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あの虹のように  作者: おわなん
最終章:出梅
34/43

34.遅すぎた懺悔

クトルはサフランと思われる肉片の近くに行き何かを呟いていた。


クトル「良かったよ、君が僕たちに直接危害を加えるときが来なくて。

冬のテロ制圧作戦の時、電車の中から一つの紙切れを見つけたんだ。それには、僕たちの祝福の情報と「刑期を短くしてやる」って内容が書かれてた。

信じたくなかったけど。君だけだもんね、前科があるのは。

内通者は、…君だったんだね。

僕と君だけの秘密にしてあげるから。

じゃあね。」


辛うじて残っていたサフランのマントを畳み、近くに置いた。


シアンの元に行くと、ヴィオレの上半身の元に立っていた。


クトル「そんな…、真っ二つなんて。ヴィオレさん。う、うぅ。」


シアンはその場に手と膝をついた。


シアン「ヴィオレは、サフランは、ダルマに殺されたんじゃない。俺が。

アイビーもそうだ!サルビアも!メイズも!

俺が殺したんだ!!」


強く体を打つ雨が痛く感じた。


クトル「シアン君、もう…。」


シアン「でも!ここで諦めるわけにはいかないんだ!覚悟したんだろ、俺!何があろうと立ち向かうって。

俺は大罪人だ。でも、あいつらの、意志を継がなきゃ。繋がなきゃ。オーシンに教わった、意志を継げって。それが大切だって。」


クトル「でも命を失ってまでもとは言って…。」


シアン「祝福は概念だ。何物にもなれる。今の実力じゃかなわなくても、何かコツを掴めば。ミックなんて。」


クトルの言葉はシアンに一つも届いていなかった。

シアンは立ち上がって歩き出した。


クトル「せめて今ある命でも…。」


シアン「…を持て。意志を継げ。

可能性は無限。

祝福はあくまで概念。

俺の「正義」は平等。

一番優先すべきことは「正しいこと」。

俺は罪人。

俺ならできる。

逃げるなんて選択肢はない。」


ユラユラと歩くシアンの後ろ姿を見て、クトルは拳を握りしめ、シアンに届かない声を呟いた。


クトル「シアン君、もう…。」


クトル(戦わないで)


次の瞬間、シアンの目の前にダルマが飛び降りて来た。ダルマはやっと獲物を見つけた獣のような眼をしていた。


シアン「でたぞ、クトル!俺らの仇の一人が…。」


ダルマに殴られ、シアンは横に飛んで行った。ダルマは次にクトルの方を見たが、霧に紛れられすぐに見失った。残念そうな顔をしてシアンの方に向かったが、シアンもいなかった。


ダルマ「グ、グォォォォ!!」




クトル「大丈夫!?シアン君!」


クトルはシアンを安全な場所まで運んだ。シアンは冷静に戻っていた。


シアン「クトル、もうお前は戦いたくないんだろ。カージナルとカメリアに作戦中止を告げて何とか逃げろ。」


クトル「シアン君は?」


シアン「ダルマをこのままにしておいていいのか?そうじゃなくても、俺はこの場からは離れられない。あいつらを殺すまでは。」


クトルはシアンの右腕を掴んだ。


クトル「嫌だよ!そんなの!」


シアン「じゃあ俺と一緒に戦うってのか?」


クトル「それも嫌だ!!」


シアン「じゃあどうするか言ってみろよ!!お前はどうしたいんだよ!!」


クトル「僕は…。」


シアン「意見が固まったら動け。俺は行く。」


シアンはもじもじしているクトルが気に入らなかった。


シアン「…はぁ。そういえば聞いたことなかったな。お前の「原点」ってなんだ?」


クトル「僕の…「原点」。」


シアン「「虹」ってなんだろうな。それを動機に動いてたが冷静に考えたら分からなくなってきた。お前は己の「原点」を思い出せ。これから後はその「原点」に従って動けよな。これが俺の最後の言葉さ。」


シアンは掴まれたクトルの腕を振り払い、ダルマの元へ向かった。




シアンはダルマの目の前に立った。


シアン「そういったはいいもの、俺は、勝てるんだろうか。」


ダルマが腕を振り下ろした。


クトル「Ranger、風!!」


ダルマに風に吹かれた複数の鉄骨が突き刺さった。


シアン「おまえ!?何でここに!?」


2人は背中合わせにダルマのほうを向き、戦闘態勢をとった。


クトル「シアン君!僕の「原点」はね!」


ダルマが咆哮しながら勢いよく起き上がった。


シアン「OK!時間がない。こいつを倒してから、ゆっくり聞こう!!」

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