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ジジ転世〜ワシがオナゴでふぁんたじー〜  作者: みけな
第二章 積み重ねる記憶
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第十八話 普通の感覚とはなんじゃ?

朝、ゴミ出しで外に出たら寒かった。

でも小学生とか半袖なんだけど〜これが若さか……(゜ω゜)


ブックマーク、評価、読んでくれた皆様。

ありがとうございます(*'ω'*)

 朝、ワシは目覚めるといつもの日課に……


「まだ魔法が使えんから、寮の周りでも走るかのう」

「私もお供いたします」

「では準備じゃ」


 ジャムと二人で動きやすい格好に着替え、寮の周りを走り始めた。

 入口の前を通る度、何人かの生徒に出会った。


「おはようなのじゃ!」

「「おはよう御座います!」」


 直角まで頭を下げ、大きな声で挨拶を返してくれる。ハキハキしており、気持ちのいい朝じゃな!その後も挨拶をしれくれる生徒が多かった。


「ん?ジジじゃないか。朝からランニングか?」

「うむ。エルは走らんのか?なんなら一緒に……」

「……あ!そう言えば、食堂開いてるらしいぞ。ジジは朝、食べに行かないのか?」

「食堂か?ワシはジャムがおるから、部屋で食べる事も出来るしのう。ところでエルは……」

「色んな人と会えるチャンスだぞ。友達作るんだろう?」

「なるほど!その手があったか!行くぞジャム!」

「お嬢様!汗を流し、着替えをなさらないと!」

「そうじゃな。エチケットは大事じゃな!」


 エルに食堂の場所を聞き、急いで部屋に戻る。シャワーをし、制服に袖を通す。


「お嬢様、髪がまだ濡れています。乾かさないといけませんよ」

「こんなの自然に乾くじゃろう」

「なりません!」

「お、おう。」


 服は制服じゃから困る事はないが、髪は少し長からいつもジャムに任せておる。髪について適当にやろうとすると、いつも怒られるのじゃ。オナゴは髪が命だとか……いっその事切ってしまいたい。


「あぁ〜髪を乾かす魔法が欲しいのう」

「風系統でしょうか?」

「昨日の試験でやったのを使えればのう」

「髪を乾かす魔法……それは画期的ですね」

「今は拭くことしかできんしのう」


 髪が長いと気軽にシャワーも出来ん。この世はまだまだ不便な事が多いのう。ドライヤーくらいならワシでも作れるか?いや、作るのであればツールに協力してもらうか。


 考え事をしていると、髪はジャムによってセットされていた。そしていつの間にか着替え終えたジャム。


「参りましょう」

「そうじゃな」


 食堂は確かこっちと言っておったな。


「お嬢様。こちらで御座います」

「……知っておったぞ」

「ふふ。そうですね」


 道案内はジャムに任せて、その後ろを着いて行く。そして辿り着いた食堂を見て感動する。


「人がいっぱいなのじゃ!これはお近付きになるチャンスばかりじゃ」

「そうですね。頑張って下さいね」

「おばちゃん!大盛りで頼むのじゃ!」

「朝から元気ね〜すぐ用意しちゃうわ」


 今日の食事は和食じゃな。ワシ好みである。


「しかし混んでおる。開いてる席は……窓際のあそこにしようぞ。隣いいかのう?」

「あ、うん。どう…………ぞぉぉぉ!?」

「驚かせたかのう?すまぬ」

「いえ!?謝って頂くことは何一つ御座いません!あ、お連れ様もいますね!僕もう食べませんので、この席をお使い下さい!」


 そう言うと、隣の席の少年はいなくなってしまった。食器の上の食事はまだ途中に見えておったのじゃが?気を使わせてしまったか?


「あ、感謝する少年!行ってしまったのじゃ」

「私はメイドなので放って頂ければ良かったのですが」

「優しい者なんじゃろう。せっかくじゃし、ジャムも座るがよい」

「私はメイドですので、そのような事は致しま……」


 ―ぐぅ……


「ここは屋敷ではないのじゃ。ワシの隣で座り……ってジャムの分がないのう。持ってくるのじゃ待っておれ」

「お嬢様!?私が!」

「席を離れてはいかんぞ。しっかり守っておくのじゃ」

「あぁ……」


 食堂のおばちゃんにジャムの分をお願いする。


「侍女の分まで貰いに来るなんて、珍しい子だねぇ」

「何を言う。普段世話になる者を労えんで、何が主人であるか」

「貴族らしくない考えね」

「よく言われるぞ。ワシは思った事を言っているだけなんじゃが」

「それが大人になると出来ない事があるんだよ」

「大人とは大変なのじゃな」


 ワシも気持ちは大人じゃがのう。


「ほら。出来たよ大盛りで」

「感謝するのじゃ!」

「しっかり食べるんだよ」

「いただきますなのじゃ!」


 席に戻るとジャムが席の前でじっと立っている。その体から何かが漏れているような……人を寄せ付けないオーラが見えた気がした。


「そんな形相で睨むと怖いのじゃ」

「いえ、席を守る事が任務でしたので」

「心なしか周りに人がおらん気がするんじゃが」


 お近付きになるのは今日は難しいのう。今日は仕方がない。


「では食べるかのう。ジャムも座るのじゃ」

「私はメイドですので……」

「父上も母上もおらんこの状況での、一人で食べるのは寂しいのう……なんて」

「ご一緒いたします!」


 なんだかんだ言って、ジャムはワシに甘いのう。そう言う所は好きじゃからいいんじゃがな。


 そして二人で食事を終えて、ワシらは教室に向かう。


「おはようなのじゃ!」

「「「ひぃ!?おはようございます!」」」

「おはようなのじゃ!」

「「「きゃ!?おはようございます!」」」


 各教室を開けては挨拶をして回る周る。




 ♢




「その結果がこれか?何を落ち込んでるんだジジは」

「なんか反応がのう……よそよそしいと言うか、恐れておるんじゃよ」

「そりゃ突然教室の扉を開けて、挨拶すればそうなるだろう」

「何か分かるのかファクター?」

「ジュエルは自分の立場を分かっていますか?」

「ワシの立場?そんなのただの学生だあろう?」


 やれやれと首を振るファクター。


「ジュエルは領主の娘だろう?」

「一応そうじゃな」

「一応って……まぁいい。それに昨日の試験を皆が見ている」

「そう言えば教室から見ておったのう」

「ただでさえ領主の娘と言うのは、声をかけられるものでもない。そこへあの魔法を見てしまっては……そうなるのも分かる」


 偉いのは領主であって、娘は関係ないと思うのじゃが。


 ―ガラガラ


「おはようなのじゃ!」

「おはようございます。ジュエルさんは朝もお元気ですね」

「しっかり寝て、朝のランニングをし、ご飯を食べたからのう!」

「健康的な生活ですね」

「ふむ。ファクターよ。スノウは別に普通じゃぞ?」

「なんの話ですの?」



 ワシの朝の出来事で、距離を感じる事をスノウに話した。


「その件ですか。ある程度の覚悟はしていましたが、ジュエルさんは目立ちましたから」

「ただワシは普通に剣を振り下ろしただけじゃが?」

「普通の人は、身の程以上の大剣を振り回せませんし。何より剣で地面は割れないのよ?」

「筋力強化は初歩の雷系統じゃぞ?」


 ―ガラガラ


「おはようなのじゃライド!

「うん。おはよう〜」

「ライドも普通なのじゃ」

「彼女はそう言うのを気にしなさそうですけど」

「ん?なんの話?」


 遅れて来たライドに事情を説明する。


「皆がジュエルをビビってるって事?あはは、そりゃそうだ」

「な、何故じゃ!ワシは普通に剣を振っていただけじゃぞ?」

「その感覚が普通じゃないよ。あんな剣ブンブン触れないし、地面も普通は割れないから」

「スノウと同じ事を言っておるな……エル!ワシは普通じゃないのか!?」

「だから前から言ってるじゃん。俺も慣れたから気にならないけど」


 周りとの認識が違うのは認めねばなるまい。今度から魔法を使う時は二人の意見を聞くとしよう。これでワシも普通の子供で、友達も出来るはずじゃ!


 ―ガラガラ


「はーい。席ついて」


 教える先生が来て、皆が各々の席に座る。ワシが席に着くと、隣にはツールが座っておった。初めはいなかったはずじゃが?


「ツールよおはようなのじゃ。いつ教室に入って来たのじゃ?」

「スノウさんが来た時に……あ、おはようございます」

「気づかんかったぞ……ツールは忍者なのか?」

「忍者?」

「なんでもないのじゃ」


 後ろの席から見て思ったが、このクラスの者はみな普通では無いのでは……なんて事を少しだけじゃが、思ったりした。

ファクター「魔法は使えるのは普通だが、さすがに地面を割るのは普通じゃ無いだろう」

スノウ「そうですね。大剣を担ぐのも普通では無いですよね」

ライド「でもあのくらいの剣なら、持てるんじゃ?」

二人「「無理です」」

ライド「そうか?」


エルダーン「結局全部普通じゃないと」

ジュエル「普通とはなんなのじゃ?」

エルダーン「とりあえず言える事は、ジジは普通じゃないって事だよ」


先生「もう先生来てるからね〜話聞いてね〜…………このクラスは普通じゃないんだけどなぁ」

生徒達「…………」

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