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悪意の塊
「…このあたりに、悪意の塊みたいな爺さんが住んでいると伺ったのですが」
見るからにあやしいやつが俺を訪ねてきた。
「俺は知らん、他を当たってくれ」
おそらく、近所のアホどもがおかしなことを吹き込んだのだろう。
ルールを守れないバカどもに正しく指導をしてやっただけで、こうも悪評名高くなろうとは。
他人をバカにしたくて仕方がない低能どもが、ある事ない事面白おかしく吹聴するせいで…俺はいつも辛酸を嘗めてきた。
いつだって他人が、俺の名誉を踏みにじり、手柄を奪い、功績に泥を塗り、経歴を穢し、輝かしい未来を握り潰し…。
「確かに、こんなに薄っぺらい悪意じゃ…腹は膨らみません」
「…は?」
「仕方がない、肉で 我慢 し と く か …