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あの虹のように  作者: おわなん
最終章:出梅
22/43

22.隠し事

足早に歩く2人の暴走を止めるべく嫌々ついていく者がいた。


クトル「なんで、シアン君。捕まるよ?」


クトルの方を振り向かず返答した。


シアン「強くなるためには最強に近道を聞くのが最も効率がいいだろ?」


クトル「そんな。また別の機会でもいいと思わないの?」


シアン「今じゃなきゃ、ダメなんだ。アルニコって名前覚えてるか?冬に戦った思想の強いゲリラだ。俺はあいつの言葉に一理あると思わされちまった。それ以降、自分の掲げている「正義」が正しいのかわからなくなった。俺とあいつは、表裏一体なんだって。」


シアンの真剣な言葉にクトルは押しつぶされた。


クトル「うぅ。そうだ、先生!なんで先生まで!?」


プーリム「あいにく言えない事柄だ。クトル、今俺たちは間違いを犯そうとしてるがお前が協力してくれれば成功率がグンと上がる。お前を巻き込む形になって申し訳ないが、俺にもそれだけのことをする都合ってのがあんだ。どうだ?助けてくれるか?」


クトル(僕にしか止められないけど二人にはそれだけの覚悟があるのが伝わってくる。でも…)


クトルはしばらく考えたのちに答えを出した。


クトル「わかったよ。協力する。別に決闘を申し込むわけじゃないもんね。会って話するだけなら、ギリ許す!」


プーリム「ありがとな、クトル。」


プーリム(すまんな。お前の優しさに付け込んで…)


クトルは蒸気で索敵をし、3人は見張りの死角を進んでいった。

そしてついにOPの3人が通る通路まで辿り着いた。


プーリム「感謝するぞ、クトル。お前のおかげで安全にここまで来れた。シアンは…」


周りを見渡すと、もうすでにシアンはオーシンの元へ行っていた。突然2人の後ろから声がした。


ランド「警備じゃないな。何の用でここにいる。うっかり迷い込むような場所じゃないぞ。」


ランドは堂々としていた。例え刺客だとしても敵うはずがないという自信の表れだった。


プーリム「丁度いい。俺はあんたに用があるんだ。俺の、祝福を消してくれ。」


クトル「え?」


ランドはプーリムに触れた。何かに気づき彼に質問した。


ランド「どっちだ。」


クトル「どっち?」


ランド「2つあるだろう?どちらの祝福を消せばいいんだ?それとも二つともか?」


クトルは混乱していた。


プーリム「クトル、悪いがここからは二人っきりにさせてくれ。頼む。明日の朝、全員に説明する。」


クトルは後ずさりして見失ったシアンを急いで探し始めた。


クトル(先生は2つ!2つ祝福を持ってることを隠してた!早く!早くシアン君に伝えないと!)


クトルは突然後ろから現れた手に目隠しをされた。少しいい匂いがしたが、それ以上に殺気を感じた。


スカイ「危ないでしょ、走ったら?あ、でもここに忍び込んできたってことはー、私が危ないの、かな?」


クトルは動揺しながら答えた。


クトル「い、いえ。男の子を探してまして。は、はぐれたんです。」


目隠しを外され、彼女はクトルと目を合わせた。


スカイ「嘘は、ついてなさそうね。行ってよし!」


クトル「あれ?機械のお面、被ってないんですか?」


スカイ「あぁ、返り血がつくのが嫌で被ってるだけなの。なんでわざわざ機械なのかって思った?形見のようなものなの。ほら!あっち!探してる男の子ならオーシンと話してるよ。一緒に行こ。」


スカイはクトルと手をつないでシアンの方へ向かった。




シアン「オーシンさん、僕は、自分なりの「正義」を見失ったんです。でも、強くなりたいんです。方向を見失いそうで怖いんです。何か教えを説いてください!」


オーシンは動揺していた。


オーシン「あー、俺あんまり賢くないしめちゃめちゃ経験積んだベテランってわけじゃないんだけどいいの?さほど年も離れてないし。」


オーシンは過去の自分を思い出して懐かしさに浸った。近くの椅子に座ったと同時に、クトルとスカイを見つけた。


オーシン「おぉ!こっちこっち!今俺慣れないことするから見ておいてよ!」


スカイ「あいつの自分を下に下にっていう姿勢嫌だよね?もっと堂々としてほしいよね?」


スカイはクトルに話しかけていた。


クトル「う、うん。」


オーシン「え?君、うんって言ったの?」


クトル「あぁい、いや。そういうわ、訳じゃ、ない、です!」


オーシン「ハハッ、いいね。君たちを見てると懐かしさを覚えるよ。いい?3つのことを教えてあげる。

まず一つ。これはシアン君に、だ。「正義」を見つけるためにこの道を選んだのかな?原点を思い出すんだ。元々は「正義」を探すために、じゃなかったはずだ。」


シアン「俺の、原点。」


オーシン「そして二つ目、これは祝福について。祝福は概念なんだ。概念は決められた形がない。個人で形が変わる。だから自分次第。勝手に祝福の限界を考えてちゃダメ。もう一度祝福の単語に目を向けるんだ!そしたら次へ進める。覚醒も、あるかもよ。」


オーシンは少し息を吸った。


オーシン「そして最後、この世で最も大切なことだよ。金か?愛?力?頭脳?時間?一番大切なのは意思だ。この言葉を自分に言い聞かせるんだ。「意志を持て!意志を継げ!」って。意思は一つだけど何人も何世代も先に繋げれるすごいパワーなんだ。どう?覚えた?」


シアン「ありがとうございます。今言ってもらった3つのこと、絶対忘れません。」


オーシン「うんうん、いいね!じゃ、僕らはこれで!」


立ち去っていく二人をクトルは止めた。


クトル「どうして!僕らは入っちゃいけないとこに入ってきたのに、こんなに親切にしてくれるんですか!」


オーシンは振り返って答えた。


オーシン「それはね、僕らは協力しなきゃいけないんだよ。今や星が違えば敵対関係、それにこの星の体制も良いとは言えない。それじゃダメなんだ。俺らには、もっと優先すべき別の敵が…」


オーシンはスカイに耳を引っ張られて、喋るのを止めさせられた。


スカイ「ちょっと!喋りすぎるとこの子達が危ないでしょ!」


オーシン「いてて。ごめんごめん。気分が乗っちゃって。あと瞬間移動してくるの怖いからやめてね。それじゃ!2人とも!俺が指名したくなるほど強くなれよ!」




帰り道、クトルはプーリムの件を話した。シアンは少し動揺したが明日の朝を待つことにした。そして彼らはいつもの日常に帰っていった。


ここにいるサラリーマンもそうだ。彼は明日の商談が朝早いため、ホテルに泊まった。スマホのロック画面に映っている妻と娘の写真を眺めてから眠りについた。

この街の全てが闇にのまれ、朝を迎えた。街全体は廃墟のようになっていた。街を歩くもの、朝の準備をするものは誰もいなかった。

ビルは壊れ、至る所で警報が鳴り、助けを求める声がしたと思ったら一発の銃声で鳴りやむ。

街は何かが爆発したような形を残し、活気を消した。


サラリーマンの胸には建物の破片が刺さり、抜こうと努力しているが助からないことを彼は知っていた。

彼の隣に倒れている時計は9時37分を指し止まっていた。

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