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私、悪役令嬢になります。

ちょっと別の話を書いてるときに、前世の関係で悪役になって人を幸せにしたい人を止める人が居たらどうなるの?って思ったことから始まった物語です。

すごくバカみたいなお話?ですね。

 私、エリザベス・ウィームズは乙女ゲーム‟占い師の秘密の恋”、略して占恋(ウラコイ)の悪役令嬢である。

 ……何を言っているかって? いやいや、分かるだろう。最近よくある『えぇ~! 私乙女ゲームの悪役令嬢に転生しちゃった⁉ どうしよう! (棒)』のお話ですよ。

 まあ……何というか、これで悪役令嬢から逃げようとして溺愛されたり、婚約破棄されて溺愛されたり、悪役令嬢をやろうとして溺愛されたり……いや、溺愛されすぎだっての。

 そんな物語、見てるだけで十分です!

 そんなことを夢見ているわけがなくて。

 ただ自分の犠牲だけでヒロインが一生幸せになれるのなら、それでいいと思っているだけだ。

 私は、前世では大企業の御曹司の娘だった。順風満帆な人生を送っていのたが、ある日私のせいで不幸になってしまった…死んでしまった少女が居ることを知った。

 その少女の名前は杏……占恋の主人公の、デフォルトネームである。

 杏さんの事を知った時、私はショックだった。だからこそ、占恋について知った時…私は惹かれたのだ。

 自分が不幸にしてしまった人に、せめてゲームの中だけでも幸せになってほしい、と。

 だから私はやりこんだ。引きこもり、全ルートをクリアし、隠しルートまでセリフ・スチル全て暗記するほど繰り返した。

 そんなことをしているうちに栄養失調で倒れて。中から鍵をかけたから、誰も私が倒れたことなんて知らずにそのまま死亡。

 で、今に至る。

 あれはゲームだったけど、こっちでは現実。だから、幸せにしたいのだ。

 例え、自己満足だと言われても構わない。事実、私が罪の意識を軽くしたいだけだから。

「というわけで、私悪役令嬢になるわね!」

「どういうわけですか」

 私の専属メイド、クロエに紅茶を片手に全てを打ち明ければ、いつも通りの鉄仮面で素っ気なく返された。

「いや、だから私はヒロインちゃんを幸せにするた、悪役令嬢になって牢に幽閉されるの」

「恐ろしいことを…そんな未来、あり得ません」

「えぇ……なんで?」

 不満いっぱいの私に彼女はにっこりと笑みを浮かべた。

「私が許しませんから」


  = = = =

 私は自室の机に向かい、卓上の小さなランプの光だけを頼りに日記を書いていた。

 私の仕えるお嬢様は、特筆する点があるとすれば第八王子の婚約者だということぐらいな普通の侯爵令嬢だった。

 そんなお嬢様がある日突然“悪役令嬢”になり、幽閉されると言い出したのだ。

「いやいや、無理がある」

 だってお嬢様は、これまでに一切悪いうわさが立ちすらしなかったのだ。あぁ、これも貴族では珍しいのか。

 なのに、いきなりお嬢様の言う“悪役令嬢”の行動をしたら……?

「悪魔憑きって言われて幽閉されるだろうなぁ」

 そんな急激に性格が変わったら、不審に思われるのも当たり前だ。

 そしてそうなってしまえばお嬢様の目的のヒロインとやらを幸せにすることなんてできやしない。聞いた感じだとお嬢様の婚約者様は攻略対象? ではないようだし、手を出す理由がお嬢様にはない。

 それに、自分の仕えた主には幸せになってほしいのだ。

「どんな方法でも、そのヒロインさんが幸せになれば諦めてくれますよね?」

 この場に居ないお嬢様に向けて、ポツリと一言呟き、日記を閉じた。

 今日は早く寝なくてはね。明日は早いもの。

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