17.ボクがやらなきゃ
戦闘態勢をとった3人は少しの時間動かなかった。しかし、アルニコが一番最初に動き出してから激しい戦いが始まった。
2対1だったがアルニコはその人数の逆境を諸戸もせず2人を相手にしていた。しかし、妙に連携の取れた攻撃に苦しんでもいた。
アルニコ(Rangerは現在2種類までしか同時発動できない。そして今、水蒸気、空気抵抗この2つを使ってる。アホそうな奴は丸腰同然。そうなると優先するべきはチビの方。
しかし、おかしい。速度の倍率を変える壁は加速しかなかったはず。情報が違うぞ、くそが。チビを逃がしたらこの電車は止められる、ったく面倒だ)
アルニコはこの2人の連携を崩すことを優先した。
アルニコ「シアンと言ったか、いいのか。お前が同時に3種類扱えたら今頃俺は負けてるだろう。どうした、その鉄棒一本で俺に勝てると?空気抵抗を0にしただけで活躍した気になっていると?祝福を扱うのがそんなに難しいか?俺はそうじゃなかったがな。」
クトルは顔に悔しさを浮かべていた。鉄棒を強く握りしめるクトルをシアンは見ていた。
シアン「わかってないのはお前だ。」
人生で初めてクトルをかばった瞬間だった。
シアン「未知なものには「簡単」と呼べるが、理解しているから「難しい」と言えるんだ。お前みたいな個性のない祝福には分からんだろうがな。」
シアンが意識を返答に向けた瞬間にクトルの持っている鉄棒がアルニコの方に引っ張られた。クトルはこの機を利用しようと敢えて鉄棒を離さなかった。
クトルは至近距離でアルニコに蹴りを放ったがあっさりと避けられ、横に弾き飛ばされた。
シアン「耐えろ!クトル!!」
クトルはなんとか電車の側面にへばり付いた。
クトル「…危ない。今行くよ!…あれ?」
クトルの体は側面に張り付いたままだった。
アルニコ「その様ゴキブリみたいだな。お前はもうそこから動けない、俺を始末しない限り。」
アルニコとクトルの衝突の瞬間、クトルは触れられていた。つまり磁石となり電車から離れられないのである。
シアンがクトルの方に気をとられていると目の前からクトルの鉄棒が飛んできた。腕で防御できたが鉄棒は体から離れなかった。
シアン(まさかこれも磁石!?俺もすでに体を触られていたというのか)
アルニコ「安心しろ、トンネルの中で解除してやる。ズタズタになるだろうが。あぁそうだ、チビ。お前は残酷にもトンネルの縁と…
「ドン!」だ。ハハッ!分かったか!口を動かす前にもっとやることあるだろ!」
シアン(やばい、俺たちは詰みだ…)
アルニコは余裕そうにあぐらをかいて座った。
アルニコ「今、絶望しているか?自分の価値について考えてるか?そうだよく考えろ。そして絶望しろ。価値は比べて測るのもだ。よく「価値は失うと分かるもの」とかほざくやつがいるが、それは存在してるときとないときを比べてるにすぎん。
結局は自分の下を見つけて測るんだ。自分と俺とで比べろ!!惨めだろ!」
2人は言い返せなかった。言い返せる状況にないからだ。ただ下唇を嚙むことしかできなかった。
アルニコは振り向き、姿勢を低くし始めた。
アルニコ「俺は直接手を下さない。そろそろ時間だ、じゃあな。」
トンネルは目と鼻の先であった。
クトル(ダメだ!僕のせいでシアン君が気を取られてこんなことに)
シアン(完全に俺のせいだ。気を抜きすぎだ、アホ!)
クトル(助けを呼んだほうが…)
シアン(せめてクトルだけでも…、違う!)
クトル(この状況は)
シアン(誰かが打開するんじゃない)
クトル(僕が)
シアン(俺が)
クトル&シアン(やらなきゃ、誰がやる!!)
その瞬間、電車の天井ごとアルニコが宙を舞った。
アルニコ(は?こんなことできる奴はいないはず)
アルニコ「誰だぁァァァァ!!!」
そのまま電車はトンネルへと消えていった。




