第二十七話 それぞれの時間
部屋にいるけど寒いなぁ〜着込めばなんとかなるけど。
これからもっと寒くなると……
ブックマーク、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
ワシらの番が終わり、次の競技まで自由行動となった。
エルは小腹が空いたと、ライドと食堂に行き。スノウは静かなところで休みたいって事で、ファクターがエスコートした。ジャムは修復要員として、じいじと学園長に連れて行かれた。
そしてワシを一人にすると危ないと、お目付役に選ばれたのはツールじゃった。
「別にワシは何もせんがのう」
「そうかもしれないけど。ただ心配なんだよ」
「そんなもんかのう」
ワシとツールは校庭を一望できる位置に二人で座っておる。次は一つ上の学年の競技か。
「皆、おとなしいのう」
「元々は生産がメインの競技だしね」
「え?戦う事がメインじゃろう?」
「え?そうなの?」
二学年の試合を見ていると、よく分からなくなる。まぁ魔法を覚え、無闇に使わんようにしておるように見える。
「高学年に期待じゃな」
「ジュエルちゃんは一体何を期待しているの?」
「それは……血湧き肉躍る戦いかのう?」
「ぶ、物騒だね……」
ずっと見学しておったが、特に派手な要素は何もなく……
『それまで!勝者三組!』
「終わったー!」
「長かったー!」
勝った事より、試合が終わった事に喜んでおる。
「終始生産しかしておらんかったな」
「そうだね」
「しかも作品を見るに、ツールが作る物の足元にも及ばん出来じゃ」
「そんな事ないよ。僕はまだまだだよ」
「謙遜するでない。生産方法は特殊であるが、出来栄えに対しては胸を張るがよい」
「あ、ありがとう」
土の中に作るところはあれじゃが、掘り出した物はどれも素晴らしい。
「そうだ。ジュエルちゃんに教えて欲しい事があるんだ」
「なんじゃ?」
「あの学園長像の等身大作った時使っていた、土の山の魔法なんだけど」
「土の山?あーあれは魔法ではないぞ」
「え?」
「ただ単に地面を殴ったにすぎん。それらしい魔法を唱えたように見えるがな」
「力技……」
ツールは自分の手を見て、ワシの腕をチラ見する。
「腕は同じくらいだよね……僕も出来るのかな?」
「無論じゃが強化と保護の魔法はしておるぞ。」
「それってどんな魔法?」
「強化は雷系統で、保護は風系統じゃ。練習すれば出来ると思うが、時間はかかるかも知れんのう」
「雷と風か……ちょっと難しそうだね」
「エルもできたんじゃし。やってやれん事もないじゃろう」
「でも僕には適正なかったし……」
そう言えばそんなのあったのう。
「他の系統が使えんのであれば、自分の方法でやればよい。ワシは土系統の魔法はどうも苦手でのう。砕くや壊すは出来るんじゃが、生産系はからっきしじゃ」
「ジュエルちゃんでも出来ない事はあるんだね」
「今は出来んだけじゃ。いずれは出来るようにするがな」
「そんな事……出来るの?」
「知らん。じゃが、出来んと決めるのはまだ早いじゃろう。ワシらは子供で、まだまだ強くなれるのじゃ」
「強く……」
自身の手を見つめ呟くツール。
自分の可能性がどこまでいけるか、それを決めるのは道具でもなく他人でもない。自分自身なのじゃから。
「強くなりたいのであれば、今からワシと特訓に行くのはどうじゃ?」
「行きたいけど。試合見なくていいの?」
「かまわんぞ。ツールと特訓の方が楽しそうじゃしな」
「じゃぁ……行く!」
「うむ!では行くぞ!」
ワシはツールを連れて、会場を後にした。どこかでホッとする人達がいるとかいないとか……
♢
私はライド。試合が終わりエルダーンが、小腹が空いたと言うので一緒に食堂まで来た。
「んぐっ……」
「よく食べるわね。もうそれ小腹通り越してない?」
「ふぅ〜いや、思ったより食べれそうだから食べているだけだ。ライドは果物だけで足りるのか?」
「私はこれだけで良いのよ」
目の前で肉を頬張るエルダーン。お腹が空いてない訳じゃないけど、そんなに食べたら太っちゃうし。
「ライドは頑張ったし、いっぱい走ったんだから食べた方がいいと思うけどな〜」
「そんなに私を太らせたいの?」
「そこ気にしてんのか」
「当たり前でしょ」
「なら食え!ライドは少し細すぎる。そんなんじゃ大きくなれないぞ?」
「別に私は大きくならなくても……」
「ほれ、遠慮するな。あーん」
「ほへ?」
この男は何をしているの!?肉をフォークで刺し、私に……あーんだと!?さっきまで食べていたそれで!これでは間接……きゃぁー!
「ほら早く。手が疲れるだろ〜」
「し、仕方がない。一口だけだぞ……あーん、んぐっ」
「どうだ旨いだろ?」
「それは……まぁ……」
味なんか分かんないよ!?なんなのこの状況!分かった、これは夢なのよ……ゴクン!
「ん!?」
「そんな慌てて飲み込むから。ほら水だぞ」
「ん!!ごくごく……ふはぁ、夢じゃないわ」
「大丈夫か?」
「ええ……」
この水も間接!?はわわ!
「おばちゃん!おにぎりが欲しいのじゃ!」
「あいよ。二人でお出かけかい?」
「そうじゃ!」
「ジュエルの嬢ちゃんは元気だね」
入口でジュエルとツールが来た。何かをおばちゃんと話している。
「ジジじゃん」
「何してるのかね。あ、水持って来るついでに聞いて来る!」
「え?あー頼んだ」
入口にいたジュエルに声をかける。
「二人ともどうしたの?」
「なんじゃライド。まだ居ったのか」
「い、居たわよ。ジュエルはどっかに行くの?」
「秘密じゃ!」
「そう」
「なんじゃ?気にならんのか?」
「ツールと一緒なんでしょ?なら聞くなんて野暮よ」
「ん?そうなのか?」
「あいよ。出来たよ」
「感謝するのじゃ!行くのじゃツール!」
おにぎりを受け取ったジュエル達は、そそくさと外に飛び出した。
「なんだったんだ?」
「さぁ?おにぎり貰いに来ただけだって」
「そうか。ごくごく……ぷは〜」
「それ私も飲んだやつ……」
「ん?」
「なんでもないよ」
エルダーンは気にしないのかな。私が気にし過ぎなだけなのかな……
♢
風が心地良い。遠くから聞こえる声が、子守唄に聞こえてきますわ。
「「……」」
隣にはファクターがいる。正直、一人でいたい気もするけど。
「「……」」
ファクターは私が静かにしたい時は静かにしてくれる。しかし中々一人にはしてくれない。
「ファクターは……なんで一緒に来てくれるの?」
「一人は寂しいだろう?」
「別に私は寂しくは……」
一人は慣れている。姉妹の中でも私は一人で本を読む事が好きだったし。今は二人でいるけど、きっと一人でも大丈夫。
「あーあれだ……俺が一緒にいたいだけだ。迷惑か?」
「迷惑ではありませんわ」
この人は何を言っているのかしら。私と一緒にいたいなんて、余程の物好きかしら?迷惑かと聞かれたら、違うと答えてしまった。
ジュエルやライドといると賑やかではあるが、静かにしたい時は困る。エルダーンさんは何か観察されている感じがする。ツールさんは静かだけど、静かすぎてどうすればいいか困る。
「そうなるとファクターが……」
「ん?俺がどうかしたか?」
「いえ……なんでもありませんわ」
風の音が聞こえる。隣にいるファクターを横目で見ると、真っ直ぐ前を向き本を読んでいる。まつ毛長いんだな……なんかドキドキしてきた。なんでだろう?
やっぱり少し疲れてるのかな。少しだけ、少しだけ休もうかしら。
休んだら……また立ち上がろう。
私は一人じゃないんだ。
ツール「二人でお出かけ……」
ジュエル「準備出来たのじゃ!行くぞツール!」
ツール「待ってジュエルちゃん!」
ジュエル「先程ライドは何か慌てておったが、何かあったのかのう?」
ツール「さぁ?水を持ってたけど」
ジュエル「喉でも詰まったのかのう?まぁよいか」
ジュエル「あれはスノウ達じゃな。お……」
ツール「しー!あそこは放っておこうよ。ほら行こう!」
ジュエル「むぅ?まぁ用があるじゃないし。いいじゃろう。これこれ引っ張るでない」




