第七十一話 初めてのボス戦②
担当店舗が増え……
なんかもう分かんなくなってきたわ!
ノリと気合で乗り切るしかないo(・x・)/
ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
全体の構成は見た。ゴブリン達は全部で六匹。指揮官に戦士と盗賊。ハンターに攻守の魔導師が二匹。隠れて近づいて来た盗賊は壁に埋もれてまだ動く気配はない。
「そうなれば……やはり魔導師がセオリーよね。ツール!片手用の剣を!」
「分かった!」
「ジュエル?」
「ごめんねスノウ。私は奥の二匹と遊んでくるわ……」
「言葉が……いえ、分かったわ。気をつけて」
「スイッチ入ったのねジュエル!これは楽しくなって来たわ!」
頭の上にいるアズが少し鬱陶しい。私が動けばついては来ないだろうから、少しだけの我慢か。
「ファクター!前に出るわ!」
「ジュエルの言葉が……そう言う事か。後ろは任せろ」
「任せた!」
「……出来たよジュエルちゃん!」
―ッダ!
ツールの声と共に走り出す。地面に刺さった片手用の剣を掴み……
―パシ!
「《パワーライズ》《アトリビュートグラント》《ファイヤーソード》」
―ズボ……ボォウ!
しっかりと手に馴染む。緊張もどうやら解けたようだ。魔力の流れも問題は全くない。いつも通り私好みのいい剣だ。
「ありがとうツール!」
「足りないところは僕が埋めるから、楽しんできて」
「ふふ。お言葉に甘えさせてもらうわ!」
―ダン!
ツールにあんな事言われたら楽しむしかないわね!一歩につい力が入ってしまう。
ツールが作った壁は崩れている。相手からは私の姿は見えているだろう。しかしそんなのは関係ない。
「今の私が見えるかしら?」
―ッサ……キィィィ……
魔導師のゴブリンがいた所より、少しだけ通り過ぎる。何かと剣が当たった甲高い音が、少しだけ響く。それを止めるかの様に私は剣を振る。
―ブン!
―ギィ?
短いゴブリンの声。
その後すぐに何かが落ちた音。
―バタァァン!
その場でゴブリンは前のめりに倒れて動かなくなる。
「ふふ。少し早過ぎたかしら?次は……」
―ギギャ!?
隣にいたゴブリンが突然倒れた仲間に驚く。指揮官らしきゴブリンへと視線を向けている。
「あら?見えてないのかしら。私に背中を向けて……」
―ッサ……キィィィ……
「楽しむ時間も無かったわね」
―ブン!
―バタァァン!
―ギギィ!!
「何を言っているか分かりませんが……次はあなたが相手をしてくれるのかしら?」
そして指揮官のゴブリンに向けて走り出す……
―ガコン!
「へ?」
走り込んだ二歩目の床が突然なくなる。
「ボス部屋に罠とか頭おかしいのじゃぁぁ……」
「ジュエルちゃぁぁん!?」
「ふぬ!」
―ザク!ザザザ……
何度も落ちて慣れたワシに、不可能なんぞないのじゃ!持っていた剣を壁に突き刺し勢いを止める。そしていつもの様に空中に足場を作る。
「とう!」
「ジュエルちゃん!」
「安心せい!無事帰還じゃ!」
「ぶは!ボス部屋でも罠にかかるとか!あはは〜おかしい」
ワシの姿を見て安心そうな顔をするツール。そしていつの間にか居なくなってた、アズがその頭の上で笑いこける。
今すぐツールの元へ行き、アズを握りしめたい。しかし罠があるなら周りに迷惑がかかる。下手に動いてこの状況を悪化させる訳にはいかん。
「ファクター!どうすれば良いのじゃ?」
「そこから動かず援護出来るか?」
「任せよ!」
今立っておるのは三匹だけじゃ。指揮官はツールと一緒に牽制すれば何とかなるじゃろう。
後はあの二人次第じゃな。
♢
ジジがいると言うだけで安心出来る。スノウに近づいた一匹のゴブリンを蹴り飛ばし。魔導師二人もあっという間に倒しちまった。
「勝てないなぁ……」
子供の頃はいつも一緒に稽古をしていた。そんなに差は無かったはず。
しかし魔法の事になると、あいつは何でもすぐに出来てしまう。負けないように努力もしてきた。その結果がこの差である。
「ゴブリン一匹で躓いてたらダメだよな」
一人で何を言っているのか。でも言わないと何でも出来るジジに嫉妬で……
―ガコン!
「へ?ボス部屋に罠とか頭おかしいのじゃぁぁ……」
綺麗に目の前から消えるジジ。
そして何事もなかったかのように帰還する。
「はは……しまらねぇなジジは」
完璧に見えても運に恵まれてなかったり、たまに馬鹿をするところは昔から変わらない。
「誰でも完璧って訳じゃないんだよな……」
目の前のゴブリンを見る。俺の攻撃を捌かれているけど、攻撃に関してはその隙を与えていない。
俺に出来る事を着実に積み重ねるしかないな。
「悪いがここからは本気でいかせてもらう!」
―ギギィ!
言葉が通じていないはずだが。相手に返事をされた気がした。一人の戦士として……俺の戦いはこれからだって感じた。
♢
エルの方を見ると、何やら邪魔してはいけない雰囲気じゃ。まぁ見た限りは優勢であるし、ほっといていいじゃろう。エルはあれでかなり強いからのう。
そうなるとライドの方は……
「よっは!せあ!」
―ギギャ!?
「ライド〜手伝うか〜?」
「いらないわ!ジュエルの援護だと当たりそうで怖いから」
「失礼な!そんなノーコンではないのじゃ!」
「冗談よ!こいつは私一人でやらせて欲しいわ!」
「分かったのじゃ」
そうなるとこの指揮官を何とかすればいいか。
ツールとワシに挟まれ、先程からその場を動かない。何かあるんじゃないかと思う。
あ、罠があったな。
「近づけないのは面倒じゃな……いっそ」
「ジュエルちゃ〜ん!皆が動けるようになるまで、そこから動かないようにね〜」
「分かったのじゃ〜」
最近のツールは、ワシへのエスパー力が上がっていると思うのじゃ。何かしようと考えると、それに合わせて声をかけてくれる事が良くある。
こうなると魔法を工夫して戦うしかないか。
その場を動けないのであるとしよう。あの場一帯を焼き払う大型の魔法で……
「あ、そうだ!広範囲な魔法もダメだからね〜僕らも皆巻き込まれちゃうから!」
「も、もちろん分かっておるのじゃ〜」
どう戦えば良いのじゃ?考えねば……誰にも迷惑にならない魔法を……うーむ。
無くない?
アズ「はぁ〜お腹痛い」
ツール「そんなに笑っちゃダメだよ」
アズ「でもブレないわね〜って思うじゃない?」
ツール「ジュエルちゃんは素直なんだ……あ、そうだ!広範囲な魔法もダメだからね〜僕らも皆巻き込まれちゃうから!」
アズ「さっきからよく気がつくわね」
ツール「相手の気持ちを考えると、多分こう感じてるんだろうなって分かると思うけど」
アズ「ジュエルの気持ちね……」
ツール「そうだ、アズ様。ジュエルちゃんに伝言をお願い出来ますか?」
アズ「仕方がないわね。私が助言してあげるわ〜」
ツール「アズ様が頼りです!お願いします!」




