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あの虹のように  作者: おわなん
一章:小雨
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2.今日の運勢は?

クトル「僕の祝福はね、Rangerって言って自然のものならなんでも操ることができるんだ!たぶん。」


???「でも、おまえは雨雲しか操れんがな。あと、ついてくんな」


クトルの質問攻めは少年の目的地付近まで続いていた。少年はクトルを振り切るあらゆる方法を模索していたが、どの策も結局は暴力にはしるため、怒りを押し殺して足早に歩いていた。


クトル「へぇ。シアンっていうんだね。」


シアン「名前を聞くのが遅い。おまえ順序ぐちゃぐちゃすぎてな、疲れるよ。絶対掃除下手だろ。」


クトル「うっ!…掃除のことは置いといてさ、君の祝福を教えてくれてもいいじゃないかー。」


シアン「教えない。自分の祝福を言ったら俺も答えてくれると思ったか、間抜けめ。そもそも「祝福の紋章を隠してはいけない」法律さえなければこんな文字ぶらさげてねーよ。それと、ついてくんな。」


クトル「あ!それでね、」


まだ話を続けようとするクトルを無視し、遂にシアンは走ってクトルを振り切った。短距離走世界記録を塗り替えそうなスピードで走るシアンを見て、クトルはますます興味がわいた。


クトル「まってよー。僕もそっちに用があるんだよー。」


シアンの目的地は戦闘員訓練校だった。この施設の見た目は露天掘りされた鉱山の様であり、その見た目とどこの大学にも通うことのできない成績の若者が集まることから「下界」と呼ばれている。都市の中に突然現れる「下界」に初見の人は驚くが、次第に慣れ、見下すようになる。下界に行くことは文字通り汚名である。

シアンは自らの意思でこの場所を選んだ。自分を見下す人々を命を懸けて守らなければならないこの役職を選んだのだ。しかし、この者たちを助けたいからではない。体が弱かったシアンにとって銀河で命を懸けて殺し合いをするということは、今までの弱かった自分のイメージを180度変えようとする意志の表れだった。


シアン(俺はここで、そしてこの祝福であらゆる存在を超えてやる)


クトル「あれ?君もここが目的地だったんだね。奇遇ぅ。仲よくしよぉ。」


シアンは自分の不運を呪った。おそらくシアンの顔にも抑えきれない嫌悪が表れていたが良くも悪くもクトルは顔色を窺わない人間だった。無理やりの握手を交わしたのち、掲示板のクラス番号を各々確認し、指定の部屋へ移動した。


シアン(凶日凶日凶日凶日凶日凶日凶日凶日凶日凶日死刑死刑死刑死刑死刑凶日凶日凶日凶日凶日凶日凶日凶日凶日)


クトル「シアン君元気ないね。まあ緊張するのも無理ないか!一緒にがんばろ!ね。」


同じ部屋の隣の席でクトルは俯いているシアンを励ましていた。

部屋には全員で9人。見知った顔もあるが、この部屋の人間たちが作り出している空気にシアンは違和感を抱いていた。


シアン(男が4人、女が4人。全員の左手に紋章。こいつら、過去に何か問題ありな顔してるな。この校舎では訓練兵同士の蹴落としもあるからな。一人ひとり素性を探らなきゃだな。まあまず蹴落とすのは隣のやつだけどな。そうだな明日やるか、しかも物理的に蹴落としてやる)


そんなことを考えているうちにまた一人扉開け、入ってきた。身長は190超の大男。初対面のはずなのにこの男の自然と放つ威圧感にクトル以外の8人は圧倒された。


???「意外とワイワイやってるもんかと思ったが、なんか冷たいな、この教室。秋か。俺は特に恋愛禁止してないから堂々としてろよ。あ、でも男5人女4人なら一人男が余ってかわいそうだな。思いやり、大事やぞ。」


何を言っているのかさっぱりな男は中央の教壇に立って話をつづけた。


プーリム「しばらくお前たちの教官をするプーリムだ。生意気、無口、あと野菜を食べない奴は嫌いだ。俺は嫌いな奴にはお構いないからな。気をつけろ。」


シアンは彼を知っていた。一年前にテレビで伝説の軍人として紹介されていた。まだ定年でもない彼が何故こんなところにいるのかは知らないが、シアンは高揚していた。彼から学ぶことはとても多い、そしてわかりやすい目標がこんな近くにいるからだ。


プーリム「それと、急だが俺の教育目標を話す。今から一年半後の「あつまれ!訓練兵トーナメント」でこのクラスから優勝者をだす。これは俺の目標だが、この大会で活躍すれば軍の目に留まるからな、オファー待ったなしだ、貴様らも本気でやる価値はある。ま、俺はこんな大会でなくてもスポンサーもいたがな、ハッ!」


シアン(この男、毎回一言余計だ。隣のクソガキほどではないが)


プーリム「というわけで本格的に訓練を始めるのは明日だ。今日はお互い自己紹介でもして終わりにしよう。ほら、みんな移動しろ。食堂の椅子動かして輪つくるぞ。」


彼には威圧感があるが、プーリムのペースはその威圧感に似合わない。シアンは、伝説の軍人はすべてが規格外なのだと理解したが、しかしそんな部分を尊敬するか迷っていた。


シアン(まあいいか、俺にはあんなタイプは似合わん)


シアン「早く動いて、椅子を移動させるぞ。この、のろま騒音クソガキ。」


クトル「なんかすごい名前つけてない?そもそも僕の方が身長おっきいからガキは違うんじゃない?」


シアン(もう話さん)

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