でもかけてあるのかい?」
「聞いた事ない魔法じゃな」
『帰巣の魔法』先生殿が言うには、一定距離離れたり、壊されそうな時に主人の元へ戻る魔法だとか。実に便利じゃのう。
「それはどの系統で使えるのじゃ?」
「ええっと、私も聞いた事があるだけで。詳しくは……」
「そうかのう。便利じゃから覚えておきたかったのだが」
「…………」
先生殿にじっと見られる。
「何じゃ?」
「ごめんなさい。それじゃなきゃ、さっきのは何だろうって考えちゃって」
「ジュエルちゃん何したの?」
「母上に教わった初歩の風魔法じゃ」
「お嬢様はもう魔法が使えるのですか?」
「使えるわよ」
再びじっと見られる。
「うちの生徒にいましたかね?」
「まだ修学時期じゃないのよ」
「むむ!よく見たら、貴方様はミラージュ様!そうなると……」
「ジュエルはまだ四歳なの。お世話になるのは後三年先じゃないかしら」
「噂の領主様の娘様!重ね重ね無礼を!お許し下さい!」
頭を下げる先生殿。
何が無礼なのかよく分からんが……ここは母上に任せればよい。
「良いのよ。子供同士のやった事だし。ジュエルちゃんは何ともないのよね?」
「問題ないのじゃ」
「そう言う訳なので、そんな地面に頭を擦り付けなくて良いのよ?」
「いえ!それではなく!私が質問を……」
「あ。そっち」
領主の娘と言うのは、そんなに偉いのかのう?偉いのは親であり父上であって、娘が偉いかと言われたら違うであろう。
「もうよい。領主の娘だからと特別扱いはいらぬ」
「しかし……」
「探究したい気持ちはワシも分かる。それが誰であろうと、興味が勝るのは致し方ないのである」
「何と慈悲深い……それでは!」
「母上。買い物」
「あーそうね。それじゃ先生」
何かに祈る様な先生を置いていき、母上とその場を後にした。何か聞きたそうだったが、話が長そうだから買い物を理由に撤退。母上もうまく回避に協力してくれたのじゃ。
街に初めて来た記念すべき日。ただの買い物が気がつけばもう夕刻じゃ。知らぬ子供と言葉を交わし、街中だがうまく魔法もコントロール出来た。
ワシとしては本の続きが早く読みたい。そんな事ばかり考えておった。
先生「あぁ……あの子はあの年で魔法を…………」
生徒「先生!さっきからぶつぶつ何言っているの?」
先生「後3年くらいか……それまでの楽しみが増えた。今はこの子達をあの子に負けないくらい育てなきゃね!」
生徒「なんか嫌な予感すんだけど」
生徒「こっちの話聞こえてないみたいだけど」
先生「よし決めた!練習メニューを二倍にしてみよう」
生徒「突然やる気出した!?」
生徒「街で一体何があったんだ?先生の興味湧く何かが!?」