第七話 とある噂がやばい件
少しずつPVが増えていってる。ありがたい事です^_^
ブックマーク、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
真相は墓まで持っていくとしよう。って事で、雷系統の練習再開じゃ。
「で?出来そうかのう?」
「本で読んだ内容じゃ無理じゃ。じいじの話を聞きたいのだ」
「どんな話を聞きたいのだ?」
どんな話をか……見て理解出来ん事は何じゃろうな。
「バーン様。お嬢様はまだ三歳ですよ。始めて見る魔法の性質の質問ができる訳がありません」
「そうかの?ジュエルの中ではもうじき答えが出てそうだけどのう」
「電気信号は……反応を加速……であれば?……」
「何を言っておるか分からんが、頭で整理しておるのだろう。暫し待てば良い」
「はぁ。こうなっては待つしかありませんね」
まずは雷系統の魔法について考えて見るとしよう。雷とは電気。身近な自然現象であるのは、やはり静電気かのう。布を擦り合わせて発生する摩擦……プラスとマイナスの性質が偏る時に発生するのは分かるのだが。
「ふむ」
右手で服を擦り、左手に右手を近づける。右に溜まったマイナスの電帯を……
「……って分からん」
ワシは科学を専門として学んでおらん。正直言えば、これ以上の事は分からん。何となくでは出来ないのが魔法である。
「じいじ。雷はどこを通るのじゃ?」
「魔力の回路は血管を通ると言う者もおるが、雷は違う。この魔法は動けと命令する脳に作用させる魔法じゃ。従って電気の通り道と聞かれたら、五感から脳を通り身体となる訳じゃ」
「五感から脳に……」
五感から判断して、動けと筋肉を動かす訳だから。じいじの側に動く場合は右足を前に出す。そして次は左足を前に、足だけ動かせばいい訳じゃない。
―ぴり
なるほど、その信号の流れが伝わる過程で雷なのか。視覚で目的地を決める。体を支えつつ、足を動かす。そして勢いを殺すように、しなやかに……
―っざ!
「こうかの?」
「ほほ!初手でいきなりこれか!では身体が覚えているうちにおさらいじゃ。着いて来れるかの?」
じいじに答えを見せて、満足そうに微笑む。そしてすぐに次のステップへと誘われる。受けてたとうじいじ!
そしてじいじと一緒に庭を走る。
「あれが三歳と誰が思うでしょうか……」
「あはは」
「あはは」
呆れた顔のジャム。その言葉に気づき、しかしじいじと走るのが楽しすぎて気づかぬふりをした。
数周して体が先に限界を迎える。
「はぁはぁ……もう…………」
「体力は増えないからのう」
「そんな悠長に見てないでください!お嬢様!」
ジャムに抱き抱えられる。いかんのじゃ……もう指一本動かすのが怠い。
「調子に乗り過ぎたかのう。すまぬジュエル」
「良いのじゃ。じいじ……楽し……かったぞ」
「ジュエル!」
「はい。お嬢様はお風呂に行きますよ。バーン様も整理運動にお風呂でマッサージをお忘れなきよう……」
「そんな年寄扱いしおって。ワシはまだまだ現役じゃ」
「引退したんですから、そんな事言えませんよね。私、忠告はしましたよ」
ジャムに連れられお風呂へ。汗を流し簡単な食事を済ませ、今日は早く寝る事にした。
翌日は筋肉痛で苦しんだ。
「三歳の回復力を持ってしても……」
「調子に乗るからです。ちなみにバーン様も療養中です」
「じいじ大丈夫かのう?」
「はい。お嬢様に会いに行くと、無理をなさるので縛り……見張りをつけています」
縛るのも見張るのも、どちらも年寄りにする事では無いような。
「ただの腰痛です。年甲斐もなくはしゃぐから」
「ジャムはじいじに厳しいのう」
「バーン様にはこれくらいで丁度いいのです」
数日後、またじいじと雷系統の魔法訓練を行った。同じ失敗を繰り返すわけにいかないワシは、ジャムの言う事に従うようにした。
自分ではどうも歯止めがかけられん。普通の感覚を持ったジャムの目こそ、ワシに必要は一般的な人の感情。
その後、屋敷の外を元気に走り回るワシに向ける目は微笑ましいものであった。
「どうしてこうなってしまったのでしょうか?」
「ジャム!みてみて〜!」
「お嬢様。その年代の子供が前方宙返りは行えません!」
「またまた〜ジャムは面白い冗談を言うのう」
確かに手をつかずに跳ぶのは、脚力も使うからのう……であれば、これならどうじゃ!?
「お嬢様。その年代の子供はバク転も出来ません!」
「なぜじゃ?ワシは手をついておるぞ?」
「手をつくとか、そんな次元の話ではありません」
「そうなのか?子供は難しいのう」
四歳前にしてワシは雷系統の魔法を使いこなし、元気に走り回る素敵なレディへと育つのであった。
そして時は少し進み四歳の誕生日。
「あっという間だな。ジュエルにはこれをやろう」
「ありがと〜父上!」
父上から剣を頂き、足元にギュッとしがみつく。念願の剣をゲットできたぞい!これでおもちゃの剣ともおさらばじゃ。これさえあれば……ほっほっほ、楽しみが増えるであるな。
「私からはこれよ」
「何じゃろな〜」
中身が何か分からん物を開けるドキドキは、いくつになっても楽しみなものじゃ。包装された紙をビリビリにはせんよう、丁寧に剥がす。
高そうな箱をそっと開けると……
「ふはぁ〜綺麗」
「やっぱり女の子ね」
「さすが奥様。素敵です」
「ペチュニア?」
「ふふ。そうよ。ジュエルが一番初めに綺麗って言った花よ」
母上からはペチュニアをモチーフにしたペンダントを頂いたのじゃ。男で宝石やアクセサリーに疎いワシにも分かる。思わず声が漏れてしまうくらい凄いという事。その反応に満足したように母上の顔がにこやかになる。
危なかったのじゃ。剣はあまり喜び過ぎると、母上の機嫌が悪くなる。喜びの表現として父上にハグをするという必殺技で片付けた。結果はアクセサリーに感動する娘を演じる事が出来た。物は本当に驚いたんじゃがな。
「次はワシじゃな。これじゃ」
「んー?これなんじゃ?」
「ええから開けてみー?」
これまた何かに包まれた物を剥がす。
―ビリビリ……
「あ。杖!?」
「「え?」」
「二人が渡してないようじゃからな。あれ程の魔法が使えるのに、杖無しとはいかんじゃろ?」
「じいじありがと〜」
杖を手に取り構えてみる。うむ!実に魔女っ子のようじゃ!
「親父……俺、ジュエルが魔法使えるって話したっけか?」
「ん?そう言えば聞いておらんな」
「親父……ジュエルにどこまで?」
「どこまでとは何じゃ?」
父上が頭を抱え始める。何か問題かの?
「ここ最近忙しくて、ただの冗談かと思って聞かないフリをしていたのだが…………屋敷を走り回ったり?」
「それくらい誰でもするじゃろう」
「四歳前の子が1キロ以上ある屋敷の外周を走れるのか?」
「ジュエルは頑張り屋さんじゃからのう」
「まさかとは思うが……雷系統の魔法は?」
「ジュエルは初手で使ってみせたぞ?ワシも驚いたわい」
天を仰ぐ父上。おっとやり過ぎじゃったか?
「雷凄いのじゃ。ぴりっとして、びゅん!なのだ!」
「ジュエル……可愛い!」
子供らしくあざとく興奮した様子で話してみる。するとすぐ頬を緩めて、頭を撫でてくる父上……ちょろいのじゃ。
母上はもはやにっこりと微笑むだけ。こりゃ後でじいじが怒られるやつじゃ。ワシはただただ傍観するしかないのじゃ。
少し場がピリっとしたが、じいじからは杖を貰った。そして最後はジャムから土魔法で作った人形を貰った。
「これは……犬?」
「……猫です」
「あー猫ちゃんよね。目元が凛々しいから」
「でも牙はないからな」
「猫じゃの」
犬と言ったじいじ。母上と父上がすかさずフォローを入れる。息の合った綺麗なコンボじゃ。
そんなやりとりに気を少し持っていかれたが、猫と呼ばれる人形をマジマジと見る。
継ぎ目などなく、手先の爪など細部にまでこだわりが見える。
「この爪の隠している部分の細かい……目は今にも動き出しそうなほど綺麗に光っておる」
「ジャムは土系統の魔法が得意じゃからな。造形物などは見事としか言えんものが多いのだ。絵心は別じゃが」
「ジャム凄い!ありがとう!」
「いえ、気に入って頂けたのなら」
「凄く気に入った!」
これは新しい魔法の可能性じゃ!土魔法とは奥深い……そしてこんな身近に師匠がおったとはな。四歳になったワシは次なる興味……まだまだ知らない事が沢山じゃ!
ミラージュ「ねえジョリー……私変、な噂を聞いたの」
ジョリー「どんな噂だい?」
ミラージュ「屋敷を走り回る子供の話」
ジョリー「ジュエルが走ってるんじゃないか?その為に庭は広くしておいた訳だし」
ミラージュ「…………それは屋敷の中の話よね?」
ジョリー「え?違うのかい?」
ミラージュ「屋敷の外周を走っているなんて……シェフやメイド達が噂を…………」
ジョリー「そう言えば弟もジュエルと同じくらいの男の子がいると」
ミラージュ「桃色の髪なんて他にいるかしら?」
ジョリー「俺達、やっぱり何か忘れているな。任せちゃいけない人がいたようなー」
ミラージュ「これは早く仕事を終わらせなければ……ジュエルが寂しがって、何かする前に」
ジョリー「お、おう」