第四十六話 森を騒がせる魔物達
寒い寒い!痛い((((゜w゜))))
地元の駅で0度になりました。お布団が恋しい季節ですな〜
ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
どれ程の時間が経ったのじゃろう。明るいうちから出たから、日が少し傾いた今は……
「おやつの時間じゃな」
「もうそんな時間?」
「脳が甘い物を欲しておるのじゃ」
「ジュエルちゃんはたくさん魔法は……撃ってないか。石投げたし?」
ジャムが出発してから隠れた賊の討伐。言っても出てこんかったから、木が穴だらけになってしまったわい。
幸いな事に死者を出す事なく、賊を黙らせた。今は捕縛して見える範囲に置いてあるから、ワシは頑張ったと言う事じゃ。
まぁ面倒な捕縛はソイルにやらせたがのう。
「っは!」
「そっち行ったよ!」
「分かってる!」
そして森の入り口付近では、ソイルとライトが魔物と戦っておる。
「ほれほれ、ささっと動かんか。一体漏れておるぞ!」
「《アースウォール》」
―ズドーン!
行く手を阻む土の壁。やったのはソイルではなくツール。
「集まれ……燃えろ!《ファイヤーボール》」
―ゴォウ!
逃げ場をなくした魔物が、ライトの炎によって焼かれる。
「ふむ。新米冒険者と思っておったが、筋は良いのう」
「学園でもあれくらいの炎を出せる人は、そんなにいないと思う」
「発射まで少し遅いが、アシストがあって当たるのであれば及第点じゃな」
「ジュエルちゃんは厳しいね」
「そうかのう?だいぶ優しい評価のつもりじゃが」
それにソイルと言う冒険者の戦い方は面白い。土系統の魔法をうまく扱っておる。
「そんなにじっと見てどうした?」
「面白い戦い方をするのうと思ってな」
「そうか?効率的に戦うなら、足元を崩すのが良いと思っただけだが」
「学園では習わぬ、実戦向きの良い戦法じゃ」
「お、おう。ありがとよ」
地盤を歪めたり、躓く程度に地面を盛り上げたりと工夫が見てとれる。学園では真っ向勝負な魔法が多い中、実戦で培われた技術は見ていて勉強になる。
「ん?飛行型が来るぞ」
「え?あー」
「任せて!集まれ……燃えろ!《ファイヤーボール》」
―ボォウ!
空へ飛んでいった炎の球は、魔物に当たる事なく放物線を描く様に地面に落ちる。
「あれ?もう一回」
「良い。あれはワシが片付ける」
「勉強になります!」
勉強か……であれば炎系統が良いんじゃろうな。幸い空におるから、森の木々に燃え移る心配もない。
「《ファイヤーアロー》」
―ボヒュン!ズバン!
―…………ドシーン!
「「「ヒィィ!?」」」
「意外にでかかったのう」
「綺麗な鳥だね。何だろうこれ?」
撃ち落とした鳥は大人一人分はある。空だったから大きさがよく分からんかった。下に誰もおらんで良かったのう。あ、それで賊の人らは驚いたのか。
「あれって人食い鳥じゃないか?」
「間違いない。こいつは……ビックイーグル」
「そんな名前があるんじゃな……これ食えるのかのう?」
「食うのか!?」
「ダメなのか?」
「いや、知らない。こいつに出会ったら、逃げるしかないから。食べた奴の話も聞かない」
「ふむ。ソイル!捌いてくれ!」
「ちょっ!俺、戦闘中なの!」
見ると猪型の魔物と戯れておるソイル。ライトの魔法も当たらず、外れた炎の球が草原を燃やし始める。
「《アクアショット》」
―ジュゥ……
燃えた草原に水をかけて消火する。それを見たか、ライトが魔法を止める。賢い子じゃな。
それに引き換え……
「ソイル!遊んでおらんで、とっとと倒したらどうじゃ?」
「だってこいつめっちゃ硬いぞ!?」
お得意の足元を崩す作戦も、素早く動く敵に合わせる事が出来ていない。成功したとしても、すぐに立て直して走り出す。走る魔物だけあって足腰が強いのか。
「足腰がしっかりしている者には向いてないのか。いやしかし、発動を早くしたら?穴を深めに掘ったら?うーむ、改善の余地があるのう」
「解説してないで!助けて欲しいんですけど!」
「冒険者が学生に助けを求めるもんじゃないぞ」
「ツールさーん!」
「いや、ツールも学生じゃからな」
突進する猪を紙一重で避け続けるソイル。真っ直ぐ突っ込んでくるから、回避は容易と……
「《アースウォール》」
―ドーン!
「助かる!ライト!足が止まったら魔法を!」
「分かった!」
進行方向にドンピシャで土壁が現れる。速さは申し分ないのう。じゃが……
―ドカァァン!
「あれ?壊されちゃった」
「発動までの速さを重視すれば、強度が下がるのは仕方がない事じゃ」
「それならどうしよう?」
「ジュエルさーん!ツールさーん!」
猪の突進を避け続けるソイル。少しばててきたか、動きが遅くなっておる気がする。当たる前に助けるかのう。
「ではいくか……《フォールダウン》!」
―ダァァン!!
地面を思い切り踏み付け、足から地面へと魔力を流す。進行方向と言うか、踏み込もうとした足の前に大きな穴を空ける。
―ヒュゥ……ドシーン!
「どわぁ!?」
穴が大きすぎたか。ソイルの足元も空けてしもうた。
「危なかったぜ……」
「良い反応じゃ!」
「てかジュエル!今俺ごと落とすつもりだっただろう?」
「はっはっは!そんな事はないのじゃ。足元だけの予定じゃったが、少しばかり穴が大きかっただけなのじゃ」
「少しってこれがか?……よいしょ」
落ちてないんじゃし。万事解決じゃ。するとまた後ろから声がする。
「あれって破壊者じゃないか?」
「間違いない。こいつは……ストライクボア」
「あやつにも名前があるんじゃな……で?食えるのかのう?」
「食うのか!?」
「何じゃ?あれもダメなのか?」
「いや、知らない。こいつに出会ったら、逃げるしかないから。食べた奴の話も聞かない」
「同じ事しか言わんのう……ソイル!捌いてくれ!」
「いやいや、穴の中で元気いっぱいなんですけど!?」
穴を覗きに行くと、壁に体当たりを繰り返す猪。助走をつける事が出来んから、暴れておるだけに見えるが。
「仕方がないのう……《ストーンジャベリン》」
―ズドォォォン!
足元から突き上げた事で猪は大人しくなった。
「「「ひぃぃぃ!?」」」
「ただ串刺しにしただけじゃろう。そんな声を出すんじゃない」
「ひぃぃ!?」
「ソイルお主もか……」
いちいち驚きすぎじゃろう。
しかし振り返るとそこには……
―ガァァァァ!!!!
「でっかいクマじゃな」
「あれって……」
「もうその下りは要らん」
体長は2メートル強と言ったところか。目が赤いし、ヨダレを垂らしいかにも襲ってきそうじゃな。
「ジュエルちゃん!」
「ジュエルさん!?」
「でっかいクマさんだね〜」
ツールとソイルが慌ててワシに元に来る。ちゃっかり隣にいるライトはくまさん呼ばわり。肝が座っておるのう。
それに比べて男はダメダメじゃな〜
「「「ひぃぃぃ!?」」」
男達の悲鳴が草原に響き渡る。
ジュエル「煩いのう。ただのくまさんじゃろう」
ソイル「ただのくまさんはあんな赤く目を光らせたりしないぞ!?」
ライト「あんな大きいくまさん初めて見たよ」
ジュエル「ほれ、ライトを見習うのじゃ。実に肝が座っておるじゃろう」
ソイル「……ツールさん!?」
ツール「僕に言われても。それに僕だってあれは驚いてるよ」
ライト「皆、そこにいる鳥と猪を見て。そしてその後にジュエルを見て」
賊①「あぁ恐ろしい……げふん!なんか怖く無くなってきた」
賊②「そうだな。森を騒がせる魔物より、恐ろしい……げふん!強いお方がここに居たな」
ジュエル「今、恐ろしいとか聞こえたが?」
賊達「「「気のせいであります!」」」
ジュエル「なんか魔力がもうなくなりそうじゃな〜戦えんかも知れん」
賊達「「「姉御〜!!??」」」
ジュエル「誰が姉御じゃ」




