第三十七話 筆記試験と実技試験①
龍角散とポカリのおかげで、風邪が良くなりました!
病院も行きづらい世の中だし、治って良かった_(:3 」∠)_
ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
各々が努力した結果が試される。
ーカツカツ……
―サラッ……
「……ふぅ」
見直しも終わり、テストを裏返す。終了まで10分くらいあるのう。
テストの試験官である教える先生は机に座り……
「すぅ……」
あれは絶対寝ているのである。幸い他の先生もおらず、カンニングするような者はこの教室にはおらん。そう言う事で安心しきっておるんじゃな。
「分かんねぇ……」
あれ程やったのに、隣の席に座っておるエルのボソッと言葉が聞こえる。
まぁこのテストは教科ごちゃ混ぜで一教科しかない。前世の様にジャンル毎に分けたりはしておらん。それ故に問題数もかなりある。
「ぐぬぅ……」
問題用紙を持ち上げ、唸るライド。逆さまにしようと答えは出てこんぞ。
二人はきっと補習確定じゃな……
―キーン、コーン、カーン、コーン……
テストの終了の鐘の音が聞こえる。
「「終わった!」」
ペンを投げ大きな伸びをするエルとライド。その終わったはテストなのか、それとも内容に関してか。それはいずれ分かるじゃろう。
「すぅ……」
「この鐘の音でも起きんのか」
「疲れてるんだよ。勉強も一緒に手伝ってくれたし」
「そうじゃな。しかしこのままにもしておけん。ジャム」
ジャムに頼み教える先生を起こしに行ってもらう。
「先生……時間ですよ」
「うにゃ?あと五分……」
「あ、ルール先生」
「寝てませんよ!はい!……あれ?」
寝ている人間が起きて、その言葉を口にするのはアウトじゃと思うが。
「ジャムさん?」
「はい。テストが終わりましたので、その報告をしに参りました」
「え!あ!それでは解答を回収します!」
「お願い致します」
全員の解答が回収される。
「はぁ〜長かった」
「これくらいでだらけるのではでない。この後には実技の試験があるのだぞ」
「そうだけど。午後からだろう?少しくらいだらけたって」
「全くエルは仕方がないのう。ライドを見てみよ」
終わった時は机に持たれておったが、切り替えが早いのはさすがじゃ。そんな背筋を伸ばし座っておるライドを指差す。
「あれは……寝てんじゃないか?」
「ん?」
確認しに席を立つと、座ったまま目を瞑り静かにしておる。
「ライド?」
「……」
「ライド!終わったぞい!」
「は!お昼!」
「ライド……いつから寝ておった?」
「ん?あれテストはどこいったの?」
「もう回収されておる」
「そうなの?ならお昼だね!食堂行こうジュエル!」
「……逞しいのう」
切り替えが早いと言うべきか、座って寝るまでの動きがワシには見えんかった。
「ジュエルはどうだった?」
「ワシか?完璧じゃ!」
「その顔はそうだろうな。しかし勉強に関しては負けないからな」
「凄い自信じゃなファクター。これは結果が楽しみであるな」
「私も負けなくてよ」
「勿論スノウにも負けん」
その後全員で食堂に行く。いつもの席に座り昼食をとる。
「しかし……よー食うのう」
「午後は実技だからな!食べなきゃ勉強の疲れが回復しない!」
「そんなもんかのう?」
「ジジは相変わらず少ないな。それにやけに甘い物が多い。そんなんで持つのか?」
「使用したのは脳だからのう。消費した糖分を送っておるだけじゃ」
目の前にある甘い物を消化しつつ、他愛もない会話をしておるとふと横にいる者達が気になった。
「スノウどうしたのじゃ?ワシのクッキー食べるか?」
「次の試験の事を考えるとちょっと……クッキーはいただきますわ」
食も進んでおらんから心配じゃったが、ワシのクッキーをパクパク食べておるし大丈夫じゃな。問題は……
「ツールもファクターもどうしたのじゃ?全然進んでおらんぞ?」
「緊張しちゃって……それにエルダーン君とライドさんが食べるの見ていたら、なんかお腹いっぱいになって」
「あーあるのう。見ているだけでお腹いっぱいな感じ。しかし食べねば持たんぞ?クッキーなら食べるかのう?」
「んー今は大丈夫」
「ならこれをやろう」
カバンに忍ばせたクッキーの袋を渡す。
「ワシのおやつ用じゃ」
「でもジュエルちゃんのじゃ?」
「構わん。ワシが自分用に作ったものじゃし。それに友が腹ぺこを見過ごす訳にはいかんしな」
「これジュエルちゃんが作ったの?」
「そうじゃぞ。これはジャムが作ったが、一緒に作ったのじゃ」
「手作り……なんか食べるの勿体ないな」
「ただのクッキーじゃ。確と食べるのじゃぞ?」
「うん!ありがとう!」
少し元気が出たようで何よりじゃ。あ、ファクターの分が無いのじゃ。
「俺は甘い物はいらないから……」
「そうか?ならばおばちゃんにおにぎりでも頼むか?」
「それなら……」
「でしたら私が頂いて来ますわ」
そう言い残してスノウはおばちゃんの元に行った。しかし、何故に厨房へ入って行くのじゃ?
「そんなに強く握っちゃいけないよ!もっと優しく……塩は一振りじゃ!」
おばちゃんの悲鳴に近い声が聞こえたが……聞こえなかったフリをするかのう。頑張れファクター!ワシは心の中で無事を願うだけじゃな。
そして午後の実技試験の時が来た……
「おっしゃーやるぞ!」
「負けないよエルダーン!」
「元気じゃのう。筆記試験とは大違いじゃ」
気合十分な二人。ここは何の問題もないな。
「今日はしっかりやらなきゃ……うん、頑張ろう」
「緊張はしてないようじゃな」
「ジュエルちゃんが作ってくれたクッキーのおかげだよ!」
「そ、そうか。お互い頑張ろうぞ」
ツールはいつもよりやる気に満ち溢れておる。これは期待できそうじゃ。
しかし……
「大丈夫ですかファクターさん」
「大丈……うっぷ」
凄いダメそうなのじゃ!何があったのじゃ!?
「私がおにぎりを渡したばかりに……」
「問題……ない。あれは美味かった」
「ファクターさん」
成る程、ファクターはスノウのおにぎりを完食したのじゃな。試験はダメそうじゃが、男としては合格じゃ。ファクター……仇はとるぞ!
「さぁ試験開始じゃ!気合入れて行くぞい!」
「試験官は私なんだけど……」
午後に実技試験が始まろうとしている。
ジュエル「ファクターの分まで頑張るぞい!」
ツール「そうだね!」
エルダーン「お前の努力……俺は忘れない!」
ライド「筆記とファクターの仇!頑張ろう!」
ファクター「……」
スノウ「大丈夫ですか?ん?なんですか?」
ファクター「俺は死んでない……」




