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第34話 「さあ、わからん」

 目を覚ましたのは、僕がよく知っているところだった。

「ここは……僕の部屋だよな?」

 気を失う寸前の事を思い出してみる。ユリアと戦って、斬られて、先生が現れて……。頭の中が徐々に整頓されていった。記憶はきちんとあるようだ。それから身体がちゃんと動くか確かめるため、上半身を起こした。急に起きたからだろうか、頭がフラフラとして少し吐き気を催した。そう言えば血が大量に減ったんだっけ。

 左腕には、包帯がぐるぐる巻きにされていた。かなり深い傷だったのは覚えている。心配になって指を動かした。ちゃんと動く。腱は斬られてなかったようだ。

コンコン

 不意にノックの音がした。僕が返事をしようとしたが、すぐに扉が開いた。

 入ってきたのは親父だった。ちょうど仕事から帰ってきたのだろうか、ピッとしたスーツに身を包んでいた。親父は普段着物を着ている事が多いので、スーツ姿は何だか違和感があった。親父は僕が起きている事に気が付いて、パッと明るい顔になった。

「礼、気が付いたのか。気分はどうだ?」

「ああ、まぁ、あまり良くはないけど……」

「それはそうだ。三日も寝ていたのだからな」

「み、三日も?」

「ああそうだ、大変だったな。血まみれのお前をここまで瀬鳥先生が運んでくれてな。一時は命の危険にさらされていたが……お前の回復力の事だ、あと一日寝ていれば治るだろう」

 心配はしてくれているが、笑顔で語りかけてくる。責める事も尋問する事もなく。それが逆に気持ちのいいものではなかったが。

「あの……僕は……」

「言わんでいい。何故こんな事になったのか大体察しは付く。お前はゆっくり休んどけばいい」

「……」

 もうある程度のことは知っているという素振りであった。ことの顛末は、瀬鳥先生から聞いていたのだろう。ただ、僕はもう一つ気になっていることがあった。

「……ユリアは?」

「ユリアなら大丈夫だ。あの娘も寝込んでいるらしいが、命に別状はない。」

 僕はとりあえずホッとしていると、不意に親父の表情が硬くなった。

「しかし、ちょっとまずい事になっているらしいが……」

「……何が?」

「今回ばかりは上のものも見過ごすわけにはいかなくなったらしい。彼女には何らかの処分が下るだろう」

「処分?処分って何だよ!一体どういう罰が下るんだ?!」

「さあ、わからん」

 あっさりと答えるので、肩すかしにあった。

「おい!なんでわかんねーんだよ!」

「処分は一族で決めるものだ。門田家(うち)が口を挟む問題ではないのだ」

「……」

 僕があからさまに不満な顔をしていたせいだろうか、親父はやれやれといった風な表情をした。

「まぁそんなに心配するな。ユリアは一応赤渡家直系の娘だ。そんなに重い処分は無いだろう。」

「僕には無いのか?」

「何がだ?」

「今回の事は、僕も悪いと思っている。だから僕にも何らかの処分があってもいいんじゃないのか?」

「ああそうだが、お前は初犯だからな。厳重注意で済みそうだ。しかし」

 親父は嬉しそうにニヤリと笑った。

「お前が掟に反するような事をするとはな。上のモンは驚いていたぜ」

 何だか、僕が掟に反した事を喜んでいるように見えた。何故そんな風に笑うのか僕にはわからなかったが。

「ところで礼」

「なんだよ」

「うなされているとき、寝言で『ユリアぁぁーっ!』とか叫んでましたけど、一体何なんでしょうね?」

「やめて!寝言の話とか一番恥ずかしい感じの事は!」

 なぜよりによってユリアの名前を叫んでしまったのだろうか。僕は恥ずかしくて頭を抱えてブンブン振り回した。

「そう言えば『お前はもう死んでいる』とか『お前もまさしく強敵(とも)だった』とかも言っていたな」

「それってもしかすると世紀末覇王伝説的な夢を見てたんじゃないですかね」


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