若者と男の話 - ②
若者「ねえ、おじさん。」
男「やあ、こんにちは。」
若者「こんにちは。ねえ、おじさん。」
男「どうしたんだい。」
若者「明日からテストなんだ。」
男「勉強しないとね。」
若者「しないといけないのかな。」
男「そんなことはない。しなくても平気だ。」
若者「でも勉強しなくちゃ。」
男「そうだ。勉強しないとね。」
若者「勉強ってつまんない。」
男「そういうものだ。」
若者「何にも納得できないよ。」
男「そういうものだ。」
若者「どうして誰も本当のことを教えてくれないんだろう。」
男「教えられないことを分かってないのが多いからなあ。」
若者「勉強した方がいいなんて、本当じゃないじゃん。なんで勉強なんてするの。」
男「それは本当だ。勉強はした方がいいってことでもない。」
若者「でも勉強はしなくちゃいけないよ。明日もテストだし。」
男「そうだね。勉強しないとね。」
若者「私って騙されてるのかな。」
男「そうかもしれないね。でも、それを分かってそうしている人は本当に少ないから、そうではないかもしれないよ。」
若者「じゃあ、教えてるって思って教えてる先生って、罪深いんだ。」
男「そういう意味ではそうだ。でも、教えることで騙されることができるのも本当だ。だから、その罪を犯すのは仕方がないのかもしれない。分からないけどね。僕は同情するな。大変だよ、先生の仕事は。」
若者「そうかあ。じゃあやっぱり勉強はした方がいいね。」
男「そうだね。勉強はした方がいい。」
若者「楽しくなるかな。」
男「それはあまり望めないかも。」
若者「そうだと思った。ぴえん。」
若者「勉強ってなんであんなに難しいんだろうね。」
男「そうだね。どうしてああも難しいのだろうか。」
若者「簡単だったら勉強じゃないから。」
男「その通りだ。」
若者「なんであんなに難しいんだろう。」
男「簡単なことほど難しいとも言うからなあ。」
若者「やっぱり簡単なんだ。」
男「それはそうさ。難しいことなんて何もない。」
若者「簡単だ!って、きっと黙ってられなかったんだね。」
男「そうだと思う。」
若者「だから難しくなったんだ。」
男「そういうこと。」
若者「愛だね。かわいい。」
男「そうだね。愛がなかったら語ることなんかしないんだから、愛でしかないね。」
若者「勉強しようかな。」
男「うん、勉強しよう。」
若者「私も愛してるし。」
男「きっと愛してくれるよ。」