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クロロホルムについての解説

 作中でも書いたが、クロロホルムは推理小説に出てくる万能の麻酔だ。だが、実際はそうでもない。まずは気化させることが大切だ。気化させたものを吸引しないとそもそも駄目だ。まあ、気化させるのは簡単なことだ。常温でも、クロロホルムは十分気化する。

 また、作中の矛盾に気づいた読者もいることと思う。高柳教授は作中で、ハンカチにかける程度の量しかないなら相手を眠らせることは出来ないと断言している。しかし、布マスクにかける量とハンカチにかける量はほとんど変わらない。つまり、布マスクでの作中のトリックは実現不可能である。やろうと思えば出来なくもないかもしれないが、三十分間は同じ体勢のままで相手を固定させておく必要がある。それなら、注射した方が断然早い。推理小説は面白いが、所詮は作り話の一つだ。

 なぜ、クロロホルムを嗅がせると一瞬にして眠るとして推理小説に登場するようになったか。吸引麻酔としての名前が一人歩きをしているのは、推理小説の影響も強いはずだ。東野圭吾の『予知夢』の短編『霊視(みえ)る』でもクロロホルムで被害者を眠らせる描写があった。ホームズシリーズでもクロロホルムは登場する。やはり、推理小説の内容を真に受けた読者やそれを参考にした推理作家たちが間違いを定着させたのだと思う。

 クロロホルムを万能の吸引麻酔として扱っていない推理小説として、読んだことのあるのは喜多喜久(きたよしひさ)の『化学探偵Mr.キュリー』だ。これはガリレオシリーズに似るところもあるシリーズだが、同じではない。推理小説の暗黙の了解をぶっ壊しているし、化学の理解も深められる。ガリレオシリーズとは似て非なるものだ。

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