第三十六話 見た目との違い
予定を立てているのに、その通りにならない。何が問題なんだろうか……(´-`)
平和に過ごして貰いたいだけなのになぁ
ブックマーク、誤字報告、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
頭が少しずつ周りの状況を理解し始めた頃。
謎の挑戦者との一戦を思い出す。気がつけばワシの前には誰もいなくなっておった。
「む?もしや……またか?」
「まただ。ジジは一体何考えて戦ってるんだよ」
「何とはなんじゃ。相手を倒すためじゃろう?」
「あの威力で斬ったら、死んじゃうかもしれないぞ?」
「初見だった故に手加減せんかったのがいかんかったか?」
手に持った訓練用の剣を下ろす。
「今のは何だったの?」
「ジジは昔から集中し過ぎるとあーなるんだよ」
「昔からなの?」
「子供の頃なんて結構酷くてな。走り始めてずっと戻って来なかったり。山に修行に行った時とか、ある生態系が絶滅する手前まで狩るとか」
「そ、それは凄そうだね」
「この頃は無かったんじゃがのう」
周りが見えなくなっている訳じゃ無いんだがのう……ついつい考え過ぎてしまうんじゃよな〜次から次に考える事が増えていく感じ。エルやじいじに言ったが伝わらなかったが。
「ジュエルちゃんは相手に対して何を考えてる?」
「相手にか?んー何じゃろうな?」
「多分だけど、相手の事は何も考えてないんじゃないかな?」
「考えておらん事は……」
「そうかな?さっきのは相手が分からないから、考える最高の状態……自分に見立ててない?」
「自分?」
はて?どう言う事じゃろう。最高の状態がワシ自身とな?まさかそんな自惚れてなんぞ……
真っ直ぐ先を見ると、誰かが剣を構えてワシに向き合う。下段の構えをすると言う事は、ワシならここで……
「ジュエルちゃん?」
「っは!な、なんじゃツール?」
「今の感じは見えたんじゃない?」
「確かにワシなら……と思ったが」
「でも今のは少し意地悪かもね。僕が少し意識させちゃったかも」
「いや、貴重な意見じゃ。ワシはワシと戦っておった……でも一つだけ言っておくが、ワシを最高とは思ってないがな!」
ツールの意見は的を得た話じゃが、否定せねばならんところは否定せんとな。
♢
剣を拾いファクターさんが立ち上がる。
「そろそろ再開する?」
「そうだな。あんなの見せられたら、こんなところで休んでいられないな」
「あれを見てやる気になるのは凄いね。私は差を感じじゃったって思ったのに」
「差なんて最初から感じている。ジュエルは勉学も魔法も、俺よりも圧倒的に違う。だが、それはこれからその差を縮めれば良い」
ファクターさんは意外と色んな事を考えているんだな……私はライドと同じ考えで、足踏みしちゃうんだけど。
「スノウも頑張ろう」
「あ、うん。ありがとうございますわ」
私に向かって手を差し伸べてくれるファクターさん。私が足踏みしちゃうって思ったのがバレたかな?
「ファクターさん。なんで私に手を伸ばしてくれるのですか?」
「そんなの一人で立ち上がるより、手を借りた方が立ちやすいからだろう」
私の疑問に対して即答なファクターさん。さらに私の考えを知っているかのように言葉を足してくる。
「さっきのジュエルの戦いを見て、普通なら落ち込むんだろうな。俺はあそこまでいけない……持っている才能が違うって。でもそれは頑張ってみてからでも、遅くないと思うんだよ」
「そうだね……」
「俺達はまだ若い。覚える事もたくさんなるしな」
たまにファクターさんが物凄く年上に見える。ジュエルとは違う何かを悟った様な……
「それに頑張るなら一緒の方が楽しいだろう?」
「それは思うわ。一人では集中力が持ちませんし」
そんなところは子供らしいのね。可愛いと思ってしまいますわ。
「さっきも気になったが、持ち方はこうだ」
「こうか?」
「違うって、ここは……」
ファクターさんの剣の持ち方をライドが教えていますが、少し距離が近いのではなくて?あ、今触りましたわ!
「ん?スノウも教え……え?なんでそんなに睨むの?」
「なんでもありませんわ」
「何をそんなに……あー、ごめんごめん。そんなつもりは無いから」
「私は気にしてなんていませんわ」
「そうだね」
ライドは何を考えているのかしら。私は別にファクターさんが誰と仲良くたって、全然まったく気にしません!
気にしないんだから。
♢
ライド達も訓練を再開しておる。ワシもエルと遊んでないで、しっかり指導せねばな。構え方に関しては間違いではないので、今はそのままで良いか。
―カン、カン!
「そうじゃ!そこで片手持ちをする事で間合いが広がるのじゃ。左太刀ならではの戦い方は、しっかり覚えておくのじゃぞ」
「はい!師匠!」
「その師匠と言うのはやめよ。ワシとツールは対等である」
「分かったジュエルちゃん」
しかし、ツールの動きを見ているが何処が落第点なんじゃ?ツールの見た目から、戦うのは苦手なんじゃと思っておったが。特に問題になる様な動きはしておらん。
じゃがのう……
「うーむ……」
「どうしたジジ?」
「打ち合いしてみて、今は素振りをしてもらっているのじゃが。何か引っかからんのじゃ」
「引っかかるじゃなくて?」
「そうじゃ。別に持ち方は左太刀ではあるものの、動きは悪くないのじゃ」
「確かに。見た目できなそうなのに、ツールは普通に出来てるな」
―ブン、ブン、ブン
素振りも悪くない。では落第点なのは間違いなのか?
「ツールよ。今度はエルと打ち合い出来るか?」
「うん。分かった」
「エル。分かっておるかと思うが……」
「分かってるって。全力じゃやらないって」
「訓練と言う事を忘れるでないぞ」
「ジジに言われたくないけど。まぁー了解」
エルはいちいち一言多いのである。
―カン、カン!
ふむ!忘れておった。
「足捌きが謎すぎる。じゃが転んでおらんし、特殊な歩行方法と言われれば……」
「これだけ出来るのに、ツールはなんで落第点とか言われているんだ?」
そうか。分からなければ聞けば良かったのか!
「僕、本番になると緊張しちゃって。剣もまともに振れなくて」
「「そこか!?」」
「え?」
通りでワシら相手は問題ない訳じゃ。
ワシらとの打ち合いを止め、緊張をさせない為に訓練中の色んな者達と打ち合いをさせた。これでツールも大丈夫じゃろう。
何故かツールの相手を探しておると、ワシにも長蛇の列が出来た。ツールの為じゃし相手を全員してやろう……ふふふ。
ツール「お、お願いします!」
エルダーン「まだ緊張してるな。まぁ後は慣れだから、見守るしかないな」
ジュエル「どんどんくるのじゃ!なんなら二人ずつでも構わんぞ!」
エルダーン「慣れすぎだろう。てか、大人気だな」
ツール「もう一本お願いします!」
エルダーン「うんうん。良い感じだ」
ジュエル「まだまだじゃ!もう全員でかかって来るのじゃ!来ないのなら、こちらから行くぞい!」
エルダーン「もはやコロシアム状態だと!?少し目を離した好きに何があったんだよ」




