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あの虹のように  作者: おわなん
一章:小雨
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6.正しいこと

出会いの春から時が経ち、呆れるような暑さを感じる時期になった。訓練兵には夏休み盆休みなど存在しない。そんな季節でもこの「下界」には楽しみがある。それは「あつまれ!訓練兵トーナメント」が開催される時期でもあるからだ。トーナメントが開催される前日にぶどう組は教官に一つの教室に集まるよう指示された。


プーリム「明日から一週間ほど遠征に行くから身支度しとけよ。勿論強制だ。トーナメントの参戦、観戦はできんからな。」


教室全体には「え~。」という声が響き渡った。


プーリム「仕方ないだろ~。相手側はこの時期しか空きがなかったんだから。まぁ俺のコネだから遠征費用とかかかんないから金銭面は安心しろ。」


シアン(それは問題じゃないんだよ!来年のための情報収集とか戦い方の勉強をして―んだよ!)


クトル(遠征!わくわく)


教室の空気が悪いままだがプーリムは話をつづけた。


プーリム「今回遠征に行くが全員に課題を設ける。それは自分の「正義」とは何かを考えてもらう。訓練兵ではなく兵士になったとき、お前たちは自分を馬鹿にしている奴らのために戦うんだ。いつか限界がくる。だから自分はなんのために戦うのか、戦う意味を見つけてもらうために意味を考えてもらう。別に発表する場とかは設けんからな。以上、質問は?」


シアンが手を挙げた。


シアン「教官、なぜトーナメントより遠征の方が大事なのでしょうか?なぜ遠征が強制なのでしょうか?今までは自由だったのになぜ今回はやりたいようにやらせてくれないのですか?納得するような理由を教えてください。」


プーリムは教室を見渡した。


プーリム「おまえら、シアンと同じ意見か?」


クトル以外はうなづいた。それをみて少し深呼吸し、顔をこわばらせて口を開いた。


プーリム「これは怒っているわけではない。ただ真剣な話だ、しっかり聞いてくれ。「やりたいことをする」、悪いことではない。ただ良いこととは呼べない。いいか、最も優先すべきなのは「やりたいこと」ではない。「正しいこと」だ。趣味だから、好きなことだから。それらの陰に隠れた脅威に気づかず、身を滅ぼす。「正しいこと」を判断するためには強い信念が必要だ!だから「正義」とは何なのか、真剣に考えてもらいたい!

とまぁこんな感じだ。賛成できない者は手を挙げろ。」


手を挙げる生徒は誰もいなかった。


プーリム「いいぞ。お前ら全員賢いぞ!さすが俺の生徒だな!よし、解散!」


寮に帰る道中、隣にいるクトルがうなっているのを見てシアンは声をかけた。


シアン「なんだ、気持ち悪い顔して。」


クトル「いやぁー。「正義」かぁー。難しいなぁって思って。やっぱ遠征中にひらめくしかないかぁ。シアン君は考えてる?」


シアン「もう答えは出してる。」


クトル「はや!教えてよ!」


シアン「強いほうが「正義」だ。それ以上も以下もない。」


クトル「それ、先生が言ってる意図と違うような。いいの?」


シアン「決まってない奴に言われたくないね。それと教官を「先生」っていうのやめろって言ったろ。恥ずかしい。」


クトル「え!また言ってた!?うぅ。殴らないで。」


シアン「それも外で言うのやめろよな。俺の印象最悪だ。」


翌日、用意されたバスでとある田舎に着いた。山の中にぽつんとあり、町の中では高齢者をよく見かける、そんな集落だ。この場所が遠征地になる。

この地で強大な悪が渦巻いていることをまだ誰も知らない。

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