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ジジ転世〜ワシがオナゴでふぁんたじー〜  作者: みけな
第一章 消える事のない記憶
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第四話 始める為の布石は大事じゃ

どんどん暑く、そして寝苦しい日々が続きますな_(:3 」∠)_


ブックマーク、読んでくれた皆様。

ありがとうございます(*'ω'*)

 少し違ったとは言ったが、まさかオナゴになるとは……今まで男として育ってきたが為、どうすればいいか分からん。

 そしていつもの様にただ景色を見るだけの日々かと、うんざりしかけたのだが。


「は!は!はぁ!」

「あーうー」

「あら。またパパを見たいの?ジュエルはパパっ子なのかしら」


 母上に抱かれ、父上の声がする庭へと出る。


「む?今日も来たかジュエル」

「ジョリーの声がするといつもよ」

「うー」

「さぼらんさ。さて再開するか……は!」

「きゃっきゃ!」


 父上が身の丈程ある大剣を振る。ワシが喜んだ声を出すと、気を良くした父上は更に速く大剣を振る。


「っふん!」


 ―キィィン


 空気が斬り裂かれる音がする。見ていて飽きぬものよの……こう剣とは男心を刺激するのじゃ。今はオナゴじゃが、好きなものは好きなのである。


「ふぅ……今日はこんなものか」

「お疲れ様。ジュエル、パパにどうぞして」

「うー」

「はは。まだ無理であろう。気持ちだけ受け取っておく」


 手を伸ばしても掴んで渡す事が出来ぬ。さすがに産まれて数ヶ月では難しいもの。それでもやってみると言う光景に父上の頬が緩む。


「しかしジュエルは凄いな。ミラージュの言う事が分かっているかのようだ」

「そうね。ジュエルは私の言った事を理解して、やろうとする感じがするのよね」

「幼子にしては……」


 さすがに産まれて数ヶ月の子が、母上の言葉を理解して行動するのは不味かったかのう?


「賢いのだな!さすがは俺達の子だ!」


 ふむ。この父上には疑うと言う言葉は、辞書に載っておらんようだ。


「じー」

「あー」


 じっとワシを見つめる母上。さすがに賢い母上の目は誤魔化せん……


「パパみたいな子にはなっちゃダメよ」

「ミラージュ!?」


 案外酷いことを言うのだな。ワシを君悪がるかヒヤヒヤしたではないか。


「冗談よ。でも女の子が剣を振ったりはして欲しくないわ」

「む。それはそうだが……」


 剣が持てぬだと!?これはいかんな。男のロマンとして、是非とも剣は使ってみたい。


「あう」

「あら?どうしたのジュエル?」

「あー」

「きっと俺の剣の稽古が見れない事を心配しているのだよ」

「う!」

「……そうなのかしら?なんか違うような気がするわ。なんかこう……やってみたいって感じかしら?」


 なんと!思いが伝わったと言うのか!?


「ははは。大きくなって、興味がまだあるなら教えるぞ」

「それは相談して決めましょうね?ね?」

「お、おう……」


 タジタジな父上。そして母上の目が怖いのじゃ。直視してはいけないと、外の景色に目を向けるワシ。その先のは色とりどりの花。


「あー」

「ん?ん〜お花かしら?」

「まさかこれが見たくていつもここへ!?」

「ジュエルもやっぱり女の子なのね。色んな花があって綺麗でしょ?ママ頑張って育てているのよ」

「あーうー」

「ふふ。ありがとう」


 花を愛でていると思ったか、機嫌が良くなる母上。花を育てるのが好きで、この花壇は母上の自慢なのだな。この情報は覚えておくしよう。父上は少しショックを受けているが、これもいずれ剣を握る為!今は全力で花を愛でるワシを許してくれ!




 そんな赤児の時代を経てワシは、一歳二歳と順調に歳を重ねる。歩けるようになり、日課となる庭へと出る。母上の花壇はピンク色と淡く白い花が咲いておる。花は勉強していないから、これがなんの花か知らない。


「これ、なに?」

「んー?お花だよ」

「おはな、なまえ」

「ピンクの小さい花がペチュニアよ」

「ぺにゃ」

「まだ発音するには難しいかしら。花壇の女王って呼ばれていて、ママが一番好きな花なのよ」

「まま、すき!」

「ふふ。そうね」


 二歳となれば言葉も少し喋る事ができる。二歳児と言えば、二語分をしっかり意識して喋る事も容易い。

 して、この花はペチュニアと言うのか。ラッパの様な小さき花であるのに、花壇の女王とは凄い花なのだな。しかし知らぬ事がまだワシにあったのだな。男として過ごして来たからか、花の名は学ばなかったのう。


「まま、これ!」

「これはカザニアよ」

「かざにゃ」

「凄く育てやすい花で、大きいもので40センチくらいになるとも言われているのよ」

「おおきい、おはな!」


 40センチとは凄いのう。こんなに儚げな花が更に伸びると言うのか……んー儚げな?少し萎れておるのか?


「かざにゃ、しおしお」

「あら?少し元気がないようね。日照り続きで雨もなかったし……少し水をあげようかしら」


 そう言えばジョーロは見当たらんな。ホースもないし、何処かから水を汲んでくるのかのう?

 しかし母上は動かず前に手をかざすだけ。


「う?」

「この花達はそれぞれに水のあげ方が違ってね。ペチュニアには花に強く当てない様に。カザニアは土の表面が湿める程度で良いのよ」

「う?」

「ふふ。まだジュエルには難しかったわね。濡れちゃうから、そこから動いちゃダメよ……《エアリードロップ》」


 ―ぷくぅ


 シャボン玉の様なものが母上の手の前に現れた。なんじゃ?何処かから水が出て来た様な?


「それ」


 ―ぱぁん


 花に近づくと、シャボン玉が割れ雫がに変わった。微かに花弁を揺らす程度でありながら、地面には水の跡が残る。


「みじゅ、どこ?」

「ふふふ。ママはこれでも水の魔法は得意なのよ」

「みじゅ、まほう?」


 ワシは夢でも見ているのだろうか。それとも母上の手品か何かか?ワシが惚けて見ていると、母上は説明してくれた。


「魔法って言うのは、誰しも使えるものなの。属性は産まれ持って決まっているのだけど」

「おー」

「まだ分からないわよね。私ったら何を説明しているのかしら。大きくなったら教えてあげるわ。私とジョリーの子供だから炎か水の適正はあるはずだし」


 魔法とな!?そんな心躍る事があっただろうか。これは試さずにはいられんじゃろう!


「あう!」

「あらあら。ママの真似して可愛いわね」


 出んぞ?母上の血筋を伝承しているはず。ならばワシにもできるはずじゃ!


「…………」

「魔法はね。自分の中にあるマナと、自然界にあるマナを合わせるのよ。ジュエルは二歳ですもの、出来なくて当然よ」


 体内にあるマナと自然界のマナ。体内のは前世で感じなかった何かであろう。自然界のマナとは……目の前にあるこの何かと同じものじゃろう。


 ワシはワシの中にある何かを必死に探すのであった。

ジュエル「まほーきたー」

ミラージュ「え?今、ジュエル……」

ジュエル「まま!まほー!」

ミラージュ「ママ魔法って使い方かしら?教えちゃって良いのかしら?」


ジュエル「まま……しゅき!」

ミラージュ「はぅ!良いわ。ママの言う事しっかり聞くのよ」

ジュエル「あい!」

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