30.最強のふたり
ーーー数分前
シアンはメイズと通話していた。
シアン「カージナルが負傷だ。2分前まで戻してくれ。」
メイズ「分かったわ。それで、どうするの?」
シアンはしばらく黙った。シアンの班はアイビーを失い、作戦が崩壊しているため考える時間が必要だった。
シアン「カージナルはカメリアのもとに向かわせる。それで俺はヴィオレの班に合流してダルマを片付ける、そんな予定だ。」
メイズ「ねぇ。」
シアン「どうした?」
メイズ「その、工事現場のあった場所に戻ってほしいの。分かってはいるけど、アイビーが、まだ…、生きてるかもしれないじゃん。そしたら!私の祝福があれば治せるから!もし、少しでも息があれば、の話だけど。」
シアン「…分かった。確認して…」
機器越しに爆音が聞こえた。
メイズ「キャーーーァァ!」
シアン「どうした!メイズ!?」
メイズ「ミックが…、生きてた。こっちに…!!」
その瞬間爆音とともに通話が途切れた。
シアン「クソッ!最悪だ。」
ーーー
クトル「それってやばいんじゃ。」
メイズの元に向かいながらシアンはクトルに状況を説明した。
シアン「メイズが命を懸けてくれたのに。俺はそれを活かせなかった。俺が、失敗したんだ。」
まだ自分の反省をしているシアンにどう指摘しようか、クトルは困っていた。
クトル「メ、メイズさんの方は大丈夫なの!?」
シアン「あ、あぁ。最強の組み合わせだからな、あの「二人」は。もしかしたら今頃ミックを返り討ちにしてるかもな。」
ミックはメイズのいる室内にズカズカと入ってきた。
ミック「探したぞ、ヒーラー。こっちは人も減らされて索敵も連絡手段もないんだ。お前らからはまず連絡手段を奪わせてもらうよ。そして次は。」
ミックはメイズに飛び掛かった。
ミック「命を奪う番だ!!」
カーテンレールの向こうから何かが飛び、ミックの左手を切断した。
サルビア「そりゃ、人がいないのは俺が残党狩りをしてたからだ。」
ミック(こいつは!代償のガキ!攻撃したらその何倍の威力が返ってくる祝福。そして体の時を巻き戻すヒーラー。こりゃ最悪の組み合わせだな)
メイズ「こいつよ!サルビア!こいつはアイビーを殺した張本人!!」
サルビア「仇が自らのこのこと。」
ミック「殺したとは失礼な。あの女は、いわば自殺だ。しかもその自殺に俺を巻き込もうとした、むしろ被害者だ。」
メイズ「コイツ!」
サルビア「メイズ、敵とは会話不要だ。」
サルビアはベッドの上に落ちているメスを拾った。
サルビア(俺の祝福は代償。不利益を攻撃に変える。今拾ったメスは利益だ。投げればそれは攻撃という名の利益だ。このメスを捨てる、手を放して失うだけでいい。それが俺にとっての不利益。)
サルビアはせっかく拾ったメスをその場に落とした。その瞬間メスの残像のようなものがミックに向かって発射された。今度は間一髪で避けることができた。
ミック(男は後回し!まずはこの女を!!)
ミックは原子を操り左手を再生させ、その手で小石爆弾をメイズに投げようとした。
メイズ「Return、ミック。」
ミックの左手はまたあの時のように分断させられた。そして、爆弾は左手と一緒にミックの顔のすぐ横で爆発した。
ミック「おまえら、本当に、面倒くさいな。本格的にイライラしてきたぞ。」
サルビア「Reparation、メス。」
複数飛んできたメスをミックはすべて避けた。先ほどの爆発でただれていた顔もだんだん再生していた。
メイズ「優先するのは、あくまで時間稼ぎでいいよね?」
サルビア「あぁ、シアンを待とう。勢い余ってこいつを処理しかねない部分が気がかりだが。まぁそれはそれで。」




