第二十六話 集え!クラス対抗戦〜借り物生産競争 ③
久しぶりに晴れた〜って感じがします。
しかし寒い(´-`)布団から出たくないと思うのは、いくつになってもかわりませんなー
ブックマーク、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
引き当てたライドが中々こちらに戻っ来ない。エルと何かを話しているようじゃが……
「ジュエルちゃん等身大ってどうする!?」
「普通に作るのじゃ。ツールなら大丈夫じゃろう」
「ジュエル。さすがに銅像みたいな繊細な物、さっきみたいな事は出来ないわよ?」
「なーに、そこはワシに考えがある。ライドがあのお題で決めるようであれば、動くつもりじゃ」
「ライドは何をしているのかしら?あ、動いたわね」
―お題を確定させたライドが、猛スピードでワシらの元に来る。顔を真っ赤にして、そこまで慌てる事もないだろうに。
「お、お待たせ!!」
「どうしたのライド?顔が赤いわよ」
「な、何でもないの!ないのー!」
「そう?」
少し遅れてエルが到着する。
「エルよ。護衛役が追いつけんでどうする?」
「だってライドが突然走り出すし、さっきよりも早くてさ」
「ライドが本気を出せばそうなる可能性はあるのう。まぁ納品時は少しゆっくりになるじゃろうし、その時は遅れるでないぞ」
「分かってるよ」
さてでは次はワシらの番じゃな。
「このお題で良かったかな?」
「問題なかろう」
「でも等身大だよ?さっきの大剣より大きいでしょ?」
「生産側は問題ないぞ。むしろライドは運べるかが問題じゃが。出来るからここまで来たのじゃろう?」
「走れるかはやってみないとだけど。持っていくくらいは出来ると思う」
「ならば早速やるかのう」
みなから少し距離をとり、隣のクラスに近づく。
「ひぃ!?来るぞ!皆!」
『おーっと!ジュエル選手がまた動き出しました!今度は何をやると言うのかー!!』
解説者がワシの行動にいちいち期待をするようで、少しやりにくいのう。
「いくぞい!怪我せんようにな!」
「「「ひぃ!!!」」」
「すぅ……《アースウォール》」
―ズドン!
地面に思いっきりパンチをしただけじゃが、それっぽい魔法を唱えてみた。
―ズズ……ドゴォォン!!
地面が割れて、ワシを隠すように大きな山が現れる。ワシはその山の上に立つ。
「隣のクラスまで届かなかったわい!失敗じゃ〜」
『なんと地面を砕き校庭に山を作ったぁ!!どうやら不発だったようですが、あれが他クラスへ行っていたらと考えると……やはり凶あ……豪快な魔法です!』
解説者はワシの思惑通りの解説をする。凶悪と言う点は聞かなかった事にしよう。
「ツール!後は分かるな!」
「うん!」
「腕がなるわね。私も頑張らなきゃ」
ツールが生産に入り、スノウがその様子を見守る。テンションも上がりいい感じじゃ。
「成る程なぁ〜掘り起こす手間を省いた訳か」
「エルダーンはジュエルがこうすると分かっていたの?」
「いや、何をするか知らないけど。ジジは出来ない事は出来ないって言うから。なんとかするんだろうと思っただけ」
「ふーん。信頼してるんだね……」
「信頼って言うのか?まぁ頼りにはしてるところはあるな」
「そう……」
テンションが高いように見えたライドは、少し様子がおかしい気がするのう。どうせエルが余計な事を言ったんじゃろう。
「像ができたら運ぶのはライド任せになる。出来るかの?」
「うん。大丈夫……」
さっきの元気はどこ言ったのじゃ?エルの方を見ると、何も変わらずぼーっとしておる。
「どうしたのじゃライド?」
「なんでもないわ」
「ふむ。これは……」
ワシにも分からん!今はオナゴじゃが、ずっと男をやってきたワシには難易度が高いのじゃ!
「スノウよ。ライドが元気がないのじゃが、どうすれば良い?」
「ライドが?エルダーンさんに何か言われたのではないですか?」
「やはりエルの仕業か!よし、少し話を……」
「待って!」
「ぐぇ」
「あ、ごめんなさい」
突然首根っこを掴まれ、首が少々苦しかったぞい。
「ジュエルが行くのはやめた方がいいわ。エルダーンさんがなんとかするから、見守るだけでいいのよ」
「そんな技量がエルにあるのか?」
「あら?エルダーンさんは馬鹿ですが、ライドの扱いは上手よ?」
「扱いって……」
スノウは何か分かっておるようじゃ。さすがずっとオナゴをやってきただけあるのう。
「出来たよスノウさん!」
「今行くわ。ジュエル。もどかしいけど、見守るのがお友達ですわ」
「よく分からんが、了解なのじゃ!ワシはワシの仕事を全うしよう」
迫り上がった山から、スノウが器用に学園長の像を取り出す。地面から掘り起こすより、楽そうに見えるのう。思いつきでやったんじゃが、いい方向にいっておる。
「ライド!任せたわ!」
「あーうん」
ライドは気の抜けた返事で学園長像を持ち上げる。
「っぐ。さすがに重いね」
「どうしたライド?ダメそうか?」
「さすがに走れなそうだけど、持てなくないかな」
「そうか。なら自分のペースでゆっくり行け。お前は俺が必ず守ってやる!」
「っう……エルダーンはずるいよね」
「ん?何か言ったか?」
「何でもないよ!ほら行くよ!」
「ん?ああ」
何か元気が出てきたライドは、学園長像を軽々持ち上げ走り出す。今の会話に元気になる要素がどこにあったと言うのじゃ?
「ね?」
「ね?と言われてものう」
「ジュエルはもう少し女心を学ぶべきね。ツールさんが可愛そうよ」
「ちょっとスノウさん!?」
「なぜここでツールの名がでてくるのじゃ?」
「頑張ってツールさん」
「スノウさん!?」
顔を真っ赤にするツールに、ニヤリと笑うスノウをワシは訳も分からず見る。これが見守ると言う事か?
―ボォウ!
「くそ!あの像は納品させる訳には!」
「これならどうだ!」
『Sレアの学園長像に攻撃が集中するぞ!しかしそれを全て防ぐエルダーン選手!ポイント10はでかいだけに、各クラスが慌てて妨害をします!』
各方面から学園長像目掛けて魔法が飛び交う。さすがのレア度ってところかのう……しかし負におちんことが一つある。
「何故に生産してる途中で邪魔をせんかったのじゃ?」
「それは……ねぇ?」
「ジュエルちゃんに挑む人なんてもうこの学年にはいないと思うよ」
「そんな!ワシはまだまだ暴れ足りんぞ!」
「これは戦う競技じゃないのよジュエル?」
くぅ〜エルの護衛役をかわりたかったぞ!そうすれば少しは……ん?原因がワシなら同じ結果か?
Sレア学園長像を納品したワシらは、その後もポイントを重ね勝利を掴んだ。
妨害されぬのであればするまで!ワシは試せる範囲でいろんな魔法を使い妨害した。それ以前に他のクラスがポイントを取る事は無かった……
実況者「実に清々しい戦いでした。競技そっちのけで、妨害なんてあまり見ない光景でしたね」
学園長「次の試合に行きたいところだけど。この状況じゃ継続できないよね。あはは〜」
副学園長「笑い事じゃありませんよ。どうにかして下さい」
学園長「大丈夫。もう手配はしてあるよ」
副学園長「え?どなたに?」
学園長「壊す人の世話が得意な人?」
副学園長「それって……」
ジャムストーン「僭越ながら、私がお嬢様の惨劇を納めてまいります」
学園長「彼女は説明いらないよね?時間はどれくらい必要だい?」
ジャムストーン「5分頂ければ」
学園長「だって。誘導5分後に頼むよ〜」
実況者「こんな無茶苦茶な校庭が、そんな時間で元に戻る訳が……」
ジャムストーン「終わりました」
実況者「早!?え?嘘!?」
学園長「さぁ!第二学年いってみようじゃないか!」
実況者『二学年入場です!』
二学年「「「(この空気の中……やり辛い!!)」」」




