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あの虹のように  作者: おわなん
最終章:出梅
40/43

40.虹のような戦士

クトルとミックは拳を交わしていた。


その衝撃は街中を揺らし、水たまりも絶えず波紋を描いていた。


ミック「お前は何で戦うんだ!?目的はあるのか!?折角残った命を!天国に行ったあいつらに申し訳なくないのか!?」


クトルはミックが何度も続ける質問に無視し、攻撃の手をやめなかった。


クトル「Ranger、磁力。」


ミックは自身の額に何かがついていることに気が付いた。


ミック「な、なんだこ…。」


後方から飛んできた磁気を帯びた鉄片と額の物体とサンドイッチになった。しかし、クリティカルヒットにはならなかった。


ミック(こいつ、自身の祝福も成長してやがる。面倒だ)


クトル(そうさ、僕だって分かってる。今戦うよりも、この命を優先することの方がいいって。

でも、クトル君や、先生の、皆の命に意味を!意味を持たせたいんだ!

ここで僕がこいつに勝つことで、皆の死は無駄じゃなかったって!!)


ミック「お前は何がしたい!!夢は何だ!それを優先しなくていいのか!?」


クトル(僕の夢。僕の原点は、シアン君なんだ。シアン君が僕の目標で、シアン君の目標も僕の目標なんだ。

あの時、決めたんだ。僕の原点は。

虹のような戦士になることだ!!)


クトル「Prediction、ミック。」


ミックは動きを悟られないようにあちこち動き回っていた。


クトル「無駄だよ。君の動きは、すべて、僕の手中にある。」


クトルは手に持った小石で狙いを定めた。


クトル(今持ってる石は利益なんだ。

投げればそれは攻撃という名の利益。この石を捨てる、手を放して失うだけでいいんだ。)


クトル「Reparation、小石。」


クトルの放った小石の残像はミックに命中し、ミックは藪に突っ込んだ。


クトル「Ranger、遺伝子操作。」


藪の性質が変わり、その葉は鉄のように固くなりミックを自然の檻へ閉じ込めた。


ミック「クソッ!!次から次へと!俺をこんなもので止められると思うなよ!!」


爆音がした。

ミックは自分ごと藪を爆破させ、その檻から脱出した。


クトルはそれを眺めながら、さっき乱用した祝福による疲労を回復すべく、祝福を使った。


クトル「Return、自己治癒。」


自身が鼻血を流していることに気が付いた。


クトル(やっぱり、メイズさんは凄いな。こんなに難しい祝福を使ってたなんて)




ミックはある建物に入り、身を潜めていた。


ミック「クソッ!!あいつこっちから話しかけてやってんのに何も返さんとか!!

無礼にもほどがある。俺の方が年上だぞ。」


クトル「Lich、デスサイズ。」


そんなミックの元にクトルが死神の鎌を持ち、近づいてきた。


ミック「おいおい、ここまでする必要あるのか?お前も俺もこんなにボロボロなのにまだ戦うってのか?

お前らのお仲間みたいに無駄死にするだけだぞ?」


クトル「無駄じゃないさ。」


急に返答が返ってきたため、ミックは少しビビった。


クトル「僕は戦いをやめない。これは自分のためじゃない。

僕は彼らの弔いもしてないんだ。決してやめない。

例え、シアン君が、ヴィオレさんが、先生が、

皆が。

例え皆が!!皆が望まなくとも!!!」


クトルはミックに襲い掛かった。


ミック「いいのか!!シアンといったか!俺ならあいつを再生できるかもしれない!!」


クトルの手が少し止まった。

そんな言葉に惑わされてしまった自分が恥ずかしかった。


クトル「おまえぇぇ!!!」


ミック「待ってたんだ。お前が動揺する瞬間をな!!」


クトルは胸元まで迫っていた爆弾に気づくことができなかった。


ドーン!!!


クトルの拳が届く前に起爆してしまった。


クトルは建物の外に吹き飛ばされ、道路に出た。

爆発の煙の中からミックが出て来て、もう一発クトルに食らわせた。


クトルは道路と並行に飛び、しばらく転がり止まった。


クトル(体が、動かない)


クトルの体は限界に達していた。Returnをも使うスタミナは残っていなかった。


ミック「やっぱりお前は「仲間」が弱点か。呆気ないな。」


クトルは頑張って起き上がろうとしていたが、その努力が報われることがなかった。


ミック「終わりにしよう。」


ミックはクトルに2つの小石爆弾を投げた。


クトルにそれをどうにかする力は残っていなかった。


クトル(みんな、ごめん)




どこからか風に吹かれやってきたシアンのマントが、クトルの肩にかかった。

次回が最終回です。

終了してもエピローグなり外伝なり、気分で投稿します。

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