第十一劇 全面崩壊カーニバル
ルースが自警団に入って三日後。
今でもクロウは監視の目を緩めていない。
そのおかげか、ルースも大人しく情報収集に務めている。
そう、大人しすぎる。
その異様さがクロウにとって興味を引いた。
(お前はそんなタマじゃねぇ。何かやらかしてくれるんだろ? )
ここは隠れアジトの一室。
荒いスクリーンには、街中を歩くルースが写っている。
暗い部屋の真ん中にはチェス台が一つ。
クロウは16の黒い駒を操り、反対の盤面には白のキングがぽつんと孤立している。
対局者はクロウ。
そして席にはつかぬは礼儀知らずのルース。
(監視は十分。さぁ、事を起こすために席に着け )
監視はナガラを含め16人。
一般人に似せた者も気配を消せる手練も混ざっており、ルース一人ではなにも出来ない。
ならば仲間がいるとクロウは考えている。
だがキングを動かせば最後、逃げ道を塞いでいる仲間がその首を刈り取る。
自分を殺すために動くも、逃げるために動くも。
この檻の中で飼い殺しされるのも。
クロウにとっては面白い展開でしかない。
「おっ? 」
そして映像越しに、ルースとクロウは目を合わせた。
それはゲーム開始の合図だ。
「やるか!! 」
『始めましょう 』
微笑みながら首を傾げたルース。
放たれた弾丸はその頬を掠め、それはすぐ後ろの壁にめり込んだ。
「撃ったのは誰だ? 」
無線ですぐさま確認を取るクロウ。
だが向こうも反応に困っていた。
「わ、分かりません。そもそも実弾を撃つなんて時代遅っ」
『バーイ 』
報告が終わるよりも速く、ルースは手を振りながら路地裏に駆け込んだ。
瞬間、クロウは出し抜かれたことを察した。
「……やられたな。全員可能な限り退避しろ、ルースを追うな 」
「……はっ? ボス、それは」
「雨が来るぞ、傘を差せ 」
ルースが走った時、明らかに反応が速かった16人が居た。
彼らの位置はバレたのだ。
あの張り付いた笑みの暗殺者に。
イタズラに雨を降らす、にくたらしい妖精に。
「……? 」
ルースを追っていた調査員の一人。
黒い髪の彼女は、頬に冷たさを感じた。
ポタリと頬に落ちてきたもの。
それは
「雨か? 」
赤い雫だった。
『遺雨ト証書 』
弾けた調査員の頭。
ぱらりと降り注いだ弾丸が、人を貫いたのだ。
「……奴か 」
それを路地の影から見ていたナガラ。
彼女の頭の中には一人の人物が思い浮かんだ。
「誰です? 」
「ヴィアラ・レル、『雨』の名を持つ暗殺者だ 」
軽い発砲音と遠雷が弾けるような音。
音速の跳弾は路地に隠れた獲物に迫るが、ナガラはゴミ箱の蓋でそれを弾いた。
「だが名が知れてる。殺り方も当然知られている 」
しかしナガラにより弾かれた弾丸は、さらに空中で跳ねた。
そして落雷と同じ軌道で落ちる弾丸。
それはナガラの右腕を貫いた。
「っ!? 」
「止血します。動かないでください 」
隣にいるスーツ姿の仲間は、すぐさまナガラの右腕に止血の処置を施した。
弾丸はナガラの肉と骨。神経まで巻き込み貫通している。
ナガラの右腕には感覚がない。
(跳弾で狙うなんてレベルじゃない……そもそも、人間が狙えるものなのか? )
疑問の最中、今一度弾丸が放たれる。
遺言を唱える時間は与えた。
次に来るのは死だ。
「っ!! 」
常識を無視した弾丸はナガラのすぐ側。
止血しているスーツの男の胸を貫いた。
それでも彼はナガラの止血を強行し、遺言なくその場に倒れた。
『ナガラ、生きているか? 』
「はい 」
クロウからの無線。
ナガラは仲間の死体の背を握りしめながらも、すぐに言葉を返した。
『すぐに逃げろ、分かったな? 』
「はい 」
心を落ち着かせ、ナガラはすぐさまこの場を後にした。
「残りは15人かなぁ〜 」
ライフルとショットガンが一体化した改造銃。
それを支えながら、暗殺者は太ももに巻き付けた弾丸をショットガンに込める。
彼女は屋上に寝そべり、その銃口は空へ向けられる。
「……みっけ 」
亜音速の弾丸がショットガンから放たれる。
その次の瞬間、音速のライフル弾は放たれた弾丸にぶつかり跳弾。跳ね回り。
遠雷のような金属音は空を鳴らし、弾丸は不幸な敵の頭へと落ちた。
「おっと 」
転がり起きるヴィアラの顔に青い炎が迫る。
先の銃声で居場所がバレたのだ。
「だから何〜 」
横に転がるヴィアラは重々しいレバーを引き、散弾と狙撃銃を同時に済ます。
屋上にいる敵は8人。
空中に6人。
ヴィアラは囲まれている。
だが『雨』の前では、平等に濡れるだけの無力でしかない。
「パァ〜ん 」
二種の弾丸は地上に撃たれた。
音速の跳弾は空中すべての頭を貫き、血で雨を降らした。
散弾は二人の剣撃に防がれた。
「死ね 」
地上に残った8人はヴィアラへ距離を詰め、統率された剣はその頭に振り下ろされる。
だがふわりと後ろに回転したヴィアラは、足で重いレバー引いた。
再装填は完了した。
「お〜こわっ 」
金属音とともに分かたれた二種の銃。
至近距離で放たれた散弾は2人を貫通。
放たれたライフル弾は散らばる骨たちにぶつかり、軌道の曲がった弾丸は3人の頭を貫いた。
残るは三人。
「死」
迫る敵。
「遅いよ〜 」
ライフルを捨てたヴィアラは、手首に隠したナイフで腹を刺す。
その刃先。
そこに空いた極小の穴からは、高圧ガスが放たれた。
風船を膨らませ破裂させる。
ヴィアラはそれを人でやった。
あと二人。
「この」
ヴィアラの背後に敵が迫る。
その正面に穴の空いた死体が投げられる。
「っ!? 」
仲間を切るのを躊躇った。
その隙に穴へと差し込まれたショットガンの銃口は、敵へと向けられる。
肉に銃身を差し込んだ時点で、ポンプアクションは完了している。
「バァン。あと一人……は? 」
「フォルセダー、起動 」
音速を越える抜刀速度。
直前まで気配を消せる胆力。
「おや? 」
死体に紛れていた男は、音速の刀身を振るう。
だが金属音。
左腕に阻まれた赤い刀身は砕けていた。
「なっ!? 」
「ざ〜んねん 」
ヴィアラの斬られた腕の下は、赤い血の通わぬ機械だった。
それで男の顔面を掴んだ。
「惜しかったね〜。花丸をあげるよ 」
「ごっ……あっわ!! 」
鉄を折り曲げるプレス機。
その隙間に人の頭を挟む。
ヴィアラの左手の中では、そんな事が起こっていた。
当然生き延びれる人はいない。
「……ん? 」
ヴィアラの何かを察した。
その瞬間に、遠くの方で派手な爆発音が響いた。
その爆心地に居るのは踊り狂うビルフェルムだ。
「フェルムっち、あんまり派手に暴れたら計画が……あぁぁ 」
死体を投げ捨て、ヴィアラは縋るように空を見上げた。
とうぜん目も何処か遠い。
「頼んだよルース。この脚本書いたのキミなんだから、打ち切りは許さないよ? 」
ヴィアラは血まみれの頬を指先で持ち上げた。
その姿は悪しき妖精が人を喰い殺したように、美しくもおぞましいものだった。
(なんで走ってるんだ )
銃声、爆音。
街を地獄のように化粧する断末魔。
その中心に向かってカナギは走っていた。
(俺はもう騎士じゃねぇ……独断捜査が見つかれば処刑されるだろうな。なのになんで……走ってるんだ )
分からなかった。
だがカナギの意思は体を動かしていた。
「……? 」
爆心地に向かう途中、路地裏に人影が二つ見えた。
一方は銃を。
もう一方は鉄パイプを持ち、それを振りかぶっていた。
「っ!! 」
カナギは反射でもう一方を庇おうとするが、振り下ろされた鉄パイプは人の頭を歪ませた。
間に合わなかったのだ。
「ヒヒッ……死んだ? ねぇ死んだ? 撃たないで……痛いのヤダだから 」
鉄パイプを握るのは少し幼さが顔に残る少年だった。
彼は反撃を恐れ、死体の頭を何度も何度も叩きつける。
「あっ? 」
残酷な人の目がカナギを見る。
「騎士だ……見たことある……俺は殺されそうだったんだ!!! あぁダメだ殺さなきゃ……反撃される 」
それは狂っていた。
それを殺しても誰も咎めないのに、カナギは動けなかった。
(何か事情があるんだろうな……目はおかしいし。人を殺して泣くなんて……俺はこの人を殺していいのか? )
振り上げられる鉄パイプ。
カナギは動かない。
振り下ろされる。
寸前、
「こんにちは 」
ふふふと笑うルースが現れた。
鉄パイプを握る男の真隣に。
ルースが声を出すまで、誰も彼に気付かなかった。
「あっ!? 」
驚く男の体は傾いた。
その足を引っ掛け転ばせた女性は、倒れた男の首の上にぴょんと飛び乗る。
当然、首の骨は音を上げた。
「どうも、お久しぶりですねお兄さん 」
人を殺してなお柔らかな笑顔の女性。
カナギはその顔を知っている。
「……あの時の。なんでこんな所に 」
「私も裏の住人ですので。ところでここは危ないですよ、少し隠れませんか? 」
「……あぁ 」
優しく手を引かれるカナギは、そのまま路地裏に連れ込まれた。
そして二人は決して綺麗とは言えない地面に腰を下ろす。
「ところで、その血は…… 」
「あぁ、えっと……撃たれちゃいまして。もうすぐ死ぬだけですよ 」
悲しそうに目を細める女性。
胸についた血は今なお広がり続けている。
その演技を見破れるほど、カナギは冷静ではない。
彼は考えることに疲れていた。
「そうですか……ならどうして逃げないんです? 」
「お兄さんがまた頭をぶつけそうでしたから 」
「……お節介ですね 」
疲れたように空を見上げるカナギ。
女性は足を閉じたまま、やんわりとその肩に手を乗せた。
「悩みを聞かせてくれませんか? というより、声を聞いてたいんです、その方が寂しくないですから 」
カナギは口を噤んだが、女性の顔を見てその考えは変わった。
息遣い、手の震え、目の動き。
そのどれもが死にかける人の動きであったから。
死にゆく人の頼みを断る人など、そう居ないのだ。
「……俺は騎士です。人を救うために、犯罪者を殺し続けた 」
「なら……敵ですね 」
「えぇ。でも今、分からなくなった。犯罪者にも人生があって、苦しみ悩む姿を見て……俺は正義を執行しているように見せて、ただ理解できない人を殺してただけなんだって、知ってしまった。どうしたらいいか分からない 」
「どうしたらいいか、知ってますよ 」
女性は肩に置いた手を滑らせ、カナギの手を掴む。
「昔を思い出してください。あなたはどうして、騎士の道を目指したんですか? 」
顔を近づけ囁く女性。
カナギは言われるがままに過去を見る。
「どうしてこの道を選んだの? 」
言葉に操られるように、カナギの意思は昔に戻る。
それは子供の頃だった。
「昔……友達と遊んでた時、ボールが木の上に乗ってしまったんだ。みんな困って、大人を呼ぼうとしてて。でも俺は木に登った。それでボールを取って、友達に投げた。そして見下ろす友達はみんな……褒めてくれたんだ。ありがとうって、お陰で助かったって。それが嬉しかった、だから騎士を目指した。人を助けるのが喜びになったから 」
一言で表すなら、彼は人を助けることが喜びとなったのだ。
それに依存した。
だから人を助ける正義の道に進んだ。
彼は救済という快楽に溺れた一人なのだ。
「なら、もう一度沈めますよね? 」
「……えっ? 」
ザワりと、カナギの首元には鳥肌が立つ。
「あなたは真面目な人です、自分が選んだ道を曲げられない。同じ道しか進めない。あなたは救うという快楽に溺れた人だから 」
「俺は…… 」
「さぁ過去を見て……あなたは今どうしたい? 何を感じたい? 何が欲しかった? ゆっくり、でも今。決めてみましょう 」
カナギは迷う。
けれど過去を見れば、自分がどうしたいのかはすぐに分かった。
彼は救済に依存した。
その依存が身を滅ぼしてしまいそうだと直感した。
だからもう一度手を伸ばすのには、悪魔の後押しがいるだけだった。
「俺は人を救いたい 」
「どのくらい? 」
「全員だ 」
「なら、強くなればいいんですよ 」
散々人を迷わせた悪魔は、心をくすぐる答えをささやく。
「強くなれば、誰でも救える。正しさをねじ曲げられる。あなたが望むものすべてを守れるほどに強くなれば、それで解決する。簡単な話でしょう? 」
女性はカナギの胸ぐらを掴み、その体をグイッと寄せる。
「行動しなければ自分すら救えない。真面目で強欲なあなたは、満たされるまで走らないと助からない。そして強くなければ、誰も救えない 」
花のように、蜘蛛のように。
女性はカナギにキスをした。
しかも口の中には生暖かなものを押し込まれ、
「!? 」
カナギはそれを反射的に飲んでしまった。
「な、何を!? 」
「今のが毒だったら死んでましたよ? 」
「……あっ 」
冷静になったカナギに対して、長い舌を垂らす女性はクスクスと笑う。
「こういう油断を乗り越えての強者ですよ 」
女性は無理してニッコリと笑い、そのままカナギから体を離した。
その足取りは外へと向かっている。
「さようなら、どうかあなたの欲が満たされませんように。あなたがすべてを背負う強者になれますように。これは私からの呪いですよ 」
「……はい 」
死にに行く彼女をカナギは見送る。
そして反対の道。
自分が進むべき道を、カナギは進んだ。
悪は欲に飢えている。
正義も欲に飢えている。
殺して満たすか、救って満たすか。
正義と悪の差などそれだけに過ぎない。
けれども、平等なことが一つ。
絶対的な力の前では、どちらも虫に変わりは無いということだ。
「ふぅ……間に合ったか? 」
右腕から血を流し続けるナガラは、辛うじてコントロールルームにたどり着いた。
ここはクロウの秘密基地と呼ばれる、アジトの一つだ。
カナギが連れてこられた場所でもある。
「私が……必ず…… 」
ナガラの左手には、小さな紙が握られていた。
そこにはこう書かれている。
『これは保険だ。お前が逃げ延びてくれると信用して、奪われるリスクを承知でこれを書いた。鳥は非力な存在だ、人を殺せる力はない。だが、高い場所から石を落とすことは出来る。さぁ、落としてやろうせ。邪魔をしたヤツらの頭に、作り上げた奥の手を 』
「えぇ 」
ナガラは『イージス』を起動した。
向かうは街中で暴れるヤツら。
クロウの邪魔をするすべてを殺すために。
『ナガラ? なんでそれを動かしてる 』
「えっ? 」
一手遅れた。
通信のクロウは困惑の声を上げていた。
「通信を妨害されてたんだ。で、どうしたんだ? 」
「ぼ、ボスがこれを動かせと紙に 」
「紙? 確かによく使うが俺は……なるほど。誰かに触れられたか? いつでもいい、触られた記憶を思い出せ 」
ハッとしたように声はナガラに問う。
汗がぽたりと落ちる空白の時間。
ナガラの頭に映し出されたのは、右腕を止血してくれた誰かだ。
「止血される時の……あれは誰だ? 」
「ルースか 」
血の気の引いていく感覚が、ナガラの足元に絡みつく。
ナガラの腕を止血した者。
あれは変装したルースだった。
それに気が付かなかった事にナガラは心底恐怖した。
だがクロウはこの程度の障害で止まるほどやわでは無い。
「気にすんな、まだ保険はある。ルースがいくら騒動をデカくしようがヤツは動けない。他のコマが、ヤツを邪魔している 」
クロウにはまだ奥の手がある。
ルースが自分を直接殺しに来ても対応できるように残しているのだ。
だが、妙な点が一つ。
(ここまで事を起こして、なぜ動かない )
クロウは既にルースを見つけている。
だが彼は動く素振りを見せない。
ただ街中で、コーヒー片手にのんびりしているのだ。
(ヴィアラとルースは無関係? いや有り得ねぇ、ならなんでナガラを動かした? 何が目的だ? 動けないんじゃなく動かない? そんな事をして何を…… )
『どうも〜、コーヒータイム中に失礼します 』
突如として無線に乱入した声。
それはルースの物だった。
ナガラは硬直。
クロウは腹を探るために声をかける。
「よぉルース、派手にやったな 」
『えぇ、コマを勝手に動かしてるごめんなさいね。それで、チェスは続けますか? 』
「あぁ 」
空論のチェス盤。
その上でルースは、ようやく自分のコマに手をかけた。
だがクロウは焦らない。
(1マスでも動けば殺せる。常識を無視して俺だけ殺しに来ても問題ない、それ用の策は用意してる )
ルースの盤面には王が一人。
その周りには見えない駒たちが居る。
餌を待ち侘びるように待っている。
動けば死ぬ。
そんな状況で動いたルースは、指先で駒を持ち上げ、それを盤面外へと落とした。
『逃亡成功……引き分けです 』
チェスの特別ルール。
引き分けに持ち込む苦肉の策。
それは王を盤面外へと逃がすことだ。
それを実行したルースだが、ここで疑問が生まれた。
(そんな事をして、何になる? )
ナガラは疑問に思った。
遅れて意図を理解したクロウは、やられたと笑みをこぼした。
「なるほど、それがお前の策……いや、脚本か 」
クロウの私室の扉が開く。
そこには銃を持つ騎士、カナギが立っていた。
『チェスというゲームはおしまい。これからは生き残れば恥を、死ねば無価値を得る、現実というゲームの再開です。さぁ……頑張りましょう? 』
鼓膜を貫くような警告音。
それはナガラの右腕に付けられた、赤い首輪によって発せられた物。
(通報音? ……!!! )
遅れてコントロールルームには、更なる警報音が悲鳴のように鳴り響く。
アジト周辺に備え付けられたセンサーが反応したのだ。
つまり、誰かがこのアジトに向かっている。
(やられた!! )
コントロールルームのモニターには、はっきりと黒い人影が映っていた。
古来。燃えるという原理が神秘とされていた頃の話。
火と煙は母と子であると謳われた。
煙は火を溺愛しているため、火が現れるたび煙が現れると語られた。
煙を立てたくば、火を焚けばいい。
円卓を呼びたくば、事件を起こせばいい。
「……アグラヴェイン。目的地に到着 」
地上、荒野の上。
歯車を回すフクロウと共に現れたのは、黒い血濡れの騎士だった。