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第二話 銀狼族の娘

 


 銀狼族の少女──シェスタの下に戻ったオリバーは野兎を処理した。

 ナイフを入れていると、シェスタのもの言いたげな視線が突き刺さる。


「なんだ。お前も食うか? もう食えるくらい体力が戻ったか」


「人族が作ったものなど誰が喰うか。それより、その……」


 シェスタはオリバーとナイフをじろじろ眺めながら、


「刃の入れ方はそうじゃない。内臓の処理もなっていない……ふん。さすがは人族。野獣一つ満足に捌けないと見える」


「あー、まぁ我流だからな。大目に見てくれ」


 さすがは秘境の奥地に集落を作っている銀狼族。

 野獣の処理には一家言あるらしい。

 とはいえ、今のオリバーの目的は食事によるステータスの上昇だ。


 《ステータスが上昇しました》


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 レベル:1

 名前:オリバー・ハロック

 天職:美食家

 種族:人族(ヒューマン)

 体力:E-→E

 魔力:E+

 敏捷:F

 幸運:F


 《技能(スキル)

 林檎連弾:魔力で林檎の種を生成し、矢のように飛ばして敵を攻撃する。

 塩の導き:塩を舐めると一定時間、方角が分かるようになる。


 《転職者特典》

 大いなる心眼:あらゆる欺瞞を見破り、対象のステータスを看破する。

 不可視の拒絶:日に一度、不意打ちによるダメージを無効化する。

 イルディスの加護:ステータスの成長速度が上昇する。

 在りし日の剣聖:月に一度だけ聖剣を呼び出し、剣聖の力を使うことが出来る。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「よしよし、ちゃんと上がったな」


 オリバーは得意げに頷く。

 獲れたての野兎で、自分で獲った岩塩でいただく肉料理の美味さ!

 帝都のどんな食堂であってもこの美味さは実現できまい。


「なぁ、お前も食ってみろよ」


「要らない」


 シェスタに突き出すと、彼女はぷい。と顔を逸らした。

 けれど次の瞬間、ぐぅううううううう。と腹の虫が音高く鳴り響く。

 オリバーは腹を抱えて笑った。


「腹減ってんじゃねぇか、ほら食え」


「要らんと言っている! たとえ飢え死にしようが、私は……」


「いいから食え。意地張るな」


「むぐ!?」


 シェスタの口に肉を放り込む。

 シェスタは吐き出そうとしたが、オリバーは無理やり食べさせた。


「毒は入ってないぞ。心配すんな」


「むぐ、むぐむぐ……」


「ほれ、まだあるぞ。美味いだろー?」


 次々と、焼いた肉をシェスタの口に放り込む。

 毒が入っていないことが分かったことで、シェスタの抵抗する力も緩んだ。


「うん、よしよし。怪我は喰わなきゃ治らないからな。治ったら早くなるぞ。銀狼族なんだし」


 食べさせているとあっという間に肉が無くなってしまった。

 手持ちの食糧は尽きてしまったが、仕方ない。


「おえ……人族に穢された……」


「誤解を招くようこと言うな、失礼な奴め」


 オリバーはため息を吐いてそう言った。

 それから一週間ほどステータス上昇を意識して狩りを続けた。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 レベル:1

 名前:オリバー・ハロック

 天職:美食家

 種族:人族(ヒューマン)

 体力:E→S

 魔力:E+

 敏捷:F→F+

 幸運:F


 《技能(スキル)

 林檎連弾:魔力で林檎の種を生成し、矢のように飛ばして敵を攻撃する。

 塩の導き:塩を舐めると一定時間、方角が分かるようになる。


 《転職者特典》

 大いなる心眼:あらゆる欺瞞を見破り、対象のステータスを看破する。

 不可視の拒絶:日に一度、不意打ちによるダメージを無効化する。

 イルディスの加護:ステータスの成長速度が上昇する。

 在りし日の剣聖:月に一度だけ聖剣を呼び出し、剣聖の力を使うことが出来る。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おし。だいぶ疲れなくなったな」


 ステータスカードを見ながらここ一週間の成果に満足する。

 ステータスがSを越えれば前線で戦う兵士以上の力があるから、それ以上は求めない。

 もう剣聖として魔族と戦うことはないだろうし。


「さすがに肉ばっかりも飽きてきたしな……」


 飽きを感じ始めてからステータスの上昇速度が明らかに遅くなった。

 もしかしたらこの天職は同じ食材で無限にステータスが上がらないようになっているのかも。


「塩味も飽きたし……次はどうすっかな」


「……」


 そう思って空っぽの鞄を見ていると、シェスタの視線に気づいた。

 この一週間、彼女にはひたすら肉を与えて治療するという生活を送ってもらっている。

 そのおかげで怪我は完全に治ったし、心なしか肉付きもだいぶ良くなった。


(このあたりは銀狼族たる所以ってとこか)


「……っ」


「ん?」


 シェスタの耳がピクリと動く。

 続けてオリバーの感覚もそれを捉えた。


「──よぉ、兄ちゃん」


 ざ、と足音が響き。


「その銀狼は俺たちの商品(モン)だ。返してもらおうか」


 下卑た笑みを浮かべる三人の男たちが、現れた。

 そして言う。


「有り金全部置いて、ここから失せろ」




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