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種目決めの話し合いが行われる日は生徒の誰もが時間を取られるのが当たり前でその分、全体的に帰るのが遅くなるものだ。

私が1年の頃もそうだった。主に花形競技なんかに誰が出るのかという話し合いのせいで。

今回、私のクラスはそこのところがすんなりといったので早くに終わらせることが出来た。

マルクル先輩が次に早かった理由としても私と似たような理由だろう。

他の皆がいつ来るかはあまり予想が出来ないもので、もしかしたら明日に持ち込みという可能性もある。

それはそれで仕方ないので今日はやれることを先に終わらせておこう。

何なら私とマルクル先輩は魔動祭の準備チームに入っていないので、雑務が終わればサマーパーティーの計画を進めておこうとなった。

日々、怠ることなく雑務を減らしていたおかげで今日中にやらなければいけないものがそこまで溜まっているわけでもなく粗方片付け終えた頃にぽつぽつと役員が集まって来る。

イリーナが「遅れました~!」とやって来たのを迎え、珍しくアンドリ先輩が傍にいないリュドミラ先輩がやって来た。

最後にアンドリ先輩とプルーストが来て、ようやく全員が揃う。

この時点で生徒会の活動時間の半分以上が過ぎていた。

最後の2人が特に遅かった理由は他のクラスや学年の分の、まとめられた資料を集めて回っていたからだろう。

時間も惜しいのでそれぞれが持ち寄って来た資料から、まずは自分が担当する分を見ていくことに。

私たち2年は各クラスに1人ずついるので自分のクラスの分を終えてから最終的に全員で合わせて戦力の偏りがないように調整することにした。

人数が居るので他より早く終わることだろう。

4年はマルクル先輩が3年はリュドミラ先輩、1年はアンドリ先輩が担当するらしく私たちが早く終わればそれぞれのお手伝いをすることになっている。

そうとなれば早速、自分のクラスの資料に一通り目を通してから希望者が多い部分から生徒1人の負担が大きくなりすぎないように振り分けていく。これとこれを振り分けて、これをやめさせて…。

私が終わった頃にはプルーストも終わっていたようで、イリーナのものを一緒に見ながらアドバイスをしていたので私もそれに加わる。

程なくしてイリーナの分も終われば、私たち3人で顔を突き合わせて1つ目から見合わせていくことにした。

順に見ていくことになるので自然と自分たちが、どの競技に出ることになるのかが分かると流れから私たちの間で少し話題になった。


「プルースト、500メートル出るのね」

「わたし応援するから!」

「はは、有難う」


彼が1年の頃に何の競技に出ていたかは覚えていないが、もしかしたら1年の頃から出ていたのかもしれない。

魔動祭にも前世のときのような走って順位を争う陸上競技はいくつかある。

この500メートルもその類のもので、違うことはただ単純に走るものではないということ。

魔法を使って誰が1番早くゴールテープを切れるかという順位争いの勝負になるので、簡単そうに聞こえて実は難しい競技なのだ。

走る以外でどうするのかと言えば方法は人によって千差万別、いくつも存在する。

風を操って走る加速の補助をしたり、水を操って波に乗ったりなどなど…バリエーション豊かで面白いのだが中でも1番早い方法はこれではないかと言われていた。

シンプルに風を操って飛んで行ってしまう、という方法だ。

ただしこれは誰でも出来る方法と言う訳でもなく、地面がない空中でバランスをとるのが非常に難しく失敗すれば落ちることが確定しているのでなかなか練習しようとするのにも気概が必要になる。

プルーストはどうなのだろうか?

ちなみに私は前に少しだけ試してみたことがあるが案の定、空中でバランスが取れず尻もちをつく羽目になったので早々に諦めた。

目下、別の方法を探し中だ。何かきっかけでもあれば何とかなりそうな気がするのだが…。


「そういうマルティネスは借り物競争?なんかイメージに合わないね」

「逆にイメージに合う人って誰よ」


想像してみたが影すら思い浮かばなかった。

プルーストは笑っているだけだったが、私は気になっているのだけど?

結局、疑問は解消されないまま話題は次に移った。


「デレルは、トレジャーハント…出るんだ…」

「出るよ!必ずお宝見つけてみせるから!」

「がんばってね…」


騎馬戦もそうだがこの競技も他と趣が異なるんだよなぁ…。

肝心のお宝の内容もまだ明かされておらずアンドリ先輩は何かを考えているようではあるけど、一体どうなることやら。


「あ、2人ともダンス出るんだね」

「ほんと!ラフィちゃんも出るの!」

「う、うん」


なんでか妙に食いつきてきたイリーナに若干戸惑いながらも首を縦に振れば、イリーナは腕を万歳させて全身で喜びを表した。


「わたし1年生の時にラフィちゃんの姿見てかっこいい!って思ったから今年は絶対、参加したかったの!」

「そうだったの。イリーナも覚えてたのね」

「あーあれか。僕も覚えてるなぁ」


私が思っている以上に皆に覚えられていることが少し意外に思えた。確かに騒がれてはいたが、そこまで記憶に残るほどかね?


「確か…白銀の君、とか言われてなかった?」

「なにそれ聞いてない」


え私、裏ではそんな呼ばれ方してたの?恥ずかしくない?

マルクル先輩の微笑の貴公子くらい恥ずかしくない?

プルーストは悪びれもなく「あれ、知らなかったんだ」と言っているし、イリーナも「私も知ってるよ!」と続けたのでどうやら私以外には知れ渡っていることなのかもしれない。

今更どうこう出来るものではないと悟って肩を落とした。

今年も白銀の君とやらが再来しますよ。皆さんよろしく。


「そういえばプルーストは騎馬戦には出ないのね」

「あれはちょっとね…」


言外に出る人の気が知れないと言っているような気がする。

関係ない話をしながらではあったが、しっかりとやることはやっていたのでそこそこの速さで2年生の分が終わった。

まだ終わっていないであろう先輩たちの手伝いをしようと見てみればマルクル先輩は既に終わっており、リュドミラ先輩の3年の分を先に先に手伝っているようだ。

私たちは2手に別れて1人は3年の方に2人はアンドリ先輩の担当する1年の方に手伝いに行くことに。

喋りながらだったので少しばかり遅かったのは認めるが、それでもマルクル先輩は4年生の分を1人でやっていたとは思えないほど終わらせるのが早かった。

まぁ4年も学園に通っていればある程度、誰がどの競技に出るのかが決まってくるのかもしれない。

逆に1年は今年が初参加となるので、振り分けにも時間がかかる。

名簿なんかも参考しながらになるので、余計に時間がかかってしまうのだ。

それでも手伝いが入ったことで作業の手が早くなったのは確かで3年の分が終わった頃には1年の分もあと少しとなっていた。

最後は全員で手伝って終わらせると、今日中に全部の振り分けを終えることが出来た。

これで一度、教員たちを通し生徒たちへ公開して余程の不満が出ない限りはこれで決定だ。

どうか、文句やクレームが来ませんように。

いいタイミングで鐘も鳴ったことだし皆で帰る準備をしている所にマルクル先輩が「そうだ」と言葉を漏らしたので皆が視線を向けた。


「今年の魔動祭には陛下も少しばかり顔を出されるそうだ。あまり長居はされないそうだが、せっかくだから兄弟の様子を見に来ると」

「またお前!そんな重大なことをさらっと言いやがってー!」

「今回は前日じゃなかっただろう?」

「そういうこっちゃねー!」


え、国王陛下見に来られるんですか?

兄弟がいるのだから親として来ても不思議ではないが、来るだなんて誰も思わないだろう。

マルクル先輩は事もなげに言っちゃうし、アンドリ先輩はそんな先輩に食って掛かっている。

今回の件に関してもいちおう箝口令が敷かれ「不備のないよう魔動祭の準備を行うように」と私たちに脅しにも似た念押しをした。

これで何かあろうもんなら、私たちの首でもはねられそうだ…。そんなことはないと信じよう。

とにかく魔動祭を無事に乗り切れるよう決意を新たに今日のところは生徒会業務も終了となった。


全学年の振り分けが完了してから数日後、全生徒に自分がどの競技に出るのか書かれた紙が張り出された。

少なからず生徒会の方で対処することがあったものの、どれも些事と言えることばかりで概ね無事に受け入れられたと見ていいだろう。

そうなると次に大変なのは運動場や空き教室などの使用許可を求める声が多くなることだ。

これまでは交流会や同好会などで使用の許可を求める声はいくつかあったが、それに加えて普段使わない生徒たちまで増えるので予定を組むのが大変になる。

今日はこっちでここは前から埋まっていたから、こっちにずらしてもらってと少しばかり面倒が増えてしまうわけだ。

魔動祭に向けて練習に励むことは学園の生徒として悪くない姿勢なので文句を言ってはいけない。

ただ私たちも生徒会の役員である前に魔動祭に参加する学園の生徒であるため、練習に参加した場合は生徒会の方に顔を出せなくなってしまう。

そうなると稼働人数も減るわけで生徒会業務に手が回らなくなるなんて可能性もあり得てくる。

そうはならないように私たちの方で調節はしているので問題はないのだが。

今日は私もとある競技の練習に参加するために生徒会室の方ではなく、事前に予約していた空き教室に向かって同じ競技に出る生徒たちとで集まっていた。

空き教室にある席を全部、埋めるくらいには集まった人数で何があるかと言えば女子の花形競技であるダンスの相談会のために皆が集まっているのだ。

知っている顔、知らない顔の中には同じように出ると言っていたイリーナの姿も見つけることが出来た。

さて初日はそれぞれの顔合わせと踊る題目まで決められれば十分だろう。

顔合わせもそこそこに早速、自分たちが何を踊るのか意見を出し合うことになった。

今回は私の男装が望まれていることもあって普通にペアで踊れるダンスをすることになりそうだ。

あとは何を踊るかだが、何だかクイックステップという意見が多い。

他にも意見はあったのだがクイックステップの意見に皆が流されていき、最終的には満場一致でそれに決定した。

まぁ私はなんでもいいんだけどね。

何を踊るのかが早々に決まったので、次の段階に進むことにした。

次は何人踊るのかだった。これはあまり多すぎても動きづらいので今いる半数ほどを踊りに回すことに。

残りは演出とか裏方役をすることになる。

私は当然のように踊る側に入れられ男側ということも既に決定していたが、ここに私の意思は介在していない。

まぁ、いいんだけどね…。

男側を担当する子にはある程度、背の高いことを条件に選ぶことにはなるのだがいちおう男側がしたいかという希望者を募ってみたところ自分から手を上げてくれる子がちらほらと見られた。

その中にイリーナの手が混じっていたことに、私は僅かに眉尻を下げる。

周りの少し困惑気味の表情に他の皆も私と同じ気持ちを持っているのだろう。

それに気づかず自信満々に手を上げるイリーナには悪いのだが、これは何とかしなければ。


「イリーナ。男側がやりたいの?」

「うん!わたしもラフィちゃんみたいにかっこよくなりたい!」


うーん元気が良くて大変宜しい!

イリーナの意思は尊重してやりたいところなのだが、イリーナの背は今ここにいる誰よりも小さい。

小さくても構わないとも言えず、苦労するのはイリーナではなくペアになってしまった女側が苦労することになってしまうのでイリーナを男側に据えることは現実的ではないのだ。

他に何かイリーナの興味惹かれるようなことがあれば、説得できるかもしれないが…そうだ!


「残念だわ。私イリーナのことをリードできると思って楽しみにしてたのに…」

「え!私のパートナーになってくれるの!」

「勿論よ!でもイリーナは男側がやりたいのよね…残念だわ」

「うぅぅ」


悩んでおる、悩んでおるわ。私はわざとらしく残念だとばかりに眉を下げて念押しでため息を吐いた。

これでイリーナはより悩むことになるだろう。

この際、全員で燕尾服を着て踊ることも考えたのだが、欠点としては色合いが暗くなり華やかさが失われると言ったところだろう。

これはイリーナがそれでも…と言った場合の代案として考えたのだが、暫くしてからイリーナは絞り出すように声を出した。


「私も一緒に踊りたい、かな」

「本当?そう言ってくれて嬉しい!」


最後の一押しにイリーナの前に手を差し出す。

そのままの私では格好はつかないかもしれないが、女性を踊りに誘うのであればこれは言っておかねば。


「私と踊っていただけませんか?」

「わぁ!うん、私で良ければ!」


私の差し出した手に嬉しそうに手を添えたイリーナに一安心した。

流れから私たちでパートナーを組むことになってしまったが、周りからは拍手があったので問題ないだろう。

今日は私とイリーナ以外はとりあえず男側を決めて、それに合わせて女側も決めたあたりでお開きとなった。

次にの集まりではパートナーを組むまでやって、初めて本格的なダンスの練習となるだろう。

屋敷に戻ってから自室でクイックステップを男側の方でシャドー練習してみたが、あまりうまくステップを踏めなかったことに眉を顰めた。

うーん、頑張ろう!


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