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あの虹のように  作者: おわなん
最終章:出梅
32/43

32.ボクが望まなくとも

クトルに見つからないよう、遠くで自己再生を待っているミックは呟いた。


ミック「失敗は成功の基というが、失敗そのものには価値はない。ただの石なんだ。それを磨き上げれば宝石になる。

まずは失敗を「認めること」。そして次に失敗を磨くこと。

今回の一件は正直言って失敗だ。だが、それを糧に俺はまた、成長する。」




カメリアはひと時も油断できない状況にある。いつ頭が吹っ飛んでもおかしくない。ずっと気を張ってるせいで少し疲れて来た。突然後ろに引っ張られ、元々頭があった場所に銃弾が撃ち込まれた。


カージナル「おいおい、大丈夫か?そんな状態でよく今まで生きてたな。」


カメリア「うるさい。それで、なんでここに?」


カージナルはカメリアの隣に座った。


カージナル「まずはありがとうございます、だろ?シアンにこっちに行けって。正直言ってかなりまずい状況だ。シアンからは足止めを頼むって言われてるが、ここでスナイパー野郎を始末するのが最善だ。どう思う?」


カメリア「足、引っ張らないでよ。」


カメリアが少し微笑んだように見えた。


カージナル「それは、お互い様だ。Weapon、スナイパーライフル。」




ヴィオレ、サフランはクトルを失い、明らかな劣勢を強いられていた。ただ、二人は屈するわけではなくある策を立てていた。


屋上に掛かっている一本の鉄骨の上にダルマをおびき寄せた。


サフラン「いくぞ、ヴィオレ!Chain、手錠!」


それを合図にサフランはダルマに鎖の長い手錠をかけ、その鎖を後ろにある柱に括りつけた。そしてそれを見たヴィオレは突っ込む体制を構えた。

ダルマはヴィオレが片手に石を持っているのを確認し、防御の構えを取ったが次の瞬間、目の前が真っ暗になった。サフランがダルマに革袋を頭から被せたからである。


ヴィオレ(よし!ここまでは計画通り!あいつは今片腕側にしか腕を振り下ろせない状態になってる。私には二択、右側か左側か。そしてこの石を使って左側で音を立てる。そしたらあいつは当然左側を攻撃する。私は右側に着地してこの渾身の一撃を、叩き込む!ダルマが目隠しを外すまでの、一瞬の勝負!!)


カーン!


雨の音に紛れて、鉄を石が打つ音が響いた。と同時にヴィオレはダルマの右側に立った。後は拳を叩きこむだけ。

ヴィオレは一つ不安を残していた。


ヴィオレ(クトル君を投げ飛ばしたあの行為。もしこいつに。もし今!知能が発達してきているなら…)


ダルマは拳を振り下ろした。でもそれは、右側だった。


ヴィオレの悪勘は的中してしまった。ヴィオレは気を失い、建物の一階に落ちていった。


サフラン「ヴィオレーーーー!!ウッ!」


サフランは一瞬悪魔と見間違えた。目の前まで迫っていたダルマに殴られ、地面にたたきつけられた。




少しして、ヴィオレは辛うじて立ち上がれた。しかしもうしばらくでダルマがとどめを刺しに来る。ヴィオレは悩むと同時に、今までの人生を振り返っていた。


ヴィオレ(なぜ今生きていると問われたら、私は幸せを探していると答える。

生きる理由になら命を懸けれる。

生きてる人はきっと皆、幸せを追い求めて生きている。生きる理由が幸せのため。つまり、幸せのためなら命だってかけれる。

今までの私の人生に「幸せ」はなかった。でもここにきて、「幸せ」を見つけれた。

アナタのためなら!私は命だって惜しまない!

ここで私がこの選択を選んだことを!!

ここで私が命をかけることを!!

アナタが望むのなら!!いいや!

たとえ!たとえアナタが!

アナタが望まなくとも!!)


ヴィオレは自分の体に手を突っ込み、今まで決して手放さなかった、手放すつもりのなかった「3つ目」の魂を掴んだ。

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