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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第86話

予約投稿し忘れました。中途半端な時間ですみません。

「じゃあ、ちょっと昼休憩にするか?」


メイサたちを見送ってから数日後、俺たちはサウスゲートに辿り着いていた。

港にはまだ船は着いてないので、急ピッチで港の拡張工事を進めている。


「ハートランド!今日のお昼はカリーがいいっ!早く行きましょ?」


俺とともに作業を進めていたアクアリスが、腕を組んで来てそう言った。

あんなに俺に文句ばっかり言ってたくせにずいぶん懐いたものだ。


「あぁ、じゃあカリーにするか。ハイドとミツキを呼んでくるからちょっと待っててくれ。」


「あの2人ならあっちで特訓中よ。」


アクアリスが指差した方向に目を向けるとハイドとムラト、ミツキとサリがそれぞれに魔法の特訓をしていた。


ハイドはムラトに習って身体強化に磨きをかけるべく、自分の体よりも明らかに大きな荷物を担がされていた。

遠目に見てるだけでも幼児虐待に見えないかが心配だ。

ミツキに関してはサリにお絵かきを習っているようだった。空中に何やら描いているのがみえる。

あれは鳥だろうか?

サリの描いたものは空中で羽ばたき空を自由に飛んでいるのが見える。

そしてミツキの描いたものはというと、うまく飛べないのか雛鳥が初めて空を飛ぼうとしているかのようにぎこちない動きをしている。

魔力の問題か、描いたものの精度によるものか?まあ、サリに任せておけばいいだろう。


「おーい!キリのいいところでお昼にしよう!」


周囲の目もあるので、念話でなく大きな声を出して4人に声をかける。


こちらに気づいたようで、ハイドがこちらに手を振っている。ムラトに荷物を降ろされて身軽になったのか、ミツキに声をかけて駆け寄ってくる。

俺はムラトから荷物を預かり、一時収納しておく。あとで戻しておけばいいだろう。



アクアリスのリクエストでカリーだと言うと子供達2人の表情が曇った。


「今日は子供用にしておこうな。」


前回カリー屋に行った時は、子供扱いされたく無いのか、ハイドが俺と同じものにすると言って頼んだのだが、彼にはまだあの辛さの良さがわからなかったようだ。ちなみにミツキもお兄ちゃんと一緒がいいと言ったのだが、そこはしっかり俺が止めたので、彼女は無事だった。ただ、ハイドが辛そうにしていたのを見たミツキは俺がハイドに意地悪したと勘違いして盛大に怒られた。


前世の頃から俺はカレーが好きだったし、辛いものも大好きだった。この世界にもカレーがあると聞いて小躍りしたものだ。俺の前にも異世界人がいたようだから、その人たちが広めてくれたのだろう。ありがたいことだ。ただ、名前はカリーじゃなくてカレーにして欲しかったと思うのは、俺のただのこだわりか?


一応、念のためカリー以外にも子供達が好きなものを注文しておく。もうミツキに怒られたくないとかそういうことではない。


「ハルキお兄ちゃんキライ!」


って言われたのが尾を引いているわけではない。食事を楽しんでもらいたいだけだ。



「なにこれ?すっごーい!ハルキお兄ちゃんが頼んでくれたの?嬉しい!大好き!」


子供達への気配りが功を奏して、今回は2人とも美味しくいただけたようだ。子供達用にカリーにステーキを乗せてもらったのだが、羨ましそうな顔をしていたムラト以外は平和だった。



お腹を満たした俺たちは港に戻って作業を再開する。俺たちがお昼を食べている間に船が2日後に着きそうだと連絡が入ったそうだ。作業を急ピッチで進めなくてはならない。


とはいえ、俺の無属性魔法も万能ではない。こういう時にはあまり役に立たない。こと戦闘に関しては万能とも言える力を発揮するが、今回のように港を建設するとかいう時には、身体強化で重いものを運んだり、壊したりするくらいしかできない。

アクアリスのように水魔法で海に干渉したり、シエラのように土魔法で土台を作るとかそう言った面では役立たずだ。

だから俺はみんなの魔力タンクになるべく、魔力が減ってきた人に魔力の回復の手伝いをしている。これだってある意味みんなの魔力量アップに繋がっているので重要な仕事だ。

側から見るとただ散歩してみんなに話しかけてるだけの人に見えてしまうのが悩みだ。わからない人には俺が仕事してないように見えるだろう。


そんなこんなであっという間に2日は過ぎ船の到着を待っていたのだが、偵察用に飛ばせたサリの描いた鳥も船を見つけることができないでいた。船との連絡も取れず、緊張が走る。


船との連絡に使っていた魔道具は念話と同じように離れていても会話ができるというものだが、前世的にいえば糸電話みたいなものだ。魔力で繋がった二つの魔道具間でしか使えないが、非常に高価な代物で、おいそれと買うことはできない。

今回の魔人討伐のためにサジタリア王家からの借り物だ。俺への点数稼ぎに貸し出したみたいだ。

当然俺たちには念話があるので必要ないが、船にいるガリアーノ将軍との連絡手段に使わせてもらっていたのだ。


「ハートランド様!いくらこちらが呼びかけても反応がないのです!これが壊れているのかそれともあちらに何かあったのかすらわからない状況です。」


壊れているのかもわからないなんてどんな欠陥品だよ、と思ったが、魔力を見るとその魔道具からはうっすらと魔力の糸のようなものが見える。

ひょっとしたらこれを辿っていけば状況がわかるかもしれない。


魔道具を受け取り魔力の意図を辿り、魔法感知の要領で探る。魔力の糸は海の向こう、水平線の先まで繋がっている。


「・・・っ!!」


結果から言えば魔道具は壊れていなかった。魔道具を使えない状態にあっただけだ。


「何者かに襲われている。船は現在戦闘中のようだ!」


俺は緊急事態であることをみんなに念話で伝える。すぐさま全員が集まった。


「シエラ、マユ、マキ!俺と一緒に来てくれ!緊急事態だから一時隊を組み替える!ナナ、ハイドとミツキを頼む。アクアリス、シエラに変わって隊を任せたぞ。」


「シエラ!風の精霊魔法で俺たちを飛ばすことできるよな?マユはこの地点とあちらを空間魔法で繋げてもらうから、しっかり覚えていてくれ。マキは戦闘で負傷したものを治療してやってくれ。戦闘は俺がやる。準備はいいか?」


皆がうなづいたのを確認して、シエラが魔法を行使する。俺たちはガリアーノ将軍の救援に向かった。


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