憎しみの果てに…
この小説をお読み下さり、ありがとうございます…。
9月某日、都内のマンションの一室で20代前半の若い男の遺体が発見された。
死体の横のテーブルの上には缶ビールとグラスがあり、死体を解剖した結果、死因は薬物による毒死だと、判明された。
自己紹介がまだだった。俺の名前は、白河 正樹。一応…探偵を名のっている男。今年で40歳、中年親父の仲間入りだ。しかし、俺は中年親父が嫌だから探偵業を始めた。
始めた頃の依頼は、人捜しなどが主だった。が、俺の名が知られたのか最近、殺人事件が発生すると“国家の犬共”からお呼びが掛かる事も屡ある。先程の事件も俺は呼ばれた。
「こりゃ、安易な事件だな。」
俺は死んだガイシャの身元を見て解った。
薬物による毒殺…と鑑識の結果に書いてあるが、自殺なのか他殺なのかは今の状態では不明だ。だが、一つだけ解った。この死んだガイシャはどう観ても自殺する風貌ではない。寧ろ、弱い立場の人間を追い詰めて自殺させる極悪非道な人間だ。生きてた頃は、このガイシャはチャラチャラしていたような気がした。
その時だった…。一瞬だけ、ガイシャの口からアーモンド臭がかげた。間違いない、使用された毒薬は青酸カリだ。青酸カリなら毒薬の中でも手に入りやすい奴だからな。
俺は、急いでガイシャが働いていた所を調べた。すると、ガイシャは小さな鉄工所でバイトしている事が判明した。
その鉄工所の名前を見た時、ピンと来た。俺は直ぐ様、その鉄工所に行った。一つの資料と一つの確信を持って…
その鉄工所は、港のすぐ近くにあった。
(キムラ鉄工所)
と、いう名前で工場長は57歳の木村 清次。
木村はアポ無しでここへ訪れた俺を見て、
「何の用だ?」
と、言い放った。俺はゆっくり近付いて、
「先日、殺された青年はここで働いていたんですよね?」
と、言った。木村は顔色一つ変えずに、
「あぁ。」
と、言って手を止めてた仕事を再開した。俺は事件の核心を突く事にした。
「亡くなった青年の体内から、毒薬が検出されたんですよ。」
すると、木村の顔色が少しだけ変化したのが見えた。しかし、木村は、
「自分で青酸カリを持ち帰って、ビールとかの飲料に混ぜて誤飲しちまったんだろう。馬鹿だから。」
と、言い張った。その瞬間、俺は笑った。
「あれ?私は一度もビールや青酸カリなど言ってませんけど。」
と、俺が言うと木村は更に顔色が変化した。それが、奴の化けの皮が剥がれた時だった…。
「クソッ……あの野郎が何よりも憎かったのさ…だから殺った。奴への報復さ!」
木村は、こう言って蹲り地面を叩いた。俺は、一枚の写真を取り出して静かに言った。
「あんたの娘は数年前、奴によって殺された。だから…」
「これ以上言うな!」
と、木村は静かに言った。そう言った彼の目は殺人者の目では無く、娘を殺したガイシャへの憎しみの目だった…
俺は、木村に自首を勧めた。木村は何も言わずに仕事場へ戻って行った…。
その夜、彼は警察に自首したという。
娘を殺された親と法により無罪放免となった青い殺人者が一緒になると哀しい結末を生む…それがこの事件で解った事だった。
初の推理小説でしたモノで、内容がグダグダな小説になってしまい、申し訳ございません。