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ジジ転世〜ワシがオナゴでふぁんたじー〜  作者: みけな
第一章 消える事のない記憶
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第三話 経験を活かすのは難しい

ブックマーク、読んでくれた皆様。

ありがとうございます(*'ω'*)

 三度目もやはり赤児から始まる訳だ。記憶を持った状況は二度目になるんだが、幼少期は暇である。

 寝て起きての繰り返し。早めにハイハイをマスターして、動き回ると母上に戻される。出来る事と言えば、自身について考えるのみ。


 家庭を持ち、平々凡々な第一の生。自身の欲望を思うがままに実行した第二の生。そこで気がついた事がある。


 まず知識がある事をひけらかすと恐怖を持たれると言う事。周りの反応も悪く距離を置かれるので、人付き合いの難易度が上がるのだ。何より気を使うのは……


「まー」

「今喋った!?あなた聞いて!純ちゃんが喋ったわ!」

「なんだと!?パパは言えるか?パパだぞー」

「まー」

「ふふ。まだ難しいわよ。私はずっと一緒にいるもんね〜」

「ぐぬぬ!仕事を休むか……いや、それではこの子に苦労させる事になる。うーむ」


 本気で仕事を休むか考える父上。

 そう、誰を初めに呼ぶか、次に誰を呼ぶか。声を発するのは、もの凄く神経を使うのじゃ。そんな幼少期を無難にやり過ごす。



 次に気づいた事は、欲望に忠実過ぎると痛い目をみる。自由とは決して自由ではないという事だのう。

 人の世は長いようで短い。手広くやれば器用貧乏になり、いずれ手詰まりになる。前世の記憶がある分、他者に比べれば優位かも知れん。

 だが、結果はただ遊んでいる人である。


「純二郎くんは凄いよね。きっと悩みもないんでしょ?」

「なんでも出来るって人生楽しいだろう」

「いいよな〜純二郎は……」


 二度目の生涯で何度言われたか。嫉妬は人としてしょうがない事である。しかしどこか一線引かれて、付き合いも長くは続かん。なので、全てを叶えるのは望んではいけないと学んだのじゃ。



 最後に知識に胡座をかいておると、後々苦労するという事。特に勉学じゃな、小学生は良かった。しかし中学に上がりかなり出来たが、そこそこ出来るに変わり、高校になれば出来ないに変わる。


「こんなところじゃろう。」


 ワシは教訓と呼べるものは、なんでもノートに書く事にした。初心忘るべからずじゃ。

 体を鍛え、知識に貪欲に。人への感謝を忘れず。常に前を向く。




 そして第三の生でも家庭を持つ事はしなかった。自身を高め、他者の育成に力を入れていたら、気がつけば40歳。

 周りの友人は結婚をし家庭を築く。社会と呼ばれる世界では成功者として、親にも誇らしいと言われた。


 結婚はしないのか?孫が見たいねぇなんて小言は当然言われた。

 そして仕事を引退した自分に残ったのは……


「ただいま。」


 ……孤独と言う地位や名誉では買えないものだった。


 どこで間違ったか…………いや、この人生も間違いではない。仕事に置いては達成感もあった。部下からも嫌われてはいないはずじゃ。全てを一人で解決はせず、協力して達成も心掛けた。


 でもこの満たされぬ感情はなんじゃ?


「パパ!」


 呼ばれた気がして振り返ると、そこには何も無い。


「そうか……これが家族…………」


 その後は使い切る事が出来ない富を寄付した。恵まれない子供たちへ……幸せであれと願いながら。




 第三の人生を生きたワシは、再び白い空間に辿り着く。


「お疲れ様です。どうでした?」

「今回も色々と勉強になった。聞くかの?」

「是非に」


 そしていつものように生涯について語る。前回は笑ったり驚いたりと反応していた神様が、ワシの話をじっくり聞いてくる。


「…………と言う話じゃ」


 話し終えてもなお、無言が続く。おや?もしや退屈で寝てしまったかのう?


「年寄りの話を静かに聞いてくれて感謝するのじゃ」

「…………ぅ」

「う?」

「うわぁぁん。悲しいよぉ〜悲し過ぎるよぉ〜」


 オナゴのように泣きじゃくる神様。女神様かの?


「精一杯……生きてくれてありがとう。子供達の未来を気遣ってくれてありがとぉ〜」

「泣くでない。ワシはこれでも満足しておる」

「ぐす。失礼しました」


 涙を流す姿が見れぬから、拭くための何かを渡す事が出来……


「ありがとうございます。ずびー」

「う、うむ。ワシと女神様の仲じゃろう」

「はは。そうであるな……よし!切り替えじゃ!って口調が移った」

「ほほ」


 今はもう泣いていないであろう。切り替えじゃと言った声には活力を感じる。


「さて次も当然用意しているのですが、何か願いはありますか?無理難題でなければ、叶えますよ」

「女神様に願うなど……いや、せっかくのご好意じゃ。断るのも失礼じゃの」

「そうです。私とあなたの仲ではないですか」

「ふむ……」


 そうは言っても何を願おうかのう。記憶さえあれば、後はワシの問題じゃしな。今回は悲しい話になってしまったが、面白い話が出来るとええのう……


「何かいつもと違う感じかのう?曖昧ですまぬが、なんと表現したかと思っての」

「それであれば私の作る()()()うってつけの場所があります。まだまだ発展途上なので、少し苦労するかもしれませんが。」

「苦労か……それくらいのハンデはあっても良いのう」

「では手配致しましょう。」


 真っ白な世界に光が差し込む。


「相変わらず仕事が早いの」

「神様ですから」

「そうじゃったな。次会う時は面白い土産話を用意しておく。楽しみにしておれ」

「はい!それでは神のご加護があります様に……」

「いってくるのじゃ……」




 ……そして真っ白な空間から、少しづつ色を認識し始める。


 ―パシ、パシ


 毎度恒例の産声を聞くが良い!


「おぎゃぁ!」

「あぁ……私の赤ちゃん」

「うぉぉぉ!みらぁぁじゅ!!」

「!?」

「ダメよジョリー。赤ちゃんがびっくりして泣き止んじゃったわ」

「そうか!すまん!」


 少しびっくりしたのじゃ。思わず赤児の経験値を活かせず、黙ってしまったわい。少し違ったとは言ったが、随分とパワフル人よの。


「おぎゃぁ」

「よしよし。怖いパパでちゅね〜」

「そんな事言わんでくれ、ミラージュ」

「ふふ。でもジョリーパパは凄く優しいのよ。すぐにあなたも分かるわ」

「照れるではないか」


 ふむ。このパワフルなのが父上か。名はジョリーと言うようだの。


「お。見てみろミラージュ。俺の子がじっと見ているぞ」

「パパだって分かってるかもしれないわね」

「ミラージュに似て賢い子だな」

「目元はジョリーそっくりよ?」

「目つきは険しくなって欲しくないが……可愛いからなんとかなるか」


 母上はミラージュと言うのだな。声からしてとても優しそうな人である。

 しかし、どちらも日本で馴染む名ではないの……もしや外国か?ワシ、飛行機怖いから海外は行かなかったからのう…………外国語話せるかのう?しかし言葉は分かるのは、なぜじゃ?


 そんな心配をしておると、ワシの名の話題になった。


「それで名前はどうするの?」

「それなら既に決めてある!」


 これで純四郎とかであったら泣いてやろう。外国に来てまで……


「ジュエル」

「ジュエル……いい名前ですね」

「俺達の宝石であり、輝かしい未来を歩んで欲しい」


 はへ?随分とキラキラした名であるな。


「きっと素敵なレディになるわ」

「俺とミラージュの娘だ。それは当然であろう」


 レディ?娘……ワシもしかしてオナゴになったのか?

純三郎「あの頃は若かった……孤独がこんなに辛かったとはのう」


女神様「彼、喜んでくれたかな。次は刺激的で素敵な生涯であるといいけど……さて役目を果たそう。今からお土産話が楽しみだ」


ジュエル「ばぶー!(オナゴじゃとー!?)」


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