決断
エリーの機嫌を取り戻しつつ白鳥の泉にやってきたわけだが人が少ない
「観光スポットでは無さそうだな」
エリーに聞こえないくらいの声量で呟いた
「着いたぞ、エリー」
「うん、さっきは助けてくれてありがとね」
「ところでエリーはこの場所来たことあるのか?」
「ううん1度もないんだよね、ちょっと休んでいきたいな」
「そりゃそうだ ずっと歩いてたもんな」
かれこれ20分は逃げてきたから疲れがどっと襲って来る
「ちょっと日当たりが強いから、あそこの洞穴に行ってみないか?」
「そうだね 私もう疲れた」
何か寂しそうに答えた
「お、丁度いいくらいの涼しさだな!」
暑い時にはピッタリの場所だ、覚えておくか
「あれ?なんか奥光ってない?」
「確かに、微妙に明るいな、行ってみるか?」
こんな珍しい洞穴の奥には何があるのか興味が湧いた
「なんかすっごい寒気がするんだけど」
奥に進むにつれ涼しかったはずの洞穴が一気に寒くなった
「あれ松明じゃないか?暖まろうぜ」
「うんうん」
エリーの機嫌は戻ったと思っていいのだろうか まあエリー自身も気を取り直すことが取り柄だとか言ってたっけ
「おいお前ら見かけねぇ顔だなぁ」
「えっ?誰?人、居たの?」
エリーが凄く驚いた表情を見せてきた
「なんかこの人たち服装が統一されてるけどギルドの人か?」
「いや、ちがっ」
「エリー!?」
エリーが囚われるまで一瞬だった、まさか後ろから狙われていたとは思わなかっ
た
「やっ、やめてよ!」
エリーの悲鳴が中全体に響く
俺たちが入った洞穴は敵のアジトかもしくはエリーの元パーティメンバーに仕組まれていたのか どっち道俺らは助かりそうにない
「やめろぉぉ!」
正直無意味だと分かっていたが最初に拾った石ころを投げた
「ぺし」
弱々しい音をたてた
「終わった」
何の武器も持っていない俺が太刀打ちできるわけが無い
エリーは短刀らしい物を持っているが、もう捕まっていて駄目そうだ
諦めかけたそのとき
「なにやってんだお前ら!!」
洞穴の入口付近から青年らしき叫び声が聞こえる
そいつは
両手いっぱいに持った太刀で5,6人いる奴らの1人を切り裂いた
「あ、れ?生きてる?」
俺は混乱して自分とエリーの生存確認くらいしか出来なかった
ただ俺は多勢に無勢の戦いを眺めてるだけだった、
太刀の青年は奴らのナイフで何ヶ所か切り刻まれている所が見えた
「オラァ!!」
エリーを捕まえていた1人を突き放した エリーは放心状態だった
「もうこいつらには勝てそうにない…俺が食い止めてる間に逃げてくれ!」
こいつアホか
「あんたはどうするんだよ!見ず知らずの人救っといて自分は死ぬってか?そんなの俺は認めない!」
洞穴に入った責任は俺が負うべきだと叫んだ
「いいから!お前らは走ることだけを考えろ!早くここらか抜け出せ!!!」
自分の身を捨ててでも俺たちを助けてくれるらしい、こっちにはエリーもいる 俺は悩みに悩んだが、逃げる事にした
「思いっきり走った、途中で青年の痛々しい叫び声が聞こえても、」
やっとのことで洞穴から抜け出せたが、俺は自分のクズさと弱さで病みそうになった
「くそっ、あの時俺が代わりに足止めしていたら」
判断を誤った
あの強そうな声と一瞬で1人を切り裂いた青年ならエリーをこれから守り抜く事にだって出来ただろうに
「俺が代わりに死んでいれば」
掠れた声で泣きながら言った
「そんな事言わないで」
「えっ?」
エリーも声が小さかった
「俺よりもあの青年の方がエリーにとっても良かっただろ」
何故か自分とあの青年を比べたがる自分がいた
「きっとあの子は私たちを護る使命があったんだと思う」
「だって私が叫んでからすぐに来たじゃない?」
確かに一理あるが俺は信じない、だとしたらあの子はただ単に優しかっただけかもな
「お前ら大丈夫か?」
「は?」
「えっ?」
は?
ここまで読んで下さった方本当にありがとうございます!
お久しぶりです2週間くらい空けてましたすみません
4話いかがでしたでょうか??
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