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正義の咎人≒罪喰らう虫  作者: エマ
正義の咎人
8/48

第八演 正当な理不尽



 会場が灰燼と化す五分前。


「……死んだ? 」


 ロクスはダラりと義手を落とした。


 無線相手はハレ。

 苦しみを噛み砕くような声で、ロクスにこう伝えていた。


『子供たちは皆死んだ。もうフォルセダーを集めても意味が無い 』


「ははっ……そうか。死んだか 」


 ロクスは笑った。

 笑うしか無かった。

 この滑稽な現実に、何も救えなかった自分に。


 子供たちは急死してもおかしくなかった。

 むしろ不安定な状態でよく生きていたと。いつ死んでもおかしくないのに、よく笑っていたと。

 そう自分を励ました。


 励ました。

 なぜ死んだと怒りが沸いた。

 そして無。


 なぜ自分が今ここに居るのか、分からなくなった。


「うわぁ……酷い惨状ですね 」


「……誰だ? 」


 商品すべて殴り壊された保管庫の中。

 ロクスは虚無を思わせる無表情で問いかける。

 その相手は背後にいた。


 黒いパーカー。安っぽいサングラス。

 どう見たって異様。

 けれどロクスは、警戒する気にもなれなかった。


「ごめんなさい。もう少しはやく……いや、言い訳です。僕は彼らの存在を知っていました 」


 ふらりと。

 ロクスは力なく振り返る。


「フォルセダーを彼らに提供するために会場に来たんです。まぁ予算が足りなかったので盗もうとしたら偶然……聞いてしまいました。申し訳ありません 」


「……テメェは誰だ 」


「覚えていませんか? 」


 ヘラヘラと笑うパーカーの男。

 その目の前には、今にも白炎を吹き出さんとする義手が向けられた。


「殺すぞ? 」


「あなた達に救われた一人、虐待から救って頂いたんですよ 」


「……… 」


 一人。ロクスは心当たりがあった。

 そのサングラス越しに見える赤の瞳に。


「だから恩返しがしたかった。でも間に合わなかった。そしてもう一つ……タイミング最悪ですが、計画を持ちかけに来ました 」


 男はサングラスを外し、手品のように手のひらで消し。

 赤いボタンを手のひらに出現させた。


「もし二人の犠牲で、犠牲を増やすだけの社会を壊せるのなら。あなたは死ねますか? 」


 悪魔ですらも持ちかけない、心の隙間に漬け込んだ問い。

 けれど今のロクスは、子供たちを救うという大義が無くなったロクスは、


「あぁ 」


 そのボタンを迷いなく押した。



 そして現在。彼は円卓都市を堂々と歩いていた。

 血まみれの白スーツ。

 目を引くが、誰もロクスを見ないふりをした。


(笑えるよな。強すぎる抑止力が、逆に犯罪を野放しにしてるなんて )


 ロクスは嘲笑っていた。この法の欠陥に。


 暴力とは犯罪だ。ならばこう考えよう。

 殴ってきた人を殴り返して怪我をさせた。


 これはどちらが犯罪者だ?

 正解は無い。だがこの都市では、その両方が処刑される。


 子供が親を虐待していたとしよう。

 そして子供が親を殴り返した。

 どちらが犯罪者? どちらもだ。


 騎士以外自衛すら認められない。

 だからこそこの街は悪意は忌み嫌われ、そして不審者には寛容だ。


 善良な市民であるために、誰もトラブルに口を挟まない。


「相変わらずここは……クソみてぇだな 」


 ロクスは墓場に来ていた。

 そこには大量の花が敷かれ、四つの花冠が造られている。


 誰もがここで祈りを捧げている物静かな場所。

 けれどここの下には何も埋まっていない。


「……… 」


 柵を乗り越え、ロクスは対となった義手で墓標を撫でた。

 そこにはリルカルゴ一家と掘られている。


 リルカルゴ一家。それは犯罪者と迫害された、ただの市民だ。

 

 彼らは武器商人だった。

 先の大戦。延々とも言える戦争を支えた巨大な一家。

 戦争が長引き、彼らは大量の儲けを手に入れた。


 市民が一粒の豆を奪い合う中、彼らは暖かなスープを飲み、バターの入ったパンを食べていた。


 火を奪い合い、暖かな人が冷たい肉になってゆく冬の中。

 彼らは暑いと言いながら、薄着で暖炉の前で温まっていた。


 そんな裕福な家庭で、ロクスは産まれた。


 彼は不自由だった。

 海という場所に行きたかったのに、戦争のせいで行けないのだから。

 いつか家族で海に行きたいと、ステーキを食べながら語っていた。


 ボヤき、不自由を思い続けるロクス。

 そんな彼に妹ができた。


 そしてこう思った。この子を守りたいと。

 家族として、ちゃんとしたいと。


「お兄ちゃん……野菜とって 」


「おういいぞ。お兄ちゃんだからな! 」


「も〜う、しっかり食べなさい! 」


「そうだぞ! ほら、父さんの肉やるからしっかり野菜も食べなさい 」


 妹は肺に病を持っていたが、この家庭は退屈にも思えるほど幸せだった。

 それが壊れたのは新月の夜だった。


 ロクスは妹を抱き、燃える家を見つめていた。

 月の明かりがなかった。だから炎は白にも近しい輝きを放っていた。


 金持ち。成金。

 彼らの一家は妬まれ怨まれ、不満が溜まり続ける戦争の中では、絶好の発散道具だった。


「寒い…… 」


「我慢しろ。大丈夫だ 」


 妹を抱え、ロクスは冬の街を走っていた。

 その中で高そうな靴を見られた。


 金持ちには不満が溜まる。

 なぜか? 妬ましいからだ。

 少なくともそう思う人間は多かった。


「すいません。金ならあります、泊めてください 」


 両親が死んだというのに、ロクスは冷静に宿を探した。

 けれど無駄だった。トラブルの種である金持ちなど店主は泊めたくなかった。


 そして宿を出た瞬間、集団に襲われた。


 何を言われているかも分からず、ロクス達は蹴られ続けた。

 痛み。妹を守るという使命感。

 その中で確かに聞こえた言葉。


『金持ち 』 『成金 』 『犯罪者 』


 戦争で設けてる人が居るとしよう。

 その人は悪か? いいや、仕事をしているだけだ。


 その家庭で産まれた子供が居るとしよう。

 その子は悪か? いいや、平等に産まれ落ちただけだ。


 戦争の金で育った子供は穢れているのか。

 そんなハズは無い。


 ただ少なくとも彼らは、この子供は穢れていると思っていた。

 いや、そうとすら思って居なかったのかもしれない。


 だってコイツは金持ちだ。

 今まで幸せだったんだ。

 このくらいのバチが当たっていい。


 その想いだけは皆同じだった。


「……… 」


 気絶から目を覚ましたロクスは、横たわる妹を見つけた。

 冬であるというのに、彼女は白い息すら出していない。


 死んでいた。


 ロクスはなぜ自分が生きているのかと思った。

 考えてみれば簡単だった。


 誰も人を殺すつもりは無かったのだと。


 屋敷は火をつけられただけだ。

 誰も直接、殺そうとはしていない。


 自分たちも同じだ。

 ただ金持ちの子供で鬱憤を晴らしたかっただけだと、ロクスは理解した。


 そして成長した自分だけが生き残り、まだ幼い妹は死んだのだと。

 ロクスの脳は無慈悲に理解した。


「……… 」


 彼は妹を埋めた。

 シャベルなど無かったから、自らの手で。


 前日は雨が降っていたのか、土は湿気ていた。

 それがロクスの指先を冷たい牙となって削っている。

 

 けれど彼が最も痛かった瞬間は、こんな土を妹にかける時だった。






 十年時が経つ。

 ロクスは生き抜いていた。


 盗み、脅し、身分を偽装して働き、日々金を稼ぐ。

 そんな生活だったが、彼は殺しはしていなかった。


 殺せば、最も怨む人間と同類になってしまうから。


「……? 」


 そんなある日、彼は街がザワつくのを見た。

 何か胸がざわついた。だから彼はゆっくりとそこへ向かった。


 たった十年で街は変わっていた。

 空き家が多かった家も生活感で満ち、少なくはあるが商品を外で出す店も増えている。

 それほどまでに治安も安定していた。


 たった十年。人が変わるのには十分すぎる時間。


 騒ぎの中心には墓が出来ていた。

 そこにはリルカルゴ一家と記された墓があった。


(……は? )


「可哀想よね。ただ金持ちだからと言って迫害されるなんて。まだ幼い子供もいたそうよ 」


「でも武器商人たちだろ? コイツらのせいで戦争が長引いたんじゃねぇか? 」


「だからと言って殺すのはやり過ぎだろ。だから墓を創ったんだ。せめて祈ろう。これから同じことが起こらないように 」


「……は? 」


 言葉にならない怒りが、白い炎となって心を焼いた。

 その炎は今にも、この街すべてを呑もうする程だった。


 彼らは墓に、個人の名など書いていなかった。

 彼らは墓を作り、ただ償った気になりたいだけだった。


  彼らは身勝手に迫害し、殺し、ただ自分たちに余裕ができたから、あれは間違いだったと。

 呑気に軽薄と勝手に語っている。


 加害者からすれば嫌な事件。

 被害者からすれば、人生すべてを焼き尽くす火種。


 ロクスにとっては、市民たちの存在そのものが犯罪者に見えた。





「さて。始めるか 」


 家族への祈りを終えたロクスは笑った。

 この行動に意味が無いと理解しながら。


 ただ怒りは収まらない。

 あの炎は消えていない。


 思い出せ。そして焼き付けろ。

 迫害するという愚かさを。

 怨みを買うという恐ろしさを。


遺体無き葬儀(ヴァニタス)


 そうしてロクスは、白き炎を街へ放


「あれ、あの時のお兄さんですか? 」


 ロクスの後ろには、桶を運ぶサイドテールの少女が居た。

 ユフナと初めて出会った時、ロクスが助けた子供だった。


「えっ、血まみれ!? 大丈夫ですか!? 」


「……… 」


「怪我してるのならこっちに来てください! 絆創膏持ってますから!! あっ、それとお花は踏まないでくださいね!! やっと並べ終えたんですから!! 」


 復讐の炎は未だに燃え続けている。

 けれどロクスは迷ってしまった。


 子供に責任はあるのかと。

 何も知らない、ただこの時代に産まれただけの子供に。


 いやある訳が無い。

 それは自身と、死んだ子供たちが証明している。


 ならば、この復讐に意味があるのかと。

 そう迷った。


 だが示さなければ、また自己満足の対応で終わってしまう。

 その残酷さを、理不尽さを。

 ロクスは知っていた。

 だから……


「……ありがとな。花を供えてくれて 」


「……? はい! 」


 少女は分からないながらも、無垢で優しい笑顔を浮かべた。

 それに吸い込まれるようにロクスは近寄り、柵越しに少女の頭を撫でた。


「お前が大人になる時、こんな世界は無くなってるといいな 」


「……えっ? 」


 白炎が駆ける。

 家や道は一瞬で炎に呑まれ、遠くの方では強烈な爆音も弾けた。


 何が起こったか分からない静寂。

 そして悲鳴。

 ようやく街は襲撃されている事に気がついた。


「……なんで 」


「家族を大事にしろよ 」


 膝をつく少女に背を向け、ロクスは街へと向かう。


 街はパニックに満ちていた。

 思い出も日常も一瞬のうちに燃えた。

 悲鳴も泣き声も。

 すべてが当たり前のように満ちている。


「……気分が悪いな 」


 そうぼやきながらロクスはスーツを脱ぎ捨てる。

 腹にはフォルセダーが詰め込まれ、切り落とした四肢はすべて赤い作り物へと変わり果てていた。


 彼はもう人間ではない。

 憎悪のみを撒き散らす、ただの薪となった。


「貴様が犯人か!! 」


「見て分からねぇのか? 」


 ロクスを囲うただの騎士たち。

 彼らは犯罪者を殺す覚悟を決めていた。


「ごっ 」


 だがその覚悟は水にすらならず、憎悪を肥大させる薪にしかならない。


 街を侵食し始めた憎悪。

 それを収めるのは、騎士などという枯れ木ではない。


「……来たか 」


 円卓という、無慈悲な大海である。


「円卓の騎士 アグラヴェイン 」


 白炎の中。

 黒い騎士は犯罪者へと平然に歩み寄る。

 対してロクスは名乗りを上げた。


「ロクス・リルカルゴ。侵略者だ覚えとけ 」


「処刑を始める 」


 アグラヴェインが放つは、ただ無造作な突き。

 ロクスはそれにカスった。

 瞬間、遅れてやってきた音と共に両義手は砕け散る。


「っ!!? 」


 後ろに引っ張られるように、ロクスの体は吹き飛ばされる。


 家を五度突き破っても止まらず、池を跳ねても止まらず。

 火の推進力で勢いを相殺しても効果は薄く。

 円卓都市の外の荒野へと投げ出され、ようやくロクスの体は重力を感じた。


「うっえぇ!! 」


 揺さぶられる内蔵は、胃液を異物と判断した。

 それ程までに強大な一撃。

 だがロクスは安心していた。


「ハハッ。アイツらほどの速度はねぇな 」


 荒野の煙。

 それを巻き上げながら飛んでくる鎧の破片。

 

 炎熱によりそれは瞬時に溶解した。


「っ!! 」


 ロクスが安堵する間もなく、地響き。


 荒野は真っ二つに叩き割られ、山ほどの巨大な地面が今。

 投げつけられた。


誰に届かぬ鎮魂歌(レエム・ヴァニタス)

 

 燃え盛る閃光。

 乱反射する炎。

 すべては白き刃となり、強大な山を一瞬にて蒸発させた。


 けれどもう一度、山は投げられる。


 同様。白き刃の一閃は灰すらも焼き尽くした。


「……? 」


 炎とカゲロウの揺れ。

 ロクスの視界からアグラヴェインが消える。


「っ!! 」


 当然だ。

 彼女はロクスの後ろに立ち、拳をただ振り上げていたのだから。


「っ゛!!!? 」


 肩へ攻撃を喰らう直前、ロクスは炎の推進力へ下へと逃げた。

 義手をわざと外して勢いを逃がした。

 地面を熱で溶かし、衝撃を分散させた。


 けれど致命傷。

 死にかけの燃えカスは、円卓の慈悲によって辛うじて立ち上がれた。


「リルカルゴ……あの一家の生き残りか 」


 哀れに、そして傲慢に。

 アグラヴェインはロクスへと言葉を使った。


 復讐に燃える彼にとってそれは、油を注がれたようなものだった。


「理屈じゃ分かってんだよ 」


 ロクスの心には炎が燃え広がる。

 それに共鳴するように、荒野すら呑もうと炎は肥大してゆく。


「復讐なんて意味がねぇ。失敗すれば死ぬだけ。成功しても燃えカスしか残らねぇ。だが……俺には感情がある。分かるか? 」


「……っ!! 」


「納得できねぇんだよ!!! このままじゃなぁ!!!! 」


 空から降り注いだ大量のフォルセダー。

 それはモルガンの時と同様に、ロクスの義手へと結合される。

 けれど量は比べ物にならない。


 ロクスの腕と一体化した龍の爪のような義手。

 白炎は溢れ、凝縮され、怒りを噴火させんばかりの口はアグラヴェインへと向けられた。


「……お前の怒りは正しい。だが平和にそれは不要だ 」


 対してアグラヴェインは、その怨嗟に真っ向から立ち塞がった。


「私を怨め! ロクス・リルカルゴ!! すべて受け止めてやる!!! 」


 それは高潔な慈悲だった。

 円卓にとって、悪へと向けられるべきでは無い生ぬるい優しさ。

 けれど相手は犯罪者。


「ほんとお前らは……優しいなぁ 」


 そんな慈悲など知ったこっちゃない。


「……お前!! 」


実り腐る悪意(ルヴ・ケラウノス)


 雷にも似た白炎は空へと放たれ、降り注いだ。

 アグラヴェインに。

 では無く、その後ろの街。


 無抵抗な人々が暮らす円卓都市へ。

 裁きを届けるように。

 すべてを焼き尽くす白き怨嗟は、街中へと降り狂う。


「きさっ」


「ハハッ……同じになっちまったな!! 」


 傷をえぐるように笑い狂うロクス。

 だが怨嗟は止まらない。


 あの街が滅びてもなお、人類が滅びてなお。

 この(怒り)は止まらない。


「殺す 」


 音よりも速く駆けたアグラヴェイン。

 笑うロクス。

 その合間に割って入ったのは、人型の赤い機械。


 その中には拘束された人間が泣き呻いていた。


「っ!! 」


 足が止まる。

 その体に、雲を突き破るほどの白炎がぶつけられる。


 アグラヴェインは軽い火傷で済んでいる。

 だが酷く動揺していた。


「なんだその機械は…… 」


 人を十字に括り付けるような兵器。

 それは見せしめのようでもあり、盾のようでもある。


 まるで人の善意に漬け込むような、あまりにも醜く効率的な美しさ。

 最も兵器らしい兵器という訳だ。


「フォルセダーを基盤とし、人を捕え、死ぬまで肉体情報を抜き取り続ける。名は人狂防害(イージス)。拷問と尋問を手軽にできる兵器だ。裏世界でコソコソ実験してたらしいが、その全部を俺が横領した。さて円卓? 」


 兵器と共に歩み寄るロクスは、炎で涙を焼きながら笑っていた。


「痛いほど優しいお前らに、この人質が殺せるか? 」


理想幻体(アイディアル) 起動 』


 アグラヴェインの鎧から響いた声。

 と同時に。莫大な()()がロクスたちを拘束した。


「それが……お前の切り札か 」


 黒から白へと変わった鎧。

 円卓のみに許された白き兵器。


 その能力は単純。

 すべてのものに、自身と同じ質量を付与する。


「貴様 」


 アグラヴェインは眉間に血管を走らせ、怒りの眼差しでロクスを睨んだ。


「この程度で、円卓をやれるとでも? 」


「じゃあ他の騎士共はどうかなぁ? 」


「っ!! 」


 新たな爆音が街から響く。

 それが何かは分からない。

 ただアグラヴェインは直感で理解した。


「まさかっ 」


 この人質ありきの兵器たちが、街を襲っていると。


「さぁ円卓ぅ!! 」


 駆けた炎は燃え上がり、白炎の檻となってロクスたちを囲い込んだ。


 ここは騎士を閉じ込める檻。

 薪が燃え尽きるだけの墓。


 だが、時間稼ぎには十分すぎる。


「受け止めてくれんだろ? 俺の怒りを 」


 圧倒的な質量が付与された肉体。

 それを怨嗟で叩き起したロクスは、瞳孔を開いて笑った。


「邪魔をするな! ロクス・リルカルゴ!! 」


 導火線には火がついた。

 ならば話は単純な物へと変わり果てる。


 滅びへと引火する前に、その炎を消せるかどうか。


 ロクスが死ぬか。

 アグラヴェインが間に合うか。


 迫られた二択の中で、彼らは怨嗟を喰らい合う。

 

 


 


 

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