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1話 日常

第一章:⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎

 私・水月奏は、うんざりしていた。

また同じようなサイクルが繰り返されるであろうこれからの高校生活に。

少しでも気が晴れるかと思って外に出てみたは良いものの、四月上旬だというのにもう暑い。

肌に突き刺さるような日差しに目を細めつつ、早く帰ろうと足を踏み出したとき。

____ずしゃあっ!

………………派手に転んでしまった。

「うー……」

何かに躓いてしまったらしく、足首がじーんと痛む。何に躓いたのかと足元を見ると、ライトノベルくらいのサイズの本。

「もー…なんでこんな所に本が落ちてるの……!!」

薄い茶色のクラフト紙でできたブックカバーがかかったその本を拾い上げる。本が道端に落ちている光景は初めて見たが、なかなかに可笑しな感じだ。

「……どんな本なんだろ。」

なにせ非日常を求めている身。気になってしまうのも仕方がない。

私は題名を見ようとブックカバーを外した。途端。

「うわぁっ!?」

思わず声をあげてしまったのも無理はない。

その本の題名は、マジックペンのようなもので無造作に塗り潰されていた。

気味が悪くて、慌ててブックカバーを元に戻す。

でも、少しワクワクしている自分もいた。

どうして塗り潰されているんだろう。どんな本なのかな。どんな題名なのかな。

本文を検索すれば、題名くらいは分かるだろうか。

全く便利な世の中だなぁとか思いながら、私はスマホをポケットから取り出した。

「ひぃあっ!?!?」

起動した途端、驚きのあまりスマホを投げてしまった。

がしゃ、と鈍い音がなる。

やばい、傷ついたかな…!?

数歩先に落ちたスマホを慌てて拾い上げ、割れていないことを確認する。

今のは見間違いかもしれない。

そう思い、もう一度スマホを起動する。

するとやはり、淡い水色の壁紙の中に見覚えのない青年がいた。先程はそれが動いたように見えたのだ。

「気のせいか…。それにしてもこの模様なんだろ…?」

襟足が少し長めで、少しだけ青みがかった黒髪。整った顔。正直言って相当なイケメン。

思わず見惚れていると、

「………ん…?」

「ひぃぁぁあ!?!?」

なんとスマホの中のその人は、ぱっちりと目を開き、しかも少し声をあげてむくりと起き上がったのだ。

このお話が、貴方の日常の中の非日常となれることを願っています。

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