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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第81話

いつもお読みいただきありがとうございます。


前回あらすじ


ナナから突如領主をやる話が持ち上がり、そこにはエルフやドワーフが住むと言う。シエラ先生やナカジに話を聞きに行くことにしたハルキだったが・・・。

「シエラ先生、ちょっと話があるんですけど。」


ナナとの念話を終えた俺は今、学園長室でシエラ先生にアストラムの森のことを聞くべく訪れていた。


先生は引き継ぎ事項をチェックしながら書類をまとめているようだったが、俺が訪問するとそれらを脇に寄せ、大量に積まれた書類の隙間からこちらに顔を見せている。


「あら?もう迎えに来てくれたの?」


「いや、そうじゃなくてちょっと聞きたいことがあるから来ただけですよ。」


先生はつまらなそうな顔をしながらも俺に話の続きを促す。


「先生はアストラムの王都近くにある森のことって何かご存知ですか?」


ビクッと一度体を震わせた先生が怪訝な顔でこちらを見やる。


「うん?アストラムの森?なんでそれを私に聞くのかしら?」


普段は見せない鋭い目つきでこちらを見るものだからちょっとゾクゾクしてしまった。自分では気付かなかった感情というか性癖?に気付いてしまったが、とりあえず今はそのことは置いておこう。


「いや、実はそこに領主として赴任して欲しいとナナから頼まれたんですが、エルフやドワーフが住んでいる土地と言われたので、どうしたもんかと。それで先生ならひょっとして何か知ってるんじゃないかと思って。」


「げっ!ハートランドくんはそこに住むってこと?」


あからさまに嫌な顔をするくらいだから、あの森のことについて先生は何かを知っているのだろう。やっぱり先生に話をして良かったかも。


「あ、やっぱり知ってるんですね!でもなんかものすごく嫌そうな顔してますが、何か問題のある土地なんですか?」


「はぁ〜〜〜。私はダークエルフよ?あの森に住んでるのはエルフ。この意味わかる?まあ、わからないから私に聞きに来たのよね。」


意味ありげに話しながらも何か納得した様子の先生に俺は続けて質問する。


「エルフとダークエルフの関係がそもそもわからないんですが、近しい種族なんじゃないですか?」


「まあ、言ってみれば元を正せば多分遠い親戚みたいなものかしら?でも、エルフは私たちダークエルフを嫌っているのよ。そういうの聞いたことなかった?」


「言われてみれば、聞いたことあるような気がしますが、そもそもなんでエルフはダークエルフを嫌うんですか?」


「それはね、結構深刻な問題でこの数百年解決してないと言ったらこの事の重大さがわかるかしら?」


驚いたことに数百年来の因縁があるらしい。それだと先生が俺たちの所に来るのは難しそうだな。


「そんなに深刻なんですか。じゃあ、先生は来るの難しそうですね。俺たちはあそこに住まなくちゃいけないようなので、先生は学園長として引き続きがんばってください。」


「ま、待ってよ!私は行くわよ!」


「えっ?でもエルフと因縁があるんですよね?ダークエルフという種族として。でもあそこには元々エルフが住んでいるので、他に移住とかさせられませんよ?」


先生が来てくれるのは心強いし、ちょっと期待していた部分はあるけど、現地に住んでいる人を移住させてまで来てもらうのは双方に申し訳ない気がする。


「大丈夫!エルフが一方的に嫌ってるだけで、私は別に種族は気にしないから。」


「うーん、本当に大丈夫なんですか?向こう行ってから揉 揉めるとか俺嫌ですよ。」


「あー、でも多分嫌われるのは私以外にもいそうだから、大丈夫よ。」


そう言って先生は目を瞑って何か考え込んでいた。その間なぜか自分の胸を触ったり揉んだりしてたが見なかったことにしてあげたほうがよさそうだ。


先生が仲の悪いエルフと揉めるのは先ほどの言い方からなんとなく理解したが、先生以外にも嫌われるっていうのはどういうことなんだろう?


「先生以外にも嫌われるっていうのはどういうことでしょうか?ちなみにうちのメンバーだと誰が嫌われそうなんですか?」


「うーん、そうね。まずあなたの母親であるユーリでしょ。あとはナナも嫌われてそうね。マユとメイサはギリギリ大丈夫かな?あ、フィーネは逆に好かれるかもしれない。あ、そうそうあなたの家の使用人のリーサちゃんだっけ?あの子も嫌われちゃうかも?」


なぞなぞのようなことを言い出した先生だが、嫌われそうなメンツの共通点は・・・っ!


「胸ですか?」


「・・・正解。正確には胸の大きさね。エルフは基本ぺったんこだからね。ちなみにダークエルフが嫌われるのは元々同じ系統のはずだったのに進化の過程で全くスタイルが違くなってしまったからなの。元は一緒なのになんでダークエルフだけっ!って子供みたいに怒って数百年。これは女性にとっては深刻な問題なのよ。特に腹を立てているのが、エルフの男性陣が原因だと思うのよ。彼らは同じ種族であるエルフと結婚して子供を作るのが基本なんだけど、寿命が長いこともあって、それほど子宝に恵まれないの。でも、エルフの男性が他の種族の女性と結婚すると、すぐに子宝に恵まれるのよ。これはエルフ族にない胸の大きい人と結婚するとそれが顕著に現れるらしいのよ。だから、エルフとダークエルフで結婚するとすぐに子宝に恵まれるというのがあって、女性のダークエルフを自分たちの里の男性に近寄らせたくないと思ってるらしいのよ。ま、私たちダークエルフからすれば、ダークエルフの男性とエルフの女性が結婚したらすぐに子供が出来るから、胸のせいじゃないっていうのはわかってるんだけどね。でもエルフ側がそれを納得してくれないのよね。」


先生は不満をぶちまけるようにマシンガントークで不仲の原因を説明してくれた。

うーん、これは多分少ない人数で交配を繰り返してきた結果、血が濃くなりすぎて子供ができづらくなってるのが原因だと思うけど、この世界ではそういう研究とかしてないんだろうしな。

ま、普段お目にかかれない豊満なお胸を見て、エルフ男性がハッスルしてるってのもひょっとしたらあるのかもしれないが。


「だ、か、ら、私があなたの奥さんならエルフも納得して受け入れてくれると思うのよ。ね?それなら問題ないでしょ?」


この前の恥じらいのあったかわいい感じから一転して積極的に結婚を推してきたぞ?

ん?あれ、でも、耳の先まで真っ赤になってるし、微妙に声も上ずってるな。これは照れ隠しでこんな言い方してるんだな?先生ってひょっとしてあんまり男慣れしてないのかも?


「なるほど。それじゃあ先生に来てもらうには結婚するしかないってことですか?ちなみに先生は俺のこと好きなんですか?」


「っ!!!」


シエラ先生は思いっきり目を見開いてこちらを見て真っ赤になったあと、下を向いてまた黙り込んでしまった。


「先生、先生はちなみに今まで何人くらいの方とお付き合いしてきたんですか?先生くらいの美人だと引く手数多だったと思うんですけど。」


「・・・・・・いないわよ。」


「えっ?!」


「だから!誰とも付き合ったこともないし、好きになったのもあなたしかいないわよ!」


男慣れしてないどころか、まるっきりの未経験だったらしい。そのくせあんなに俺を挑発していたのか?あれは一体なんだったのか?


「いや、いや、先生、それはないでしょう?だって結構グイグイ俺に迫ってきてたじゃないですか?」


「それは・・・。まだあなたが子供だったからよ。でも今は立派になって私より強いし、しっかりしてるし、それに、カ、カッコイイし。」


「・・・・・・。」


思わず無言になってしまった。先生が真っ赤な顔して上目遣いで目をウルウルさせながら言うものだから、年の差を忘れて純粋にかわいいと思ってしまった。


「そ、そうですか。あ、ありがとうございます。」


あかん、これはあかんやつや。マユに怒られるやつだ。でもこんなに真剣に俺のこと考えてくれててたのか。そんな先生に適当な返事をしてはいけないよな。


「・・・・・・。」


「・・・・・・。」


お互いに無言のまま固まってしまった。でもこのままじゃ埒があかない。男の俺がリードしなくては。


「先生。」


「は、はいっ!」


「その、きちんと考える時間をもらってもいいですか?正直、先生が本気で俺のこと思ってくれているとは思ってなかったので、正直、動揺してます。それに今、俺は先生もご存知のようにマユとお付き合いしてます。だからマユが一番です。」


「う、うぅぅっー」


先生が泣くのを我慢しているようだ。


「でも、俺の前にいた世界と違ってこの世界は一夫多妻が認められてるんですよね?」


先生はパッと顔を上げ首を高速で縦に振っている。


「だから、少し時間をください。真剣に考えてみようと思います。こんな優柔不断な男ですが、本当に俺なんかがいいんですか?」


壊れた人形のように首を縦に降る先生。


マユと付き合って日が浅いというのに、シエラ先生が本気で自分を好きなんだと思ったら、断らずに考えさせてくれとかいう自分を最低だと思う一方で、異世界最高と思う自分もいる。


この世界で貴族をやるなら奥さんを複数持つのは普通だ。父さんは母さん一筋みたいで、貴族なのに珍しく奥さんを一人しか娶っていない。


貴族にとって跡継ぎは必須だし、うちは俺とアイリスしかいないからもし俺があのまま家に帰らなければ、次期当主はアイリスの婿に継がせるしかなかっただろう。


まあ、ナナからの依頼もあるので、俺が父さんの跡を継いでバーナー家の家長となるのだから、跡継ぎのことも今後は考えなくてはならない。


先生にアストラムの森のことについて聞きにきただけだったのに、思わぬ展開になってしまった。


先日のパーティで母さんが言っていたように嫁候補のことを考えなくてはいけない時期に来てるのかもしれない。決戦の前に結婚のことまで考えなくてはいけなくなるなんて。


俺は先生との会話を終え、モヤモヤした気持ちのまま、次の予定であるナカジのところに行かなくてはならない。ナカジのところでは何も問題が起きなければいいな、と思いながら俺は転移した。


なかなか話が進まなくてすみません。

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