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あの虹のように  作者: おわなん
最終章:出梅
31/43

31.認めないこと、即ち目を背けること

サルビア、メイズによる一方的な攻撃が続いていた。ミックが劣勢であることは明らかであった。唯一使える右手で小石爆弾をメイズ目掛けて投げるが、爆弾の時を巻き戻されただの小石に戻されてしまう。爆発できた小石があったとしてもその爆弾はサルビアがかする程度に受け、その痛みを何倍も大きくした攻撃で反撃する。


サルビア「Reparation、小石。」


完璧な矛と盾がミックの目の前にあった。だがしかし、ミックは「勝てない」などとは考えていなかった。


ミック(サルビアの大きな欠点をメイズが補っている。しかし、代償の祝福さえどうにかできれば。庇いきれてない「代償」の弱点が俺の勝ちの道筋!)


ミックは攻撃を一旦止め避けることだけに絞り、相手の弱点を考えた。


メイズが祝福の使い過ぎで鼻血を出していることに気づいたサルビアは、メイズの近くに寄った。


サルビア「そんなに無理することはない。少しの間だけ、自分に祝福を使うんだ。そしたらこの戦いが始まる前までに戻れるだろ。」


メイズは首を横に振った。


メイズ「いいや!もしあいつがその少しの時間を待っていたとしたら!こんなので勝てるのなら!アイビーは死んでなかった。私は今、モロコシちゃんストックも沢山あるし、こんな「少しの間」くらい頑張れるよ!だから、サルビアも。」


メイズはサルビアに笑顔を向けた。


メイズ「女の子に気合負けしてちゃ、ダメだぞ!」


サルビア「…了解。」


ミックの方に強い覚悟を持った目を向けた。ミックは少し気分がよさそうだった。


ミック「人間にとって最も難しいこと、それは「認めること」だ。プライドというものは無意識にも自分を蝕む。どんな弱者、強者にも共通して言える。ただ最も大切なこと、とも呼べる。

お前らの祝福の強さ、相性の良さを認める。

そんなお前たちに俺は負けていること、それも認める。

認めてどうするか、ただ負けを痛感するだけか。いいや、認めることで次の成長に繋がる。」


ミックは所構わず小石をばらまいた。


ミック「それで気づけた、やっとな!!貴様らはすでに攻略済みだ!」


小石が爆発し始めた。サルビア、そして自身の方に飛んでくる爆弾の時を戻した。


メイズ「Return、小石!」


メイズ(まさか私の消耗を狙ってる!?それなら自分に祝福を使って…)


サルビア「危ない!!メイズ!」


サルビアはいち早く何かを察知しメイズを建物の外に投げ飛ばした。


ミック(もともとおかしな話だったんだ。あらゆるものに「代償」が発動するなら一番初めの爆発で俺に何かしらの「代償」が降りかかってくるはず。つまり発動条件は直接的な攻撃。爆発自体には発動するが、爆風やそれに吹き飛ばされたガラス破片は「代償」の対象外。これがこの祝福の弱点。今から起こるのは俺からの直接な攻撃ではなく、事故だ)


メイズ「いたっ!」


外に投げ飛ばされたメイズが見たものは元居た建物の倒壊だった。ミックは建物を支えている全ての柱に爆弾を投げ、建物の倒壊を狙ったのだ。


メイズを投げ飛ばした後、倒壊する建物から逃走を図ったが目の前にはミックがいた。


ミック「今までよくやってくれたな。お前の祝福は、痛かったぞ。でももうこれっきり、あと一回くらいなら許してやろう。」


ミックとサルビアの間には小石爆弾があった。


サルビア「な…」


ドーーン!!


サルビアは逃走ルートとは逆方向へ飛び、倒壊に巻き込まれた。


ミック「グハッ!ハハッ!!いてぇ。もう一発欲しいっつても、無理そうだな、こりゃ。とっっっても!いい気分だ!!」


メイズ「サルビアーーーー!!!」




瓦礫の山となった建物にいくつか爆弾を投げ込んだ。だが二度と「代償」が戻ってくることはなかった。

それを見たメイズはその場から離れようと泣きながら走った。


ミック「強力な祝福を持つってことは、それだけ狙われるってことだ。体の時を戻す、しかも射程は、無限。さすがに、やりすぎだな。」


メイズの足元が爆発し、地面に強く激突した。


メイズ(早く!足を治して、シアンと合流しないと!)


足を治す前にミックはメイズに追いついた。左腕でメイズを殴ろうとしたが、またもや時を戻され左手はメイズの目の前で落ちた。


ミック「認めるんだ。俺には勝てないと。」


落とされた左手には小石爆弾が握られていた。

また爆発音が鳴り響いた。




シアン、クトルが到着した時には何も残っていなかった。メイズが拠点にしていた建物が瓦礫の山になっていたのを発見したクトルは水蒸気を使って、サルビア、メイズを探した。


そして、サルビアは見つかった、瓦礫の山の中から。サルビアが息をしていないことを確認し、落胆しながらシアンを探した。


クトル「シアン君、サルビア君はもう…、ウッ!」


シアンは大量に血が飛び散った場所の前に立ち尽くしていた。しかし、そこには何物も残っていなかった。ただ、広がる血痕のみが残っていた。飛び散った血痕は今にも雨に流され、消えようとしていた。


クトル「シアン君?ねぇ。」


シアンにいくら話しかけても答えてくれなかった。クトルは早く戻りたい場所があるためシアンを急かした。


クトル「ヴィオレさんとサフラン君のもとに行かなきゃ!心配なんだよ!ねぇ!シアン君!?」


二人はその場を後にした。

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