第七十八話 無事帰還に不安
時間遅れてすいません!
次回は少し余裕持って書きます。
ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
九層まで降りるのは2日くらいかかったのに、帰るのはあっと言う間じゃな。
「まだ日が沈みきっておらんな」
「中ですと時間は分かりませんからね」
「それよりここどこ?訓練場でもない気がするんだけど?」
「入口と出口は違うんじゃろう。学園の中じゃが……」
外に出たワシらはウロウロと歩く。
「今、ペンタゴンに連絡したから。すぐここに来るわよ」
「お。すまんのうアズ」
待っていれば誰かが迎えに来るのであれば、下手に動かず……
「……ま!」
「ん?何か聞こえたような?」
「気のせいだろう」
「いや、何かが近づいて来る……」
何かがもの凄い速さでこちらに近づく気配が一つある。
「お嬢様!!」
「ジャム?」
「はい!お怪我は御座いませんか?」
「怪我なんぞせんよ。それに怪我をしても、スノウがおるし心配ない」
「したんですか!?」
「じゃから、しておらんと」
「見せて下さい!」
あーもう好きにしてくれ。
隅々までじっと確認するジャム。しばらく好きにさせておれば、おとなしくなるじゃろう……
「失礼します」
「これ!服をめくるでない!」
「しかし見えないところにアザでもあったら!?」
「ツールが見ておるじゃろう!そう言う事は部屋でやるのじゃ!」
ちらりとツールを見ると手で目を隠して……チラッと指の隙間から目が合う。
「やめよ!!」
「はぅ!?」
ジャムに軽くツッコミ入れて服を整える。ジャムは心配性じゃな。
「学園長はどうしたのじゃ?」
「すぐに来られると思います。私は知らせを受けて、全速力で来ただけですから」
「そんな感じじゃな。さっきまで料理でもしておったのか、良い匂いがするのう」
「十層に来ると思い、休憩の準備をしておりました」
「やはりあの料理はジャムか。美味かったぞ」
「ありがとうございます」
皆もそれぞれジャムにお礼を伝えておると、学園長がやってきた。
「やぁ。お早い帰宅だね。100層行っちゃうのかと思ってたよ」
「俺もそのつもりでしたよ?でも九層でドラゴンは無いですよ……」
「あれはちょっとワイバーンと間違っただけだよ」
「ちょっととかじゃ無いし!?」
「でもあのドラゴンは幼体で、ジュエルさん倒してたじゃない?」
「何を言ってるんです?ジュエルの一撃で無傷でしたよ」
「そんな事はないよ。見事なまでに首を一太刀。床に落ちてたよ?」
「え?」
学園長と話していたエルがワシを見る。
「すると?あの最後の音は……」
「首が落ちた音なんじゃろう」
「うわぁ倒してたのか。勿体ない事したのか?」
「そうでもないさ。どちらにしろジュエルだけがドラゴンに挑んだんだ。パーティーとしてはあそこが限界。どちらにしろ帰宅していただろう」
「ファクターの言う通りですわ。今回はいい勉強になりましたし、次また課題を受ければ良いだけの事。まさかジュエル一人に任せて、行けるところまで。なんて考えてませんわよね?」
「ま、まさか〜スノウさん!そんな事は思ってないですよ」
「それなら宜しくてよ」
絶対エルは進めるとこまでと考えておったな。ワシはそれでも良かったが、皆のプライドが許さんじゃろう。
「まぁ突破は十層までが今回の結果で。100ポイントあげよう」
「さすが学園長!」
「一人16点計算じゃな。なので勉強を疎かにしてはいかんぞ?」
「分かってるさ!よし!今から帰って訓練でもするか!」
「俺は今日は帰って休むとする。昨日はすぐ眠りについたし、思っている以上に疲弊しているかも知れないからな」
「僕もそうする」
エルは訓練でファクターとツールは休む。こう言うところで性格が出るよのう。そうなるとスノウは休んで、ライドはエルに付き合うじゃろう?ワシは……
「ワシは食事じゃ。ジャムが作ってくれておるのじゃろ?」
「はい!無事に帰ってきて頂いたので、腕によりをかけます」
「ふむ。それであればワシだけじゃ食べきれんのう。皆もどうじゃ?」
「食事であれば喜んで」
「僕も行くよ」
「訓練前に腹ごしらえは必要だよな」
男子達は来てくれるようじゃ。
「それであれば、私もお手伝い致しますわ」
「なら私も手伝うよ」
「二人がやるなら、ワシも手伝うか」
「「「大丈夫です」」」
「そ、そうかのう?」
なんか凄い圧で言われたが、そこまで言わんでもいいじゃろう……まぁ料理はした事ないから、邪魔になってしまうか。
「俺も手伝うか?」
「いいの。この前作ってくれたんだから、ファクターはジュエルと待ってて」
「そうか。分かった」
「ではワシらはテーブル確保しておくか」
学園長も一緒に来るかと思うけど。動かずその場におる。
「どうしたのじゃ?学園長も行かないのか?」
「あーちょっとまだやる事あるから。無事に帰ってきたお祝いなんだから、皆で楽しんでおいて」
「そうか?なら良いが……」
少し真面目な顔をして何を考えておるのか。
「アズ。少し学園長に話を聞いてみてくれるか?」
「まだご飯出来るまでなら」
「かまわん。出来たら呼ぶぞ」
「ならいいわ!」
アズに情報収集を任せて、ワシはその場を後にする。
♢
ジュエルに言われたから、ペンタゴンの側に残った。
「どうしたのペンタゴン?」
「アズはどう思った?」
「ドラゴンの事?それともジュエルの事?」
「どっちもだ」
「私もドラゴンはやり過ぎだと思ったけど」
「あれは元々はワイバーンを配置していたんだよ。それが何かの手違いでドラゴンがいた」
「手違いでドラゴンって、ジュエルがいなかったら洒落にならないわよ?」
「そうだね。でも俺の魔法陣でドラゴンなんて転移出来ないんだよ」
でもあれはドラゴンだったわよね。幼体だから出来たんじゃ?でもそうなった段階で、ペンタゴンが気付かない訳ないわよね。
「それの問題があるのは分かるけど。ジュエルの事は?」
「ドラゴンって伝説と言われる存在なんだよね。それを臆する事なく挑み、更には一撃で討伐してしまう。これってどう思う?」
「どうって?ジュエルは度胸も実力も、下手な冒険者より凄いだけじゃない。そんなの初めからじゃないの?」
「ジュエルさんってバーンの孫ではあるが、十歳の女の子なんだよ?」
「あー子供にしては肝が座ってるわね。そんなの貴方もそうじゃない?」
「俺でも十歳でドラゴンと戦ったりしないよ」
そうかしら?挑んだりしてたと思うけど?
「今回の事で何かが干渉している。そんな気がしてならないんだ」
「考え過ぎじゃない?大精霊の私が居て、誰が干渉するっていうのよ?言っておくけど私は何もしてないわよ?」
「それは分かっているよ。アズが居たからこれくらいで済んだと思っているくらいだよ」
「あ、ご飯出来たみたい。じゃ、行くわね!」
「…………君は自由だね」
「大精霊に縛りはないのよ。まぁ貴方の不安は分かったわ。私も少し気にしてあげるわ」
「そうしてくれると助かる」
「それじゃ、ペンタゴンも何か分かったら教えてよね。それじゃ〜」
私はその場を後にしたけど、ペンタゴンは少し魔法陣を見つめていた。
何かが干渉ね…………ジュエルはやっぱり何かあるわね。私が見てあげないとね!
別に面白そうだからとかじゃないから。心の中で自分に突っ込んでみる。
ジュエル「それで学園長は何と?」
アズ「ん?ドラゴンがいるのも、それを一撃で倒すジュエルもおかしいって」
ジュエル「ざっくりし過ぎじゃ。もっと詳しく教えて欲しいが……」
ジャムストーン「出来ましたよ。甘い物も特別に用意しました」
ジュエルとアズ「「おぉ……話は後でいいか」」
ジュエル「じゃな!」
アズ「そうね!」
ジュエルとアズ「「いただきます!!」」
学園長「アズは話ししてくれただろうか……そう言えば食事と言ってたか。無理だろうな」




