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ジジ転世〜ワシがオナゴでふぁんたじー〜  作者: みけな
第二章 積み重ねる記憶
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第四十九話 お淑やかは明日から②

今年最後の投稿です!

次回は1月6日の12時アップ致します!


ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。

ありがとうございます(*'ω'*)


皆様、良いお年を……m(._.)m

 どうしてこうなったのか。数分前の話じゃが、母上と家まで競争する事になった。

 そしてスタート前な訳だが。父上はじいじと走るつもりでと言っておった。手を抜いたとなれば後でどうなるかも想像できんし……


「ではいくぞ!」


 ―キィィィン!


 考えている内にコインが投げられた。あーもうどうとでもなれじゃ!じいじとの競争の時に使うつもりじゃったが仕方がない!


「マクロ韋駄天……《ゴットスピード》」


 ―ピリ……バチィ!!


「あらあら。これは私もうかうかしてられないわね」


 ワシの様子を見て微笑む母上。これを見てもその余裕とは、一体何をしてくるのか。


「頃合いね。創生の頂きよ……我が道を切り開け!」


 コインが落ちてくる。大層な詠唱じゃが、反応はワシの方が……


 ―キィ

 ―ッドン!


「上じゃ!」


 コインが地面に落ちた僅かな音を頼りに、雷系統で反射神経も強化したワシが先に飛び出す。


「《アイシクルバースト》」


 母上の声が腹の底まで響いてくる。そんな綺麗な声とは裏腹に、後ろから聴こえてきたのは……


 ―バァリィィィン!!!


 何かが割れる様な爆発音と共に。


「先に行くわ」

「何ぃ!?」


 反応速度はワシの方が上じゃった。スタートだけで数十メートル差はあったはずじゃ!それがまさか並ばれるどころか追い越されるなど考えてもおらんかった。


「っく!これしきの風圧なんぞ!」


 ―ダン!


「捻じ伏せる!」

「……」


 スタートには驚いたが、大きな差はつけられておらん。まだ背中は捉えておる。本来であれば風の抵抗を減らす為に、後ろに付くのがセオリーなのじゃが。


 母上の走った後を目で確認すると、キラキラした結晶が残る道がある。確認はしておらんが、おそらくは氷か……こんなとこを走って、足を滑らせたらそれこそ追いつけん。仕方なく母上の道を回避して走る。


「ふぅ……」


 落ち着けワシ。このままでは勝つどころか、差を離される一方じゃ。じいじはどう走っておった?目の前の母上はどうやって走っておる?その全てを取り入れるつもりでいかねば、ワシは負けてしまう。


「ははは。面白いのじゃ!この家に産まれて良かったわい!」


 ワシはまだまだ強くなるのじゃ!今は氷の原理が分からんから、母上を真似する事は出来んから。得意な系統での最高を!


「後の事なんぞ考えてなんぞいられるか!いくぞ母上!」

「来なさいジュエル!」


 雷系統を維持しながら、足の裏のみに限定……踏み込む力に爆発と言う推進力!


「《イグニスバースト》!」


 ―ボカァァン!!!


 着地と同時に次の……


 ―ボカァァン!!!


「ぐ!?」


 この反動半端ないのう。身体強化がなければ、勢いに耐えられず腰が折れそうだわい。


「来たわね」


 ―シャリィン!シャリン!

 ―ボカァァン!!!ボカァァン!!!


 まるでスケートじゃな。こっちは必死じゃが、母上は涼しい顔をしておる。氷だからか少し寒いくらいか?


「随分と大胆ね!そんな走りでは魔力が続きませんよ」

「その為に修行をしてきたのじゃ!街に着くくらいの距離は問題ない!」

「そうね。ジュエルだからこそ出来る芸当ね」


 完全に音より速く走っているからか、爆発音は耳に入ってこない。

 母上の声だけが鮮明に聞こえる。


「ふふ。楽しいわねジュエル」

「そうじゃな!母上とこんな風に体を動かした事はなかったからのう!」

「たまには良いわね。娘と競うのも」

「ワシはいつでも歓迎じゃ!今も……これからも!」

「それでは街まで後少し。悔いのない様にしましょう!」

「うむ!」


 ワシと母上は楽しく話しながら、平原だった場所を爆走する。




 ♢




 これはジュエルちゃんとお母さんが、街へと出発してすぐの事。


「状況確認!負傷者はいないか!」

「は!部隊全員いつでも動けます!」


 コインが投げられた後。僕らの前には大きな壁が立ち塞がっていた。


「よく耐えたジャム。おかげで怪我人を一人も出す事がなかった」

「いえ。旦那様のご指示があったからこそです」

「私は出来ると思い。それを実行出来るのが、ジャムだけだと判断したから頼んだまでだ」

「恐れ多いです」

「さて、では我々も進もうか。進めればだが……」

「???」


 ジュエルちゃんのお父さんが、そう言うとジャムさんが壁を地面に戻す。


「寒っ!?」

「え?何これ……」

「雪景色……いや、これは?凍ってる?」


 ジャムさんが壁で遮るまで草原だったはず。しかし目の前には氷の世界が広がっている。


「派手にやってくれたな。これを見る限り加減を間違ったんだな」

「これが奥様の魔法……」

「いきなり草原が凍るって、どんな魔法を使えばこうなるの?」

「お嬢ちゃんはライトさんと言ったかね」

「はいそうです!」

「水が凍るにはどうなる必要があるかな?」

「水が凄く冷たくなる!」

「…………」


 お父さんが固まっている。一瞬空を見てから、ソイルさんをそっと見つめる。


「苦労するなソイル」

「分かりますか領主様……」

「ちょっとどうしたの?」

「「何でもない」」

「さっきまで怒られてたのに。息ぴったり?」


 僕はただ笑う事しかできない。冒険者ってきっと体で覚えるんだよね。そう言う事にしよう。

 そう考えるとジュエルちゃんは、かなり勉強したのかな?この手の事はクラスの誰よりも博識だった気がするし。


「ん。では学生であるツール君に聞こうか。水が凍る条件が分かるかな?」

「通常の考えであれば、水が0度を下回る必要があるかと」

「良かったまともな回答で……ごほん!しかし水は0度でも凍らないのを知っているかな?」

「え?そうなんですか?」

「過冷却と言うものを知っているかな?」

「すいません。分からないです」

「はは。謝る必要はない。私も始めに見た時には分からなかったさ」


 さすがジュエルちゃんのお父さん。博識なのはお父さん譲りなのかな。


「……確か。この過冷却の水に衝撃を与えたりすると、一瞬にして氷に変わるのそうだ」

「その過冷却の水とは何でしょうか?」

「何と説明すれば良いか……うーむ」


 お父さんがジャムさんをチラチラと目で合図する。


「は。それでは私が説明致します」

「そうか?すまんな、炎系統なら分かるのだが。水となると苦手分野でな。知らない訳じゃないんだぞ?説明の仕方が分からないだけだからな?」

「は、はい。そうですよね。僕も勉強してますが、知れば知るほど難しく思います」

「そうだな。その為の学園だ。頑張るといい」

「はい!お父さん!」

「うむ」


 優しい目線で僕の頭を撫でてくれるお父さん。大きな手だが、暖かさが伝わってくる。


「俺と全然態度が違う……」

「そりゃソイルだし」

「どう言う意味だよ」

「ツール君は賢そうだし。なんか可愛いじゃない」

「そりゃそうだけど。なんだこのやるせなさ」


 ジャムさんが過冷却について皆に話してくれた。


「水の分子が氷になるには、種となる微少な氷の結晶が必要です。しかしゆっくり均一に冷やされると、エネルギーが足りないのです。過冷却とはマイナス5くらいの凍らない水の事です」

「なるほど。でもそれがどうして凍るの?」

「ここからは推測ですが。過冷却の水に氷になる為のエネルギーが、旦那様の言っていた衝撃を与えると言う事だと思われます」

「さすがジュエルちゃんのお父さんと侍女さんだね。凄く勉強になりました」

「私は幼少期からお嬢様の側に居ただけです。本を読みながら色々な考察をされるので、自然と頭に入っていただけです」

「それが凄い事だと思うけど?」


 そうか。ジュエルちゃんは小さい頃からたくさんの本を見たから、あんなに色んな事を知っているんだ。僕ももっと本を読む様にしよう。


「さて、勉強はここまでだ。二人が待ちくたびれんよう、私が先行して氷を溶かして進行する!」

「「「は!」」」


 僕達は馬車に乗り、草原だった氷の世界を進んで行く。


 途中……街道そのものがなくなってると気づくのは、この時の僕達は知る由もない。

ツール「これは……」

ソイル「隕石でも落ちたのか?」

ライト「さっきの揺れたのはこれだったんね」

賊①「俺達よく生きてたな……」

賊②「跡形も残らないってこう言う事なんだな……」


ジョリー「あぁ……」

ジャム「この惨状お嬢様でしょうね」

ジョリー「すまんジャム。整備代出すから……」

ジャム「街道整備はお任せ下さい」

ジョリー「……家族割引で頼みたい」

ジャム「3割引きまでですよ」

ジョリー「っぐ!仕方がない。頼む」

ジャム「ありがとうございます」

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