29.胸騒ぎ
いくら叩いても手ごたえがないダルマを見て、作戦会議を開いていたクトル、ヴィオレ、サフランの三人に訃報が届いた。
クトル「そんな…。」
ヴィオレ「信じたくない、こんな。命が失われるってことは分かってたけど、いざ身に起こると。」
サフラン「あっちは終わったようだな。」
サフランは立ち上がって、二人を鼓舞した。
サフラン「俺たちも終わらせないとな、こいつとのイチャコラを。」
三人が建てた作戦はダルマを高所から落下させるというものだった。
サフラン「これが通じなかったら切り刻み作戦しか残ってないぞ。」
ヴィオレ「そうだね、いつまでも悲しんでられない。みんなで合流してから共有すればいい。この気持ちは、しまっておく。あなたの風が頼りよ!」
クトル「…うん、がんばる。」
ヴィオレがわざと大きな音を立てた。その方向に突っ込んできたダルマを後ろからサフランの祝福を浴びせた。
サフラン「Chain、拘束!」
ダルマの体はあらゆる鎖、手錠に拘束され身動き一つできなくなった。それを合図にクトルが懐に潜った。
クトル「Ranger!かz…。」
ダルマの腕と鎖を繋いだコンクリートにひびが入っているのに気付いたサフランはクトルに警告した。
サフラン「腕に気をつけろ!鎖が不安定に…!」
クトル「ムグッ!」
ダルマの腕に括りついた鎖がコンクリートごと引っこ抜かれた。その腕でクトルは顔をつかまれた。
ダルマ「グォォォォ!!」
ダルマはクトルを振り回し、空高く投げ飛ばした。
クトル「え。」
ヴィオレ「クトルーーーー!!」
ヴィオレ(なんで!?今までの行動なら地面や壁に叩きつけてダメージを負わせることを選択するはず。なんでこの場所から敵を一人減らすような行動を!?なんで!なんで!)
クトルは雨に打たれながら空の旅をしていた。
クトル(やばいやばい!このままだと地面に激突して再起不能になる!メイズがいるからって言っても痛いのは、いやだ!
えぇと、風と雲を使って)
クトル「Ranger!風!」
地面に向かって風を起こし、少し勢いを相殺したがまだ怪我を負うには十分なスピードだった。
クトル「からのー!Ranger!雲ガード!」
建物を突き破りながらクトルは無傷で着地を成功させた。
クトル「よし!後は早く!二人のもとに戻らねば!」
シアン「クト、ル?」
後ろを振り返るとそこにはシアンが目を丸くして立っていた。しかし、クトルにはシアンも急いでいるように見えた。
シアン「丁度良かった!一緒に来てくれ!こっちが相当やばいんだ。」
クトル「え、でも僕は残してきた二人の元に戻らないと…。」
シアン「こっちの方が優先だ!!ミックが、生きていたんだ。それだけじゃない、メイズがミックに見つかった。メイズを失ったら俺たちは本当に終わりだ!!」
クトル「な、なんだ、って?」




