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転生魔法使いの愛のある生活  作者: チムチム
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第78話

いつもお読みいただきありがとうございます。


前話のあらすじ


パーティでハイドに絡んだ貴族を擁護するカール王子。そんな姿に失望しパーティを後にするハルキたち。

この国から出て行くかの相談をしているタイミングでの訪問者。さてさて王宮からの謝罪の使者か?それとも決裂か?

「ハートランド、申し訳なかった。」


王宮からの使者だと思ったが、バーナー家に訪れたのは数人の従者を引き連れたカール王子だった。


カール王子は先ほどのことを謝罪に来たのだが、謝罪する相手が違う。まずは被害に遭ったハイドに対してするべきだし、本当に悪いと思っているのかも怪しい。


「どういうことだ?謝る相手が違うんじゃないか?それに、ハイドが俺の仲間だから、俺を敵に回したくないから謝りに来てるんじゃないのか?」


「そ、そんなことはない。たしかに謝る順番は間違えてしまったのかもしれないが、その獣人は君が奴隷商から購入したと聞いていたので、まずは君に謝ろうと思ったんだ。」


こいつはどれだけ俺を怒らせれば気がすむと言うのか?ハイドはたしかに奴隷商に金を払って引き取ったが、それは解放するための手段であったし、それを公表したりもしていない。勝手に俺たちのことを調べて、勝手に判断した。そして、ハイドを傷つけた。


「それがお前たちのやり方か?ハイドを奴隷かなんかと思ったのか?ひょっとして他の奴らもそう思っているからあんな嫌がらせをしたのか?」


「・・・・・・。」


カール王子は黙っている。周りの従者が俺の態度に何か言おうとしてるが、流石にそれはカール王子が止めていた。


くそっ!俺がもっと気を使えば良かった。ハイドに申し訳が立たない。


「父さん、母さん、これがこの国の現状のようです。みんなで協力して魔人討伐をする予定だったけど、種族によって差別するような国と他の国が上手くやれるはずがない。決裂です。」


「・・・そのようだな。俺も腹を括ろう。」


父さんは悲痛な面持ちであったが、俺の意見に賛成してくれた。そんな父さんに母さんが寄り添い、俺と目を合わせると、ゆっくりとうなづいた。


「カール、サヨナラだ。二度と俺の前に姿を見せるな。そしてこの国からも出て行く。そう帰って王に伝えろ。世界同盟の話もサジタリア王国抜きで進める。」


「い、いや、ちょっと待ってくれ!それは困る!君たちがいなくなったらどうやって魔人の脅威に立ち向かえばいい?」


「は?俺の知ったことか!俺の仲間を傷つけておいて、よくもまあそんなことが言えるな?甘えるな!」


腹立たしい。なんでこんな奴だともっと早くに気が付けなかった。この2週間、俺は奴にも色々教えてやったし、魔力量も増やしてやった。その場にはハイドもミツキも、俺の仲間たちはみんな揃っていたんだ。それなのに、そんな俺たちのやりとりを見ても奴隷かなんかだと勘違いするような人種差別者に気付けなかったなんて。



「本当に出て行ってしまうの?」


いつのまにか、目の前にはシエラ先生が立っていた。王子と一緒に来たんだろうか?俺は全く気付いていなかった。


「先生がなんでここに?」


「あら?私がいることにも気付かないなんて。カール王子、相当彼を怒らせてしまったようですね?流石に庇えませんよ?私も人間ではないですしね。」


シエラ先生はカール王子が会場から飛び出し馬車を走らせているのを見て、何事かとこっそり付けてきていたらしい。屋敷についたところで、メイサに見つかったが、事情を話し隠れて話しを伺っていたらしい。


「そ、そんなっ。シエラ先生、なんとか彼を説得してもらえませんか?」


「イヤよ。この国を正すいい機会じゃないかしら?あ、ハートランド君、この国を出て行くなら、私も付いて行くから。もう、あなたと離れるのはイヤだもの。」


「いやいや、先生はこの国の学園長でしょ?生徒はどうするんですか?」


シエラ先生にすがるカール王子。それをばっさり切り捨て、国を出るなら付いて行くというシエラ先生。そしてそれを引き止める俺。なんかごちゃごちゃしてきた。みんな勝手に喋りすぎ。


結局、カール王子には帰ってもらった。彼と話すことはもうない。ナナさえ良ければ俺たちは一斉にアストラムに行く。俺の力があれば屋敷ごと引っ越しできるし。


ナナには先にアストラムに行って、話を付けてきてくれるというので、転移で送ろうとしたのだが、マユがそれを制す。


「ふふふっ。ハルキ君、見ててね!」


得意げな顔でマユに言われ、何をするのかと見守ることにした。


「ふぅー、じゃあ行くよ!」


マユが魔力を練り上げて行くと、見覚えのある扉が目の前に現れた。


「まだ、ハルキ君みたいに一瞬で転移することは出来ないけど、扉を作って繋げることはできるようになったんだよ?どう?驚いた?」


どうやらマユは俺がサジタリアにいる時間は、この魔法を練習していたらしい。最初はアストラム、サジタリア感を繋ぐほどの魔力はなかったが、ついにこの2週間の特訓でなんとか繋げることができるようになったらしい。


特に、フィーネからの念話で俺が女の子と仲良くしてるとの情報が随時寄せられるため、何としてでもマスターしたかったとのことだ。


そして、今日パーティがあるというのを念話で聞き、先程完成させたとのことだった。俺にバレないように魔力回復薬を大量に飲み、魔力欠乏の症状を見せないようにしていたらしい。


「マユ、すごいよ!ビックリした!俺も転移するのに魔力を使うからどれだけ大変だったかわかる。せめて今、減った分は俺に回復させてくれ。」


これでパーティの時にマユが突然現れた真相がわかったな。でも、考えてみたら馬車で来るには早すぎるし、それしか手はないよな。


ナナ、マユ、ムラトがアストラムに話を付けに行っている間に、こちらも家族会議をしておくととしよう。



「父さん、ごめんね。でも俺は我慢できなかった。」


「それはもういい。俺も覚悟を決めたしな。この国のバーナー家はここでおしまいというのは寂しいけどな。」


父さんにしてみれば、自分の代でそんなことになるとは夢にも思わなかっただろう。


「それにしても、父さんは貴族があんなに差別主義だというのは気付かなかったの?」


「まあ、うちは騎士爵だしな。そんなに貴族の集まりに呼ばれることはないし。それに騎士団には獣人もいるが仲良くやってたからな。おそらく上の方の人たちではそういうのがあったんだろうな。俺もそんなこと気にしたことなかったし。」


うーん、とすると全部が全部そういう人たちの集まりというわけではないのか。ただ、国のトップの人間がそんなんじゃ、多かれ少なかれ問題は出てくるだろう。結構な啖呵切っちゃったしもういいだろう。


「ハートランド君、私も付いて行くからね!学園長は他の人に任せれば大丈夫だから。こういう時のためにちゃんと後釜は用意しておいたから。」


驚いたことにシエラ先生は、いつでも学園長の座を譲れるように後釜に仕事を覚えさせていたらしい。用意周到だ。


「アイリス、こんなことになっちゃってごめんな。お前にも学園の友達とかと離れ離れにさせてしまう。俺のわがままでごめんね!」


「お兄様!怒りますよ?お兄様は何も間違っていません。むしろハイド君のためにあそこまで怒れるお兄様をアイリスは誇りに思います。エミリーちゃ、、、様と別れるのはちょっと寂しいですけど、お兄様と別れる方がよっぽど辛いですから。この5年、アイリスはずっとお兄様に会えなくて寂しかったんですよ?」


そう言ってくれたアイリスを俺は抱きしめる。


「アイリス、ごめんね。でもこれからは一緒に暮らしていけるからね。」


「アイリスちゃんだけずるい!私も!」


アイリスの言葉に感動し抱きしめてたら、ミツキが俺の背中に抱きついてきた。俺はアイリスを離しミツキの頭を撫でてやる。


「「「私もっ!」」」


フィーネ、メイサ、シエラ先生が目をギラつかせてこちらに向かってきたので、それは軽くかわしスルーしておいた。


恨めしそうな顔をしていたが、なんだか彼女たちの目にはアイリスたちのような純粋さがなく、身の危険を感じたのだ。


「じゃあ、みんなアストラムがオッケーだったらいつでも出発できるように準備しておいてね!と言っても、丸ごと引っ越す形になると思うから、荷物をまとめたりはしなくて良いけどね!」


後は、あいつらには一応別れの挨拶をしておくか。でも正直、付いてくると言いそうで憂鬱だ。まるで俺がここから戦力を引き抜いているようにも思われてしまいそうだから。


でも、まあいっか。来るもの拒まずだ。魔人を倒すためには戦力が必要だし、討伐終わったら問題ないだろう。


この判断が後に大きな問題となるのだが、この時の俺にはそれが見えていなかった。


日にちが空いてしまう時は、前書きにあらすじのようなものをなるべく付けるようにします。書き忘れちゃった時はごめんなさい。

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