2話『被検体第9号、被検体第4号。』
side?
『「事故」が始まったようだな、記録しておけ。それと、アイツの出動を準備しろ』
『了解』
side彩真
鉄球は轟音を発し、飛んでいった。
電磁超加速砲は勢い良く奴の後ろの壁も貫いた。
水道管が壊れたのか、水が噴き出ている。
今の攻撃で警報が鳴った。
ここらへんの人間は避難したようだ、腰を抜かしたりしてる奴がいなければな。
さて…
殺った…
のか?
「…!」
驚いた。
撃ったにも関わらずアイツが動くそぶりを見せない事にも驚いた。
だが、それ以上にー
奴が無傷な事に驚いた。
「とんでもないもんだな、衝撃波でここら一帯ボロボロじゃねぇか。それにしても、どうした?鳩が豆鉄砲くらったような顔しやがって。」
「どうしたもなにも…アレをかわしたのか?」
それは無理なハズだ。音速を遥かに超えるし、衝撃波は円形に広がる…
「かわしてねぇよ。『スカした』。」
「?!」
スカした…?!どういうことだ?
「特別だ、俺のアプリを教えてやるよ。俺のアプリは『原子操作』だ。」
「『原子操作』?」
「俺に触れるものの原子を操作する能力さ。アンタの撃ち出した弾丸が俺の身体に接触する瞬間、俺の身体の原子を動かして弾丸より大きな穴をあけて、スカしたんだよ。ま、これはオート発動だけどな。」
「馬鹿な!そんな事をしたら、死ぬだろう…」
「そんなもん組織を崩さないようにしてるに決まってんだろ。さて、こっちが手の内を教えたんだ。アンタも教えろよ、その生まれ持ったアプリとやらをさ。」
「その前に、お前の名前を教えろ!」
「あれ?まだ名乗ってなかったか。俺は真保 大。被検体第9号だ!」
「…俺は永昌彩真だ。」
「知ってるよ、それぐらい。それよりアプリを教えろ」
「俺は生まれ持ったアプリ1つと後から付け足されたアプリ1つ、合計で2つのアプリを持ってる。」
「ほう?」
「前者のアプリは『電子誘導』。電子を操作するアプリだ。後者のアプリは『第4の種』。電離したイオンに好きに刺激を与えられる。」
「ってことは…」
「そう、俺は雷や炎を自在に創り、自在に操れるのさ!」
そう言って、徐に手に雷や炎を纏わせる。
「…なるほど、たいした能力だ。」
「てめぇに勝機はねぇよ」
いくらでも強力な磁場や炎を創れる俺には銃だって大砲だって効かない。
「…お前は俺を嘗めすぎだ!原子を操作するってのは、こういう事もできるんだよ!」
そう言うと、奴は腰を抜かしたままの通行人の頭に手を置いた。
するとー
通行人が奴に吸収され、奴の筋肉は肥大化した。
「こいつの組成を元に、俺の身体に組み込んだ。俺は今、通常の2倍の思考力を持ち、2倍の筋肉を持つ!がー」
奴は体中の取り込んだ筋肉を腕に集中させた。
そして、集まった筋肉の中央に管ができた。
「筋肉による大砲だ。この管から先端を尖らせた骨を発射する。さぁ、どうする?!」
「…俺はさっき、電子を操作できると言ったよな。」
「それがどうしたー」
「さっき噴出してた水は一体どこに消えたんだろうな?」
「…まさか!」
「そう、俺が水を水素と酸素に電離させた!お前がその大砲を撃てば、摩擦で大爆発だ!」
「ぐうっ…」
まあ、そんなことを待つ必要はないがな。
「俺の2つめのアプリ、覚えてるか?」
「…!」
「そう、『第4の種』だ。これを起動して、水素爆発で死んでもらう。」
「そんな事をしたらお前も!」
「忘れたか?俺は電子を操作できる。俺の周りのプラズマ化を無理矢理…止める!」
「待っ」
「黙れ!」
辺りは水素爆発に呑まれた。
…………………
「身体を組成する元素ごと違うものに変えられちゃぁ流石に死ぬでしょ。」
「クソ…が…」
奴はとっさに創った肉の壁でガードしていたが、それでも足りずに全身に酷い傷を負っている。
もう殆ど意識も無いようだ、これならアプリも使えない。
「筋肉が重すぎてガードが間に合わなかったようだな。
ここでー
死ね!」
燃やし尽くしてやるー
「待った!」
「?!」
思わず手を止めてしまった。
そして、気付くとアイツがいなくなっている。
声がした方向に急いで振り返ると、奴を担いだ女が立っていた。
「誰だ、てめぇは?!」
「私は榎田 千濱、被検体第4号。近いうちにまた会うと思うわ、被検体第1号さん。」
そう言うと榎田とやらは一瞬で跳躍し、どこかへ走り去った。
「待て!」
叫ぶも、誰もいない。
忍者のような女だ…




