表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

p.1

「ずっと仲良しだよっ!!」

「私達、一生友達だよね!」


 いつか聞いたそんな言葉が頭をよぎり、私はフッと鼻で笑った。女の友情は脆くて薄っぺらい。私はもう、そんな不確かで頼りないものに振り回されるのは御免だった。


 女子は群れるのが好きな生き物だ。その場だけや、期間限定の付き合いなんてこともよくある。まぁ正直、人見知りの私にはそんな芸当はかなりハードルが高いのだが。


 それでも、学生の頃はなんとかそこを乗り越え、“友達”を獲得していた。と言っても、そのほとんどは向こう、つまり“友達”から声をかけてもらったのだが。


 私はその機会を逃すまいと、必死で頬を引き攣らせ、愛想笑いを貼り付けて、彼女たちの話に相槌を打った。《《ぼっち》》にだけはなるまい。その一心で。


 そうして獲得した“友達”とは、環境が変わればすぐに縁が切れた。例えば小学校の時は、転校前の学校の“友達”。中学の時は、部活で全国大会を一緒に目指した“友達”。進学先の高校では、たまたま席が隣になった“友達”。大学では、誰にでも分け隔てなく声をかける“友達”。


 そんな“友達”が入れ替わり立ち替わり、私の横にいた。彼女たちはいつも「ずっと友達」、「ずっと仲良し」を定型文の様に口にしていた。


 その言葉を聞くたびに、私は口元を緩め「うん」と頷いて見せた。だって、それが“友達”に対する正しい返しなのだから。


 内心、彼女たちに違和感を覚えても、それを口に出して言ってはいけない。不満を顔に出さないように。そのことに気をつけつつ日々を過ごしていたのに、気がつけば“友達”は私のそばからいなくなっていた。


 私の“友達”は増えることがなかった。いつも3、4人のグループ。前の“友達”と縁が切れた頃には、私は新しいグループに所属していた。


 そうして社会人になった今、私は“友達”との縁を切ろうとしていた。


 ぼっちを恐れていた私に決断させたのは、凛華が言ったという言葉だった。


 私には、親しくしている同僚がいる。その人と仕事後に食事をしていたら、偶然近くにいたという優里が、その食事の席に同席したことがあった。物怖じしない優里はすぐに私の同僚と打ち解け、記念にとスマホで写真を撮っていた。


 後日、どうやらその写真を目にした凛華が優里に問い詰めた。凛華は、自分に知らないことがあるのは我慢ならないタチなのだ。


 問われた優里は、特に何も考える事なく言ったのだと思う。


「あの子の“友達”だよ」と。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ