第四十二話 迷わず真っ直ぐ歩く
あーいい感じに暇が欲しい_(:3 」∠)_
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おかしな腕輪をはめられ、変な道具を色々と試される。いい加減変な道具の運用確認されている気がするのは、気のせいじゃろうか?
「これ何かどうでしょう?」
色々な道具を試された後に、店主がまた一つの怪しい物を持ってくる。
「もう何でも怪しく見えるのう」
「そんな!?ただのネックレスではないですか!」
「見た目はのう。で、これにはどんな効果があるんじゃ?」
「これはですね!」
「やっぱり何かあるのか」
見た目はただのネックレス。キーチェーンに小さな板の様な物が付いておる。しかしその板に申し訳なさそうな程度に、魔石が埋め込まれておる。
「二つのチャームを合わせると……」
「と?」
「ピタッとハマります!」
「ほう。それで?」
「それだけです。確認出来ているのは」
「「……」」
自分の店じゃよな?何故、得体の知れない物を扱っておるのじゃ?
「と言う訳で合わせてみて下さい!」
「店主。ワシらを実験台にしておらんか?」
「そんな事ないですよ。これに関しては、通じ合っている男女で使わないといけない。って事だけは分かってますよ!」
「なら自分でやれば良かろう?」
「はははーこんなメイン通りから外れた一角にある店ですよ?ひっそりと道具屋をやっている私に、通じ合った女性が居るとお思いですか?」
「自信満々に言うでない」
「はい。言ってて悲しくなりました」
変な物を売ってる自覚があるようでない。しかもこの状況を変えるつもりも感じられん。
「はい。ジュエルちゃん」
「うむ。む?」
「ここを合わせるんだよね?」
―カチッ
待てツール。普段はあわあわしておるのに、こう言う時は度胸が半端ないのう。受け取るワシもワシじゃが……
―チカッ
「何か光ったね」
「おぉ!それで何かありますか?」
「ん〜今のところ何も」
合わせたチャームを離しても、魔石は光ったまま。これに一体何があるんじゃ?
「ただの飾りなのかな?」
「店主が持っている物じゃしな。何も無いものもあるかも知れん」
「ひどっ!」
まぁ店主は置いておいて、見た目は普通のペアネックレスじゃな。怪しく光っておるのが気になるが。
(ペアネックレス……ジュエルちゃんと)
(何か声がするのう。ジュエルちゃんと呼ぶのはツールだけじゃが?隣を見るとネックレスを眺めており、何も言ってないはずじゃな)
(あれ何かジュエルちゃんの声がする?気のせいかな?)
「なんじゃツール?」
「へ?」
「ん?」
「どうかしましたか?」
「声が聞こえるんだけど」
「声が?まさか!それがこのネックレスの効果!?」
店主が驚いてネックレスをまじまじと見つめる。
「何か話してみて下さい!あ、声には出さないで」
「話すと言ってものう。隣に居る訳じゃし」
「じゃ、ちょっと離れるね!」
(ジュエルちゃーん。えっと……何話そう?)
(ふむ。話せと言われても思い浮かばんが)
(本当だ!ちゃんと聞こえるよ!)
「確かに言葉にせんでも聞こえるのう」
「凄いねこれ!」
「まぁ今までの変な物に比べたら、至極真っ当な商品じゃな」
「なるほど。これは通信出来る魔道具だったのか」
「しかし、常に聞こえるのはどうかと思うがのう」
「隠し事も出来ないね」
「ふむ。常に聞こえるから、通じ合ってる人限定なのか。知らない人だと嫌だしなぁ」
考えている事が相手にバレるのは正直言うと……ってこれも聞こえてしまうのか。
隣を見ると首を傾げるツール。
「今何か喋った?でも聞こえなかったよ?」
「今さっきの考えは伝わらなかった?どう言う……」
「あ、魔石が光ってませんね」
魔石を見ると確かに光が消えておる。光っている間だけ聞こえる物なのか?それとも常にではない何かがあると言うのか?
「で、どうしますか?買いますか?」
「どうしてそうなる?原理を全て解明した訳ではないが、通信機のアクセサリーなんて欲する者もおるじゃろう?」
「私は使う相手居ませんしね〜置いとくより誰かに使って貰いたいですし」
「うーむ」
ワシだけで決めるものではないしのう。
「どうするツール?」
「え?僕?」
「そうじゃろう。ペアなんじゃし、ワシ一人じゃ付けんぞ?」
「ジュエルちゃんとペアの……買う!」
「う、うむ。ではいくらだ店主?」
「二つで銀貨一枚!お買い上げありがとうございます!」
店主に銀貨を出そうとしたら、それを遮ってツールが出してくれた。今日付き合わせたお礼を渡したいと、どうしてもと譲らんかった。
今日のツールは強気じゃ。何かあったのかのう?
お揃いのネックレスをする事に喜びがあるのじゃろうか。まぁ嫌ではないし……気持ちは新しい玩具を貰った子の気分じゃな。
「では、そろそろ帰ろうかのう」
「そうだね」
「お帰りですか?あ、私から一つご忠告を」
そう言うと店主は扉を開ける。
「ここから見えるあの塔を見ながら、真っ直ぐ進んで下さい」
「ふむ。そう言えば知らない内にここに着いたから、帰り道を知れるのは助かるのう」
「そうでしたか。あ、それと!振り返ってはいけませんからね。それで迷う人が多いんです」
「分かったのじゃ。案内感謝するぞ。では、また来るのじゃ」
「店主さんまたね!」
「はい。またのご来店お待ちにしてます〜」
ワシらは店を出た。
店主に言われた通り、塔を見つめながら真っ直ぐ進む。消して振り向く事なく……
しばらく進むと人混みの中に出た。
「ここまで来れば大丈夫じゃろう」
「だね。学園はあっちか」
ツールに引っ張られ学園へと歩くワシ。そう言えば、目印にしておった塔って何じゃろうな?学園に篭りっきりじゃから、この街の事全然知らんかったわい。
「はて?」
「どうかしたの?」
「いや、塔が見えんと思ってな。建物で隠れてしまったか?」
「本当だ見えなくなったね。遠くから分かるくらいだから、どこからでも見えると思ってた」
今日は色々と気づかされる1日じゃったな。たまにはこうして出掛けるのも悪くないのう……
「ジュエルちゃん?」
「おわっ!?どうしたのじゃ?」
「驚かせてごめんね。学園に着いたけど、声かけても何か考えてるみたいだったけど。何かあった?」
「何でもないのじゃ。ただまたこうして出掛けるのも悪くないと思っておったのじゃ」
「えへへ。それなら良かった。またお出掛けしようね!」
「うむ。ではな」
ツールとは寮に帰る為、入口で分かれた。
「……」
「おわっ!?ってジャムか。驚かすでない」
「申し訳ありません」
「そう言えばお主は迷わず帰れたのじゃな」
「はい。私の目標はお嬢様ですから。見失ったりは致しません…………多分」
「何故そこで多分なのじゃ?ワシはジャムを振り切る様な事はせんぞ」
「外周に山でも追いつける様に頑張ります」
ふむ。これはあれじゃな。
外周にはまっておる時に振り切った事や、山で調子に乗って登山した時の事を根に持っておるのか。
少しだけ気をつけねばなと、最後にジャムの考えに気がついたのであった。
店主「あー久しぶりに面白いお客さんだったな〜次はいつ会えるかな……くく」
ジュエル「可笑しな店主じゃったのう」
ツール「そう?面白い人だったよ」
ジュエル「面白いとな?」
ツール「うん。ジュエルちゃんと色々やるのは楽しかったし。それに危ない事は一つも無かったしね」
ジュエル「まぁ確かにそうじゃな」
ツール「また行きたいねジュエルちゃん」
ジュエル「ん〜それに素直に肯きたくないのう」




