第二十四話 集え!クラス対抗戦〜借り物生産競争 ①
久しぶりのいい天気。お昼寝したいわ〜
ブックマーク、評価、読んでくれた皆様。
ありがとうございます(*'ω'*)
時が進むのは早いもので。
「ワクワクが止まらんな!」
「そうですね!みなさん!今日は頑張りましょう!」
「ワクワクしてるのは二人だけだぞ」
エルに言われ後ろを振り返る。
「緊張しますわ。ちゃんと出来るかしら……」
「だ、だ、大丈夫だ!スニョッ!?」
「か、か、噛んでりゅっ!?」
「あわわわ」
スノウは緊張していると口にするわりに、顔に焦りの色は見えない。
そしてファクターとライドは未だかつて無い、噛み方をしておる。
ツールは……いつも通りじゃな。
―キィィーン……
『あー……あー、テストー』
いよいよ始まるか。マイクのハウリングから恒例のテスト。
『さぁ!いよいよ始まりました!学年別クラス対抗が始まります!』
「実況はテンション高いのう」
『時間も決まっていますので、サクサク進行していきます!まずは学園長からの挨拶です』
『えー……みんなぁ〜盛り上がってるか〜い?』
「「「……」」」
突然の問い掛けに誰しも固まる。副学園長が近づき、耳打ちで何かを学園長に伝える。
『ルール先生は厳しいなぁ〜せっかくのお祭りなんだから、楽しまないとつまらないじゃないか。まぁいいか……ん?何、時計?くるくる?あー時間が無いね。皆、せっかちさんだなぁ〜じゃ、一言だけ……戦え!その技術を存分に発揮したまえ!以上!』
格好がいい台詞に満足したのか、ウキウキ顔で退場する学園長。
「あぁ……始まるんだな」
「ファクターは何故ここまで緊張しておる?始めの競技は出ないであろう?」
「そういう問題では無いのだジュエル。こんなに人が大勢いるんだぞ?」
『さぁ!では参りましょう!始めは第一学年の借り物生産競争です!』
「では行ってくるぞい。指示出し頑張るのじゃぞ?」
「ま、ま、任せろ!」
不安じゃなぁ〜まぁ運動会の様なものじゃし、戦をするわけでもないから指揮をする必要もないと思うがのう。
そして一学年の選手が集まる。
『各先生から聞いていると思いますので、簡単にルールのおさらいから』
そう言えばルールはファクターから聞いたが、教える先生から教えて貰っておらんのう。
『この借り物生産競争は、20ポイント先取したクラスが一位!それ以降の順位はそれまで貯めたポイントによって決まります。まずは中央に設置されたガチャボックスから、ランダムにお題が排出されます。』
進行役がガチャを回すと、何かが出てくる。
『あちらのボードをご覧下さい!ノーマルランクの皿5枚と出ております。ガチャは三回まで引き直し可能で、それ以降はマイナス1ポイントになります。そして気になるとポイントは、ノーマルが1ポイントで、レアだと2ポイント!Sレアを納品した場合……10ポイントです!』
「えらくポイント差が酷いのう」
「きっとえげつない物作るんだろうな」
「僕に出来るかなぁ?」
「難しいなら引き直せばいいさ」
ノーマルやレアをちまちま20ポイントまで貯めるのも良し。Sレアは二回の納品で勝利となる。お題にもよるが、試す価値はあるじゃろう。
『そしてこの競技最大の見せ場は!なんと言っても妨害作業!納品者と生産者に助手の交代は認めません。この三人をいかにして守るか。それを守る護衛役がこの競技の鍵を握ると言っても過言では無い!』
「この競技……そんなに物騒なの?」
「あわわわ」
「納品者も責任重大なんだな〜」
「そこは心配せんで良い。二人はワシが守るのじゃ」
「ジュエル……」
「ジュエルちゃん……」
二人の熱い視線を感じるが、当たり前のことであろう。
「エルダーンは私を守ってくれるかな?」
「何言ってるんだ?」
「はは。だよね〜私は自分の事は自分で守れるしね」
「守るに決まってるだろう。ライドに指一本触らせない」
「っう!?」
「どうしたんだ?顔が赤いぞ?」
「エルダーンは……たまにずるいよね」
「ん?」
ライドの緊張は大丈夫そうじゃな。ツールやスノウもいつもの感じに見えるし、問題なさそうじゃ。
『それでは各クラス位置について……』
ぞろぞろとそれぞれの位置につく。
『準備出来ましたね?それじゃいきましょう!第一学年の借り物生産競争スタートです!!』
―パァーン!
乾いた破裂音と共に全員が一斉に走り……出さずにライドに魔法を放たれる。避けるそぶりもせず、ただ前を見て走るライド。
「危ないライド!」
「慌てる事はない。見ておれ」
―ボォウ!
飛んできた魔法を撃ち落とすエル。一学年だけあって、威力も大した事がない。エルの魔法で一気に消し炭。
「俺の魔法が!」
「岩の魔法だぞ?何で燃えるんだ?」
別に燃えた訳ではない。炎の勢いに撃ち落とされ、少し焦げただけじゃ。
「良かったですわ」
「しかし、いきなり攻撃とは荒々しい競技じゃのう」
「僕達も攻撃される?」
「されるじゃろうな」
「ひぃー」
何かを狙っておるのがバレバレじゃ。悪いが黙って見ているつもりもないので、先手は打たせてもらうがのう。
ライドがそろそろお題を引く頃じゃな。
―バン!
【レア/学園長像(小)】
「いきなり出たのう」
「いくね」
ツールは地面に手をつき、すぐさま学園長像を作る。
「出来たよスノウさん」
「参ります」
「動きがスムーズじゃな」
「何度も作ってきたからね」
―タタタ……タン!
「お待たせ〜」
「丁度できました。よろしくお願いしますわ」
「びしょびしょだけど?」
「走っていれば乾くわ」
「了解。じゃ、ちゃちゃっと出してくる」
―ダン!
学園長像を抱えて走るライド。
「生産の段階で邪魔されるかと思ったよ」
「そうね。何もされなかったわね」
「設置したのが無駄になってしまったのう」
「何かされたのですかジュエル?」
「ある魔法設置したんじゃが。攻撃してこんと反応せんから、反応した時話すのじゃ」
「設置型?そんな魔法あるの?」
「出来ぬのか?」
「聞いた事ないわよ。どうして知ってるの?」
「……ライドもう着いたかのう」
「誤魔化した。まぁいいわ。今度ゆっくり教えて頂こうかしら」
魔法の常識は難しいのう……
あまり派手な事せん様に気をつけねばな。ワシは普通を目指しておって、近寄りがたい存在にはなりたくないのじゃ。
『まずは先制したのは……五組のライド選手!レアの学園長像(笑)を納品です!』
なんか笑いとか言っておるぞ?
荒々しく始まった対抗戦も、すんなり先制点を取る事が出来た。いきなり2ポイントとは、幸先が良い。この勢いを崩さず頑張っていきたいものじゃ……
護衛は暇じゃな。もっと攻撃してきていいんじゃぞ?
ツール「ジュエルちゃんがソワソワしてるよ」
スノウ「攻撃こなくて、暇だなとか思っているんじゃないかしら?」
ツール「あ、そうみたい。始めの攻撃見た時のジュエルちゃんは、期待に満ちた目をしてたしね」
スノウ「何もないのは私達にとって良いのですが……ジュエルのソワソワが溜まったら、何が起こるかが心配だわ」
ツール「心配しなくても大丈夫そうだよ。分かってるって顔してる」
ジュエル「ツールはワシの顔を読み過ぎじゃろう」
ツール「そ、そうかな?」
スノウ「ジュエル顔に出るし、分かりやすいのよ。それにツールさんは……」
ツール「スノウさん!?」
スノウ「ふふ。なんでもないわ〜」
ジュエル「ん?」




