18.チームプレイ
混沌の後には必ず静寂がある。
車内は静かだった。
クトル(あれ?意識が…ある?体が、フワフワする。そういえば!シアン君は!?)
クトルが目を覚ますと目の前には谷間が広がっていた。
クトル「うわっ!!」
ヴィオレ「ちょっと!傷つくじゃない。まぁこの状況だし、無理ないか。死んでるようなもんだもん。ほら、あんたも起きなさい!そして私に媚びなさい!」
クトルの隣にいたシアンも目を覚ました。
シアン「ん?なんだ?何が起きてる?てかお前、でかくね?」
ヴィオレ「あんたが小さいの。てか元々小さいか、ごめん!」
シアンは反射的にヴィオレをしばこうとしたが腕がないことに気が付いた。それに、足も。
ヴィオレ「あなた達は今魂だけになってるの。私がそうした。そうじゃないと死んでたからね。」
クトル「僕たち…死んだの?短い、人生だった…」
ヴィオレ「半分正解ね、魂だけで肉体は存在していない。でも安心して、肉体は透明になってるだけでまだ屋根の上に残ってる。私がこの魂を肉体のあった場所に戻してあげれば、生き返れる。」
クトル「助けてくれたってことか!ありがとう!」
ヴィオレ「どういたしまして。それこそ、こちらこそありがと、シアン。」
シアン「あぁ。お前こんなことできたのか?」
ヴィオレ「そうよ。強い能力でしょ。私の扱い次第で生かすか殺すか選べる。でも条件があるの。対象より圧倒的な差があること。」
シアン「それは俺たちが雑魚って煽ってるってことか?」
ヴィオレ「違う違う、ちょっと意地悪しただけ。別の条件もあるの。それは死期が近い対象にも使えること。条件があってればこの物体を貫通して魂だけを刈り取ることができる鎌でシャッっと獲る感じ。」
祝福の能力の一部である右手に持っている鎌を振って見せた。
クトル「そういえば何であの人は上に浮いたんだろう?」
ヴィオレ「そんなことあったんだ。うーん、よく分かんないけど多分アレじゃない?」
ヴィオレが指さした先にはブラックホールのような球体が浮いていた。
ヴィオレ「あれに引っ張られる感じがするんだよね。誰かアレ出した人いる?」
ヴィオレの質問に返す人はいなかった。シアンが口を開いた。
シアン「お前のじゃないか、クトル?自然現象なら何でも使えるはずだろ?」
クトル「そうだけど…。僕こんなことできたことないよ。」
シアン「水蒸気、空気抵抗を解除した覚えは?」
クトル「ないよ。」
シアン「と言うことは3種類同時に使えることもできた。俺が言いたいことはな、クトル。お前はこの短時間で急成長したんだよ。あの玉もお前の力だ。」
現在、主を失い力が小さくなった球体。あれは考えられないくらい質量のある玉だが、実体を持たないため触れることはできない。しかし、強大な引力を生む、クトルは引力の玉を生成することができるようになったのだった。クトルはまだ受け入れていないが確実に成長していた。
ヴィオレ「話したいことがあれば今のうちに話してね。このトンネルを抜けたら魂をもとに戻すよ。今、この車体を停めれるのはあなただけなんだから。」
シアン「わかってる。」
クトル「そうだ!シアン君、後で先生に連絡してほしいんだ。このゲリラ達には専用の戦闘員がいて、特に強い7人は額に強い順に1番から7番まで数字が刻まれてるんだ!」
シアン「くそださいな、それ。」
クトル「えぇ、かっこいいと思うんだけどな。それより!さっき戦った磁力の人は額に「4」って書いてたんだ。多分他6人は本部に、つまり先生たちと戦うことになるんだ!」
シアン「あんだけ強くて4番かよ。わかった、警告しておく。」
ヴィオレ「準備はいい!?そろそろ抜けるよ!」
トンネルから抜けた途端、クトルは電車の側面、シアンは電車の上に現れた。
クトル「あぶな!そうだった、僕こんなとこにいたんだった。」
シアンは電車の先頭に走って行った。
シアン(早く終わらせないと、教官のことだから今頃…)
ーーー数十分前
サルビア「教官、シアンと連絡取れません。テロ抑制班に何かあったに違いありません。」
プーリム「うーん、そうか。」
本部占領班は本部の手前まで来ていた。
プーリム「こういう時は、俺の経験で言うと、うーん、でもこいつらにそんなことさせるのはー。」
メイズ「教官はこういう時はどうするんですか?きっと私たちにもできますよ!」
プーリムはしばらく悩んだ結果、自分流のやり方で進めることを決めた。
プーリム「よし、あっちの班待たずに突っ込むぞ!」




